
星になりたかったカエル
星になりたかったカエルがいた。夜空にきらめく星を見るたびに星の光として輝きたいと思っていたカエルがいた。
カエルはある日蛍が尻から光を出すのを見て、「そうだ。やった。」と蛍を訪ねて行った。
「蛍君、俺も君のような優雅な光を出したいと思うのだが、どうかその方法を教えてくれるわけには行かないか。」
「これは私たち蛍にだけできることだ。君はカエルだ。カエルがどうやって蛍火を出すと言うのだ。」
蛍はカエルが生意気に思えたが表には出さずに親切に対処した。
カエルはどうすれば蛍火のような澄んだきれいな光を出すことができるのかと思ってよくよく考えた。しかし、どんなに考えても蛍を捕まえて食べること以外には他の方法が浮かばなかった。
カエルは近寄ってくるたびに蛍を捕まえて食べた。おなかがいっぱいでもこれ以上食べることができなくなるまで蛍を捕まえて食べた。
案の定カエルの体からも蛍と同じ光が出始めた。蛍は腹にルシペリンという物質が合って空気が入っていくとそれが反応して光を出すが、蛍をたくさん食べたカエルの体にもその物質が出始めたのだ。
カエルは楽しくなって夜空の星を見て叫んだ。
「うぁ。俺ももう星になったのだ。俺の体から光るこの光をちょっと見ろ。お前たちよりも美しくはないか。」
カエルは星を見てそうやって見境なく叫んでいる時だった。ヒキガエルが一匹、カエルのからだから出る光を見て黙って近づいて来てそのままカエルを飲み込んでしまった。