伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

田舎暮らしの日々とガーデニング 時々ニャンコと

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ジャコシカ58

2018-07-17 23:25:34 | ジャコシカ・・・小説
 そのくせ気詰まりを感じることもない。

 「今日は何にしますか」

 いつの間にかその言葉が、高志の夕方の定まった言葉になっている。

 と言うのも朝食はいつも同じ献立と決まっているし、昼は前日の残りとなっているからだ。

 だから朝と昼はどちらかが用意するというのではなく、片方が動き始めると、もう一方も腰を上

げる。

 何をやるかは一方がやることを見れば、もう一方のやることは自然に決まってくる。

 夕食は新しいものになるが、それとて献立は限られている。

 ここでは何事も単純で平明だ。

 それなのに高志は退屈を感じない。

 変化といえば窓の外の海の様子と入江の眺めだ。

 天気はずっと荒れ狂っている。

 左右にそそり立つ崖が、渦巻く吹雪きを入江に閉じ込めて楽しんでいるみたいだ。

 背後に迫る斜面の楢や柏の巨木が激しく響動(どよ)めき、海から押し寄せる波の音さえも打ち消す。

 ごおごおと轟くその山鳴りを聴いていると、時化る海さえも、さざ波が騒いでいるくらいにしか

思えない。

 しかし瞳を凝らせば、波頭は鎌首を持ち上げて、繰り返し繰り返し入江を目がけて押し寄せてい

る。

 その終わりのない反復を見ていると、いつかあのうねりの一つが止めどなく盛り上がって山を成

し、この小屋をひと呑みにしてしまうのではないかと思ってしまう。

 それが少こしの恐怖感も伴わず、むしろ待ち遠しい。
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ララのいた時間とニャンコの里親

2018-07-17 05:01:22 | 野良猫・近所の猫
猫は我慢強い
 夕方ララを病院へ連れて行く   腫瘍を見て 脚も浮腫んでいたので これは相当痛いはず・・・猫は我慢強いから とドクター まず腫瘍に針を刺し水を......


 昨年の今頃はララもいた・・・思えば

 よく病気と闘ったニャンコだった。


 キキも頑張って娘からストローで離乳食を食べさせてもらい

 生きようとしていた。


 永遠の別れはとても辛いけれど


 やはり

 猫との生活は楽しい・・・。


 娘は昨日ニャンコの里親・・・に行ったらしいが

 とても狭き門らしい

 聞けば 三か月の二毛でキキに似ていて

 希望者殺到で ふさわしいかどうか家庭訪問もするらしい・・・。


 書類選考でダメかも・・・と笑っていた。


 とりあえず娘も少し元気になったので良かった。
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ジャコシカ57

