
乳の墓
乳房は人々が自分を乳の墓と表現するのを聞いて非常に気分が悪かった。
「なぜ、よりによって墓なんだ、墓は、、、」
乳房はその日の夕方鏡の前で自分の姿を映してみた。乳房はよく熟れた果実のように今でも魅力的で美しかった。
「こんなに美しい胸を墓だと表現するとは、人々は狂っている。」
乳房はいまさらながら気分が悪いと言うように額にしわを寄せた。
乳の墓はそんな乳房を見て黙っていることができなかった。乳の墓は静かに乳房に近づきたしなめるように口を開いた。
「お前は人間の胸が結局は人間の墓だと言うことをよく知らないようだ。人間は子供が死んでも胸に埋め、両親が死んでも胸に埋めるのだ。お前はどうしてひとつは知って2つは知らないのだ。」