退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

泣かないで、花を見なさい

2014-09-15 07:08:59 | 韓で遊ぶ

父と靴
誰かが父親の話を始めると私は父が靴を買ってくれた靴を思い出す。最近の子供たちはいわゆるメーカー製の品質のよい運動靴を履くが、私が幼かった頃は黒いゴム靴とか質の悪い運動靴がせいぜいだった。どうしたものか、白いゴム靴とか柄の入った運動靴でももらって履くとそれがそんなにうれしくもなかった。
だが、父は靴を買ってもいつも私の足よりも1,2サイズ大きい靴を買ってくれた。はじめは私は、父が私の成長が早いからわざとそれにあわせて大きな靴を買ってくれるのだと思った。それに、貧しい家の事情では何とかして少しでも長くはいてほしいと言うためにだと思った。
しかし、私はどんな靴を履いても長くはくことができなかった。私の足が大きくなる前にいつも靴が先に磨り減ってしまった。それは靴の品質が悪かったからだ。どんなに大事にはいても靴が先に磨り減って私の足にちゃんと合う靴を履くことのできる機会はほとんどなかった。それでも父は私の足よりも1,2サイズ大きい靴を買ってくれた。
私はいつも不満だった。道を歩くたびに靴が脱げるのではないかと注意して歩かなければ、だめだった。一度学校の運動会で大きな靴を履いてかけっこをしてびりになったこともあった。私は自然に歩くにものろかったし、どんなに急ぎのことがあっても走ることはめったになかった。
その後、大人になって今度は父に私が靴を買ってあげるようになった。父の還暦を記念してデパートにある靴屋に立ち寄った私は父にこう言った。
「前に私にしてくれたように今度はお父さんに1サイズ大きな靴を買ってください。」
すると父がにっこり笑ってこう言いました。
「私がお前の足よりも大きな靴を買ってあげたのは私なりの考えがあったからだ。それはいつも余裕を持って暮らしなさいと言う意味だった。自分の足にぴったりとある靴を履いて忙しく走り回りながら世の中を生きることよりは、少し緩い靴を履いて少し余裕を持って歩きながら世の中を生きるのがいいのではないかと思ってだ。」
コメント
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