2018-07-16 20:23:46 | ジャコシカ・・・小説
見詰め直した志乃の顔は、既に言ったことを忘れたようにあやから外されていた。

 その様子を見てあやは、はっとなって理解した。

 彼女は桐山昇という人物を、あくまで一人の男として見ようとしている。

 そこには彼女の女としての視線が、強く感じられた。

 あやは思わず優美に眼を転じた。

 誰にも洩らしたことはなかったが、優美は桐山と個人的な付き合いがあると、あやは確信してい

た。

 男と女の関係に、自分などよりもはるかに鋭い感覚を持っている志乃が、このことに気付かない

はずはないと思われた。

 あやはブテイック「フローラ」の先行に、今までに感じたことのない不安を感じた。





 
 汽車で帰った日から、高志の気持ちに応えるかのように、荒れた日が続いた。

 暮れも近付いているのに、次第に今日が何日なのかも分からなくなる。

 ラジオが無ければ、完全に日付けを見失っていただろう。

 賑やかな万歳のかけ合いで、初めて大晦日の近付いたことを知る。

 ふと汽車で帰った日から、ずっと何をやっていたのかを思い返してみる。

 網の繕いや延縄(はえなわ)の仕掛作りをしていた気がするが、退屈を感じたことはない。

 互いにまだ充分に知らない二人の男が、離れ小島のような所に終日こもっているのに、これとい

って何かを話し合うこともない。
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ジャコシカ55-56

2018-07-16 07:33:13 | ジャコシカ・・・小説
 一周年記念の会は、あえてパーティの名を付けずに、食事会とした社長の意を受けて、ほんの内

輪だけのものになった。

 それでも店の全員が声をかけられたので、総勢10人になった。

 新橋の本格中華料理店の一室を取った料理は、皆が今までに食べたことのない、豪華で美味なも

のだった。

 店の経営が成功裡で迎えた会だけに、座は賑やかで活気付いた。

 社長は特に上機嫌で、酒がすすむと特長の鳶色の眼が赤味を帯びて光り出し、整った目鼻立ちが

一層外国人風に見えてくる。

 女達はついついその風貌に惹きつけられ、話す内容など頭に入らなくなり、眼ばかりが大きく見

開かれる。

 桐山の経営方針は先刻聞かされている通りなので皆は良く承知している。

 その方針を彼は繰り返す。

 彼の狙いは新しいファッションとヨーロッパ・アンティク家具の組み合わせだ。

 そこに彼は店の個性が出せると力説する。しかしその話しに本当に賛同する者はいない。

 そもそも若い女性に、遠い海の向こうの黴臭い家具の味わいなど分かるはずもないのだ。


 分かるのは社長がそれを売りたいと思っていることだけだ。

 邪魔だとは思っているが、目立っているし、女性物服飾の中では、ちぐはぐな新鮮さを感じさせ

ているのは確かだ。

 つまり「おや」と思わせる、あるいは「はっ」とさせないこともない、と受け取られていた。

 それは店の特徴とか個性という点では、悪くないと見られてもいた。

 優美の考えは当然違っていた。だから桐山に続いた彼女の挨拶には、家具については一言もなかった。

 あやは優美の頭の中では、アンティク家具は余計な異物でしかないことを知っている。

 しかし、さすがに優美はそれらしいことには一切触れず匂わせもしない。

 匂わせはしなかったがブランド「優」は、いずれこの店から異物は追い出すか、呑みこんでしま

うのだという、自信と勢いをあやは感じていた。

 あやは内心そんな彼女の考えに同調し、刺激も受けていた。

 この1年アンティク家具の、売れゆきは不調だった。

 1点50万円、100万円といった高額正札はデスプレイとしての役割しか果していなかった。

別ルートで営業をかけ、店はショウウインドウだとの社長の説明に異論は出なかったが、それにし

ても家具を見に訪れる客は少なかった。

 そんな状態であったから、一周年記念の食事会は、優美の勝利祝いみたいなものでもあった。

 次の1年の食事会には、桐山社長の話しからも店内からも、アンティク家具は消えているかも知

れない。

 あやは真面目に、そんな風に考えていた。

 「どうぞ家具は家具屋さんへ」あるいは「骨董屋さんへ」などと言われているかも知れない。

 そんなことを考えながら挨拶を終えて、少こし紅潮気味の優美の横顔を見ていたら、突然隣の志

乃が言った。

 「男は社長一人ね」

 ふんふんと楽し気に一人頷きながら彼女は、あやを見てウインクをして付け足した。

 「ハーレムだね」

 一瞬あやは言葉の意味を、理解することができなかった。


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ブランク13・・・弟を思い出す

2018-07-15 19:17:52 | 映画
 ランチの後はコスモスホールへ・・・

 映画「ブランク13}

 音信不通だった父の死

 13年間の空白は埋まるのか

 実話をもとに描いたある家族の物語である。


 


 俳優陣が良かった。

 外面は良いかもしれないがあんな父親は家族にとって最悪だよネ

 暴力をふるわないだけ良かった・・・何だか弟のことを思い出したょー


 にも音信不通だった弟さんがいた。

 ガンで駆けつけた時は余命いくばくもなかった。

 50歳の若さだったという・・・。


 合掌。
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