退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

泣かないで、花を見なさい

2014-09-16 06:28:58 | 韓で遊ぶ

花でできた鞭
主人の鞭打ちに耐えることのできない下人がいた。彼は主人が死ねと命令すれば死ぬまねでもするほど主人に無条件に服従した。しかし、主人は彼に鞭打つことをためらわなかった。少しでも気に染まないことがあってもあれこれ鞭を替えながら振り回した。
下人の体にはあざが消える日はなかった。下人はそのまま黙っていたら命さえも無事でいることができないと言う思いがしてどうすれば主人の鞭から逃げられるのかをよくよく考えた。しかし、どんなに考えてもいい考えが浮かばなかった。主人が鞭打つことをやめない限りどんな方法のないことだった。
主人はどんなに真心を尽くしても依然として鞭打ちをやめなかった。もはや、彼の願いはどんなに鞭打たれても痛くない鞭で打たれたらと、言うことだけだった。
そんな春の日のことだった。下人は主人に伴って野原に行った。野原には花が咲いて美しかった。はまなでしこ、わだそう、あつもりそう、ひめじおん、あかばな、あけぼのすみれ、おだまきなど、たくさんの草花が競って咲いていた。
下人は久しぶりに美しい花を見て、憂鬱な心が明るくなった。そっと主人を見ると主人も花を見て明るく微笑んでいた。
「そうだ。あの花で鞭を作って主人にあげよう。花で作った鞭だからおそらく痛くないはずだ。」
下人は急いで草花で鞭を作って主人にさし上げた。
「ご主人様、私の願いは花で作った鞭で打たれることです。どうか私の願いを聞いてください。」
「そうか。それがお前の望みなら聞いてやろう。」
主人は花でできた鞭を受け取ると力いっぱい下人に振り下ろした。
下人は驚かずにはいられなかった。花でできた鞭だからどんなに力いっぱい振り下ろしても痛くないと思っていたのにそうではなかった。主人が鞭を振り下ろすたびに痛くて気絶するほどだった。下人の背中にはすぐに真っ赤に鞭の痕が残った。
下人は主人の鞭打ちが終わると庭の片隅で頭を抱えて泣いた。下人はいくら花でできた鞭だと言っても鞭は鞭だと言う事実を知らなかったのだ。
コメント
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