春を待った2匹のウサギ
冬山の中に2匹のウサギが暮らしていました。1匹は日向の側の山裾に住んでいて、もう1匹は日陰側の山裾に暮らしていました。
彼らは起きても寝ても春を待っていた。彼らの願いは一日でも早く冬を終えて春を迎えることだった。白く山を覆った雪が融けて渓谷の氷の下で流れる水の音を聞きながら、山と野原に新しく出始めた草を思いっきり食べることだった。
しかし、冬はすぐには過ぎていかなかった。少し暖かくなったと思って穴の外に頭を少し出したら冷たい風が吹いてきた。去年の初雪が降り始めたときから穴の中に閉じこもって冬眠をしているのは本当に息苦しいことだった。
「ああ、もう春が着たのか。」
「寒くておなかが空いてたまらない。」
「我慢して待っていればいつか春が来るだろう。」
彼らは一日一日が1年のようだった。冬の間食べる食料さえなくなりそうで、大切にして、大事にして食べた。燃やすものさえ足りなくて真夜中に気温が下がっても火をつけないで我慢した。
だが、春は来なかった。一日でも早く花と鳥とあれこれと話をしながら慰めてほしかったが春は帰ってくる気配さえ見えなかった。
だからと言ってむやみに穴の外に出て行くことはできなかった。まかり間違って穴の外に出て行くことはウサギ狩りに出てきた村の人々が生きていくために棒を持って責め立てて降りてくるとびくっともできないでつかまってしまってしまうのが目に見えていることだった。
「しかたないな。我慢して待っていれば春が来るだろう。」彼らはすべてのことをあきらめてまた深い冬の眠りの中に落ちていった。
その後どれぐらい時間が過ぎただろうか。日向の山裾に住むウサギはこの頃目覚めて向こう側の日陰の山裾を眺めた。春が来て雪が融けたかと思ってだった。しかし、そこには雪が白く積もっていた。
「まだ春が来ないようだ。目覚めるにはまだ早すぎる。」
彼はまた冬の眠りの中に落ちた。
だが、いくらも経たないうちにまた目を開けて向い側の日陰の山裾を眺めた。雪が依然と融けないでそのままだった。
「おやまあ、まだ、雪が融けないね。雪が全部融けたら出て行かないと。」
彼はまだ冬の眠りから覚めるときではないと判断してまた眠りについた。
彼はこんなことを何回繰り返したかわからない。目を開けて向い側の日陰の山裾を眺めるといつも雪が融けないでそのままだった。そうしていたら結局そのウサギは日向側の穴の中から出てくることができず餓えて死んでしまった。
日陰の山裾に住んでいたウサギも、ふと冬の眠りから覚めて向い側の日向の山裾を眺めた。日が当たったその場所にはいつの間にか雪が融けてしまってなくなっていた。
「あ、私が寝ている間にもう張るが来たわ。待ちに待った春が来たわ。」
彼はすぐに穴から飛び出して雪の融けた日向側に向って走って行った。しかし、風は身を切るように冷たかった。彼は結局穴の中に戻ることができず冷たい風が吹く山の中でそのまま凍え死んでしまった。
日向側と日陰側に暮らす2匹のウサギが春を待っていたがそのまま2匹ともに凍え死んでしまったのだ。