伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

田舎暮らしの日々とガーデニング 時々ニャンコと

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ジャコシカ115

2019-04-23 11:55:41 | ジャコシカ・・・小説
 おまけに一カ所に腰を落ち着けていられない。

 いつだってほどなく、ここにいたら駄目だと思い始める。

 そのくせ何が駄目なのかなど皆目分からない。

 仕事も人との関係もどれもがうまくいっている時でも、急にそんな思いに取り憑かれる。訳の分

からない強迫観念みたいなものだ。

 そうなればまたぞろ、何もかもを放り出し行き当たりばったり、見知らぬ土地に流れて行く。

 一番長く続いたのは、どこかの漁港の魚加工場だ。

 毎日トラックで運ばれてくる魚が、コンクリートの床にドッと撒き散らされる。

 それにホースで水をかけ、スコップで樋に入れる。樋を挟んで作業員たちが俎板の上で包丁をふ

るい、機械のように頭を落とし、内臓を取り除き背開きにしていく。

 あるいは骨付きのまま、ぶつ切りにしていく。

 魚種はいろいろで、大きなもの小さなものその時々時季によって変わる。

 この仕事は飽きがこなかった。

 単調な作業なのに気が付けば熱中している。

 多分昔から魚が好きだったからだろう。

 魚は見るのも釣るのも、食べるのも好きだ。

 
 そのためだろう長続きしたのは。

 それに漁港というのも好きだ。

 気が付いたら漁港のある街をうろついていることが多く、そこで潜り込める所があるとしめたと

思い入り込む。
コメント
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