伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ111

2019-04-11 18:33:55 | ジャコシカ・・・小説
それなのに今日はもう、少ない荷物の整理を始めている。

 明日は彼女に告げなければならない。

 そう思って押し入れから、リックサックを引っ張り出していたら、美奈子がやって来た。


 一目見るなり彼女は入り口で立ち止まる。

 二人の眼が合い、どちらの唇も何かを言おうとするが動かない。

 やがて最初に口を開いたのは、やはり美奈子だった。

 「行くのね」

 「うん」

 「私を置いて行くのね」

 「すまない。ごめん」

 美奈子はコートを脱ぎ、いつもの通り壁に掛けた。

 「いいわ分かっていたことだから。そのために訓練してきたんだから。時々ここに来なくなって

いたでしょう。あの時、頭冷やしたり体冷ましていたの。私いやになるほど用心深いから。

 で、いつなの」

 高志は言葉が出てこなかった。

 今さらながら、いな、今になって初めて美奈子という女の生身の温もりが伝わってくる。

 かろうじて事務的に明日店に辞表を出し、三日後にこの部屋を出ることを伝えた。

 「じあ、最後にまたあの店で、カレーとハヤシのミックスライスを食べましょう」

 美奈子は白い頬を少こし歪め、あの大きく青味を帯びた眼を隠すように細めて、悪戯っぽく言っ

た。

 それからすっかり笑顔になって続けた。
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学生時代のアルバイト・・・新聞社でリライト

2019-04-11 15:48:48 | 青春
 F女子大の国文科を卒業して教員の採用試験を受けたが

 国語は余っているとのことで

 全道登録になった。

 しゃーないので教育大学の札幌分校の養護学校短期教員養成の一年コースを受験

 運よく合格できた。教員免許かあるのが条件だった。

 半年で資格をとり後半は論文提出だけなので

 アルバイトをした。

 今はないが大通りにあった北海タイムスの編集部の

 リライト

 新聞記事をSTVに放送用に要約して送るという仕事であった。

 けっこう楽しくて賃金も高かった。

 作文を書き採用された。

 夜は北大生がアルバイトにきていた。

 時々私も夜手伝うこともあるが

 夜になると見知らぬ地方回りの中年のおっさんたちがデスクに数人座り

 からかわれたりするので

 とても嫌だった。

 でも

 風邪をひくとただで薬をもらえたりするので

 ラッキーだった。

 青年部があって卓球大会に誘われ

 入賞して記念品をいただいて

 入部していないのにスマナイと思った。

 STVにたまに原稿を持っていくと女子大時代のクラスメートが

 アナウンサーをしていてバッタリ会ってびっくりしたこともあった。

 タイムスの社員食堂が一階にあり体育館みたいに広く

 それも安いので重宝していた。

 教育大の学食も安かった。

 毎日AランチとBランチを交互に食べていた。

 9月に道教委から呼び出しが来て

 十勝の田舎の中学に国語の空きがあるとのこと

 私は行く気でいたのに

 中年の男の職員は、バスが一日に一回しかないド田舎なので

 あなたにはムリ・・・私の娘ならこのまま大学に残るのを

 すすめる・・・と説得?された。

 そんな訳で半年リライトのアルバイトをして

 有意義な学生時代を過ごした。

 でも

 北大卒のA副部長に嫌がらせを受けた。

 なんでも彼が推薦した女性が落ちて私が東大卒のB部長に採用されたから・・・

 と後で聞いた。二人は犬猿の仲だった。

 B氏は優しくA氏はバンカラで個性的で嫌われていた。

 ある風雨の日

 いつもは少年さんに頼むのに私にSTVに原稿を持っていけとの命令をA氏から・・・

 隣のデスク、読者欄の係りの女性のかたが

 私に同情して

 勝手に少年さんに原稿を頼んだ

 それを見ていたA氏

 「あんたに頼んだんだ・・・」と烈火のごとく怒った。

 何か大人世界のやな部分も垣間見たバイトだったが

 めげなかったし、人生勉強になった。

 遠い記憶のよき昭和の時代の

 私の青春の一コマでした。

 
コメント (2)
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