退屈しないように シニアの暮らし

ブログ巡り、パン作り、テニス、犬と遊ぶ、リコーダー、韓国、温泉、俳句、麻雀、木工、家庭菜園、散歩
さて何をしようか

泣かないで、花を見なさい

2014-09-20 06:13:28 | 韓で遊ぶ

聖母様、許してください
少年がいたずらをしてお母さんの寝室にある聖母像の首を折ってしまった。首はころころと転がって母の化粧台のほうへ行った。
少年はドキッとした。首と体が別々に転がった聖母様にすまないと思ったが、母に叱られることが心配だった。
少年は首の折れた聖母像を拾った。ゴミ箱に捨てようかと思ったがしばらくためらっていたがくるっと新聞紙に包んで机の引き出し深くにしまった。
歳月が流れた。少年は青年になって家を旅立つ時になった。少年は家を出る前に机の引き出しの整理をしていたらびっくり驚いてしまった。引き出しの中からに首の折れた聖母像が出てきたのだ。
「聖母様、ゆるしてください。」
少年は聖母様にあまりにもすまなくて急いで強力接着剤を買って聖母像を元通りにくっつけて母の化粧台の上に置いた。
その晩、少年の夢に聖母様が現れて頭を撫でてやった。
「ありがとう。」
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울지 말고 꽃을 보라

2014-09-19 06:50:17 | 韓で遊ぶ

初雪が降る理由
以前に人々は誰でも初雪が降るのを待っていた。立冬を過ぎて寒くなってくるといつ初雪が降るかとときめく胸をどうしようもなかった。そうしていて、ある日の朝何気なく窓を開けた時、庭にいっぱいに初雪が降っていると自分でも知らないうちに「わ、雪が降った。」と言って歓声を上げる。単に初雪が降ったという理由だけで皆騒ぐ気持ちを抑えられない。わけもなく心がときめいて朝ごはんも食べたのか食べないのかして家を出た。わけもなく顔が穏やかになって、会う人ごとにうれしくて美しい顔だった。
それだけか、初雪が降る日に会おうと約束した人は互いに会いたい人の顔を思い浮かべて約束の場所に行こうと一日中奔走した。1年間待った約束がちゃんと守れるのか胸がどきどきして、約束の場所に先に行って座っている人の姿を見るとそれだけでも手に負えないほどの愛の感動の味だった。そうでありながらも、初雪の降る日に愛する人に合わせてくれる初雪に対する感謝を忘れなかった。
このように初雪は待つことの対象であり歓声と感謝の対象だった。しかし、今はそうではない。今は昨日、初雪が降ったと歓声を上げる人をほとんど見なくなった。歓声どころかなぜ降らなかった雪が降って人を面倒にさせるのかと、うんざりする人がほとんどだ。
「今日、車でいけるのか、どうだ。」
「いずれにしても、通勤の途中で、交通が大混乱しているだろうし、、、」
大部分の人たちはこんな考えをするだけ、初雪の美しさとまぶしさと喜びと静けさに対する何の関心も表さない。木の枝にこんもりと雪の花が咲いても、その雪の花の上に白い透き通った日差しがさしても無関心だ。雪に覆われた雪岳の壮観な姿になっても寒渓嶺(カンゲリョン)と彌矢嶺(ミシリョン)に交通が途絶えたと言う知らせに関心を傾ける。
まして、初雪の日に会おうと約束する人はもはや一人も探すことができない。会いたい人がいたら、その瞬間に携帯電話で電話をすればいい世の中に、初雪が降る時に会おうという約束のようなものはもはやこっけいなことだ。
初雪はもうこれ以上地上に降りたくなかった。誰も懇切に待ってくれる人のいない地球にこれ以上降る必要がないと考えた。
しかし、初雪は今年もまた降ってしまった。それは地球のあるところ、ソウルと言うところに暮らす一人の少年のためだった。
少年はソウルでも貧しい町内に暮らす少年だった。少年は弟たちのために初雪が降ると雪だるまを作ってやった。
「兄さん、なぜ雪だるまを作ってくれないの。」
「雪が降れば作れるよ。」
「雪はいつ降るの。」
「冬に降るさ。お前はまだ、そんなことも知らないのか。」
「冬はいつ来るの。」
「秋が過ぎればくるさ。」
「そうか、なら秋が過ぎたら雪だるまを必ず作ってくれるんでしょ。」
「もちろん。」
「約束。」
少年は6歳の弟と指切りして約束をしては初雪が降るのを懇切に待っていた。
今年も初雪が降るのはまさにその少年のためだ。その少年のために世の中はもう一度純白に輝く。
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黛まどか うた、ひとひら より

