伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

田舎暮らしの日々とガーデニング 時々ニャンコと

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ジャコシカ69

2018-08-28 09:11:56 | ジャコシカ・・・小説

 その後で息苦しくなり、眼の前が心許なく揺れて、直ぐには言葉が出てこない。

 自分でも驚くほどに動揺していた。

 追いかけるように怒りが湧いてきた。

 「何か特別なお話しでもあるのでしょうか」

 桐山は困った顔で笑った。

 「誘い方が悪かったかな。どうもびっくりさせたみたいだね。構えなくても大丈夫、仕事の話し

ではないから。ただ君と二人でゆっくり食事をしたいだけなんだ」

 「ありがとうございます。でも私お断りします」

 「おやおや即答ですか、それもまあ実に明解だ。一撃で粉砕ですか、でも私もそれほどやわじゃ

ないし、初(うぶ)でもありません。

 今日は突然で驚かしてしまったようなので引きますが、次回は是非おつき合い下さい。

 でなければ私、何度でも誘います」

 「何度声をかけていただいても駄目です。私お断りしますから」

 今度は呼吸を整えて、きっぱりと言った。

 その表情を見て桐山は楽し気に笑った。


 「やっぱりあやさんは私の思った通りの人だ。気持ちが真っ直ぐで一層惹かれる。でも今日のこ

とは取り合えず二人だけの秘密にして下さい」

 「誰れにも言いません。誘ってくれてありがとうございます」

 「それでは振られた男は、取り合えず退散します」

 桐山はさして失望した様子も困った顔も見せずに7階に戻って行った。

コメント
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