
黒い出目金
ソウルのタンビの家の金魚鉢の中に、金魚3匹が暮らしていた。体に赤い花びらの模様がある2匹は兄弟で名前が「赤花びら金魚」でもう1匹は黒く目が出ているので名前が「黒出目金」だった。
花びら兄弟は二人ともに心がきれいだった。おいしい食べ物があっても争うことなく仲良く分けあって食べた。
しかし、黒出目は心が荒く欲深く、ともすると、花びら兄弟をいじめるように振舞った。
「兄さん、黒出目がなぜ私たちをこうやって憎むの。」
「さあ、私たちを憎まなければいいのだけど、、、だけど、私たちは黒出目を憎まないようにしよう。」
「そうだね。兄さん。憎まないようにしよう。」
赤花びら兄弟の願いは金魚同士仲良く過ごすことでした。しかし、黒出目の願いはそうではありませんでした。
「金魚鉢が狭すぎる。俺一人でも狭いのに、赤花びらのやつらと一緒に暮らすとは本当にいやになる。食べるものもあいつらと毎日一緒に分け合うから、腹が空いてやってられない。何かいい手はないかな。」
黒出目の願いはどうすれば一人で広く暮らして、腹いっぱいに食べることができるかと言うことでした。
ある日のことです。弟花びら金魚が急に腹が痛いと言って苦しみだしました。
「兄さん、僕おなかが痛い。何か悪いものを食べたみたいだ。」
「どうしよう。すごく痛いか。僕がさすってあげる。」
葉には心配になって注意深く弟の腹をさすってやった。
しかし、弟は金魚鉢の底に沈んでいるだけで、起き上がって泳ぐことができなかった。やっと起きて泳いでも水草に引っかかると抜け出すことができなかった。
弟の病気はだんだん悪くなった。兄が少しも休まずに弟の腹をさすってやったが、弟はそのまま死んでしまった。おなかを出して水の上にじっと浮いていたがだんだん金魚鉢の底に沈んでしまった。
「僕を一人残して先に行ってしまうとは、うぉーん。」
兄は悲しく泣いた。どんなに苦しければこのように死んでしまうのかと思うと流れる涙を抑えることができなかった。
黒出目は友達が死んだというのに少しも悲しくなかった。
「これで俺の望みどおりなったみたいだ。ふふ、楽しいな。」
むしろ、声を出しながら、うれしくてどうしようもなかった。
「あら、金魚が1匹死んでいるわ。かわいそうに。」
タンビのお母さんが金魚蜂に手を入れて死んだ金魚を取り出す時もうれしくて「うふふ、」笑いが浮かんだ。
「これで、もう一匹残ったあいつも早く死んでしまえばいいのに。」
黒出目は一人ですべてを占領したい気持ちで一人残った赤花びらさえも一日でも早く死ぬのを待った。
しかし、赤花びらは黒出目がどんなに待っても死ななかった。弟の分まで生きなければと言う思う赤花びらはむしろしっかりと一生懸命生きていた。
黒出目は面白くなかった。
「何か、いい手はないだろうか。」
黒出目は夜も寝ないで遅くまで考えに考えを重ねた。
そうしていたら、ある日ひざをポンと叩いて赤花びらをいなくする考えが浮かんだ。
「そうだ。俺が殺すしかない。そうして、俺でも上手く生きていかないとならないんだ。」
黒出目は黒い目を光らせて赤花びらを殺す機会をうかがった。
とうとうその機会が来た。
タンビの家族が母の一番下の妹の結婚式に出席するために、皆でプサンに行くと、黒出目は赤花びらにたびたび喧嘩を売った。
「や、赤花びら、お前の弟が死んだのにお前はなぜ死なないで生きているんだ。」
赤花びらは驚いて目をまん丸くした。
「黒出目、急にどういう意味だ。僕が何か悪かったかい。」
「もちろん、非常に悪い。俺は打な、お前を見るのもいやだ。お前がどこかに消えてしまえばいいと思っている。」
「ここは、金魚鉢の中だ。僕がどこへ行ける。」
「だから、お前の弟のように死んでしまえということだ。」
黒出目は赤花びらに恐ろしい目をむいた。
「黒出目、そういうことを言うな。金魚鉢の中にお前と二人だけだ。俺たち仲良く暮らそう。」
「いや、俺はお前と暮らしたくない。俺一人で暮らしたい。俺が食べるものをお前がみんな食べてしまうから俺は腹が空いて仕方がない。」
黒出目は少しも休まず赤花びらを苦しめた。赤花びらがどんなに互いに助け合って仲良く暮らそうと言ってもどうにもならなかった。
結局、力が弱い赤花びらは黒出目にいじめられ続けてそのまま死んでしまった。
「や、うれしいな。」
赤花びらが晴れを上に向けて金魚鉢の下に砂利のように横たわると黒出目は一日中楽しく鼻歌を歌った。えさも一人で腹いっぱい食べて、水も一人で腹いっぱい飲むことができ、世の中にうらやむことはなかった。
だが、しかし、これはどういうことだ。赤花びらが死んで3日ぐらい経った頃金魚鉢の水がにごって腐った匂いがし始めた。
「お、水が何でこのように汚れていくんだ。息もできないじゃないか。」
黒出目はなぜ急に水が腐っていくのかわからなかった。それは死んだ赤花びらの体がだんだん腐っているからだった。黒出目はその事実を知ることができなかった。
「あ、苦しいな。息が苦しくてしょうがないな。」
黒出目は顔を水の外に出して澄んだ空気を吸おうと努力した。しかし、だんだん息をするのが苦しくなった。
タンビの家族がプサンから帰って来ると、金魚鉢の金魚が2匹ともに死んでいた。
「これはどうしたの。なぜ、金魚がみんな死んじゃったの。」
タンビのお母さんが驚いてタンビを呼んだ。
「タンビ、お母さんが金魚鉢の水を替えてあげるように言ったのに。替えてあげなかったの。なぜお母さんの言うことを聞けないの。」
「いいえ、お母さん。私が水も取り替えてえさもちゃんとやったわ。」
家を留守にする前に耽美派お母さんに言われたとおり水も替えてやってえさもちゃんとやった。だが、金魚鉢の2匹が死んでいたのでタンビも、お母さんもなぜそうなったのかその訳を知る由がなかった。