2014-09-18 08:00:01 | 韓で遊ぶ
身一つとなりて薫風ありしかな 佐藤勲


岩手県野田村に住む70代の被災者の俳句と言葉である。「思いも寄らない大津波に遭い、家と半生で積み上げた形のあるものをことごとく流失した。呆然自失の日々から目覚めた時かけがえのない家族がいて、今年も生まれたばかりの薫風が吹いていた。」
薫風とは若葉青葉を吹きぬける初夏の風。この句は震災の2,3ヶ月後に詠まれた。しばらくは失意の底に沈んでいたが、ふと我に返ると季節は確実に移ろい、自然は絶え間なく命の循環を行っていた。薫風に自らの命のありどころを確認した作者である。悔しいとか虚しいなどの生の思いを一切述べず、「薫風ありしかな」と自然を称えて言い切ることで、作者の心は浄化され昇華を果たしている。一句に日本人の美徳と、俳句の底力を見た作者である。
震災に限らず、人生にはある日突然身一つとなるようなことが起こる。今この一句が、被災者でない人も含め、多くの人を感動させ、生きる力を与えている。
6月の季語 薫風




미 히토토나리테 군푸우 아리시카나 사토우 이사오
(몸 하나가 되고 훈풍 있습니다)

이와테 현 노다 마을에 사는 70 대 피해자의 하이쿠와 말이다. "뜻밖의 쓰나미를 당해 집과 반생 쌓아 올린 것을 모조리 잃었다. 망연 자실의 일상에서 깨었을 때 둘도없는 가족이있어 올해도 것 태어난 훈풍이 불고 있었다. "
훈풍은 새잎과 푸른 나뭇잎 사이을 불어 오는 초여름의 바람. 이 俳句(하니쿠)는 지진 2,3 개월 후 읊어졌다. 잠시 실의의 바닥에 가라 앉아 있었지만, 문득 정신을 차릴 때 계절은 확실하게 변해가고, 자연은 끊임없이 생명의 순환을 하고 있었다. 훈풍 속에 스스로의 목숨 있는 곳을 확인한 작자이다. 억울하거나 공허하다 하는 진정한 마음속을 전혀 말하지 않고, "훈풍 있다"라고 자연을 칭찬하고 단언함으로써 작자의 마음은 순화 승화을 달성하고 있다. 俳句 하나로 일본인의 미덕과 俳句(하니쿠)의 저력을 본 저자이다.
지진뿐만 아니라 인생에 어느 날 갑자기 몸 하나가 되는 일이 생긴다. 지금이 이 俳句(하니쿠)가 피해자가 아닌 사람도 포함하여 많은 사람들을 감동시키고, 살아가는 힘을 주고있다.
6월 季語(기어) 훈풍
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泣かないで、花を見なさい

2014-09-18 06:42:01 | 韓で遊ぶ

一番立派な傘売り
傘売りをする一人の青年がいた。青年は世の中で一番立派な傘売りになりたいと思って一日も欠かさずに傘を売りに行った。
夏、梅雨が始まると青年はいつもよりもまじめに傘を売りに行った。そんなある日、路地である老人に出会った。姿は貧しく見えたが老人は生涯傘を売りながら生きて来た老人だった。青年はその老に一番立派な傘売りになる秘訣を聞きたかった。
「あの、おじいさん。」
青年はビニールの傘を脇に抱えて急いで老人に近づき頭を下げた。
「ひとつお伺いしたいことがあります。私は世の中で一番立派な傘売りになりたいのです。どうしたらいいでしょうか。」
老人は足を止めて青年の顔をまじまじと見た。
「おじいさん、私も鳥の動きを見て天気ぐらいはわかります。“ツバメが低く飛ぶと雨が降る”という説がなぜできたかと言うことはよく知っています。天気が悪くなると地上の虫たちが低いところに移動するからツバメも虫をとるためには自然と地上の上につくぐらい低く飛ぶしかありません。すぐにでも雨が降り出すように空が黒くなれば、鳥が忙しく飛ぶ姿を見ることができますが、それもまた雨が降るのに備えて鳥が急いでえさを探しているのです。」
青年はもしや老人が自分を無視するかもしれないと思ってくどくどと話をした。
老人は言葉なく青年を見た。固く結んだ口の周囲にしわが深いのを見ると、なかなか老人は口を開きそうになかった。
「私は傘売りとして、天気も思い通りに変えてみようと思っています。」
その言葉のせいか老人の口元に急に薄い冷たい笑いが起きた。
「天気さえも思い通りに変えることのできる傘売りが一番立派な傘売りだと思うのですが、、、普段おじいさんはどう思っていらっしゃいますか。」
「私も一時はそんな考えをしたことがあった。」
口元の冷たい笑いが大きくなったと思ったら老人は口を開いた。
「それで、天気を変えることのできるいい方法でもあるのか。」
「今、その方法を研究中です。これから一生懸命努力して、傘をたくさん売りたい日には雨を降らせ、どこか遊びに行きたい日にはやさしく澄んだ日差しがさすようにするつもりですが、もし、おじいさんが持っている秘訣があれば、ちょっと、、、」
青年の言葉が最後まで終わらないうちに、老人はそれ以上青年の話を聞かずに歩き始めた。
「おじいさん。おじいさん。一言言ってください。どうして、何も言わないで行ってしまいますか。傘をたくさん売るのに何が一番重要ですか。」
青年は急いで老人を引きとめた。すると老人は面倒くさそうにもう一度口を開いた。
「天気を忘れなさい。」
「えっ。」
「天気に関してははじめから関心を持つな。」
青年は老人の言葉を理解できず少し前を行く老人の後ろをしっかりとついて行った。
「おじいさん、傘売りが天気に関心を持たないでどうやって傘をたくさん売ることができますか。それはめちゃくちゃな話です。」
老人は足を止めて本当に気の毒だと言う風にしばらく青年を見た。
「天気の心配はしないで、お前はただ根気強く傘だけを売りなさい。雨が降るか振らないか、心配するのと言うことだ。お前が心配したとしても雨が降るし、お前が心配しなくても雨が降るのがわからないのか。本当の傘売りは天気に気を使わない。それは天にかかっている問題だ。私たちが日が沈まないのを願っても日が沈まないことがあるか。」
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泣かないで、花を見なさい

2014-09-17 04:58:43 | 韓で遊ぶ

星になりたかったカエル
星になりたかったカエルがいた。夜空にきらめく星を見るたびに星の光として輝きたいと思っていたカエルがいた。
カエルはある日蛍が尻から光を出すのを見て、「そうだ。やった。」と蛍を訪ねて行った。
「蛍君、俺も君のような優雅な光を出したいと思うのだが、どうかその方法を教えてくれるわけには行かないか。」
「これは私たち蛍にだけできることだ。君はカエルだ。カエルがどうやって蛍火を出すと言うのだ。」
蛍はカエルが生意気に思えたが表には出さずに親切に対処した。
カエルはどうすれば蛍火のような澄んだきれいな光を出すことができるのかと思ってよくよく考えた。しかし、どんなに考えても蛍を捕まえて食べること以外には他の方法が浮かばなかった。
カエルは近寄ってくるたびに蛍を捕まえて食べた。おなかがいっぱいでもこれ以上食べることができなくなるまで蛍を捕まえて食べた。
案の定カエルの体からも蛍と同じ光が出始めた。蛍は腹にルシペリンという物質が合って空気が入っていくとそれが反応して光を出すが、蛍をたくさん食べたカエルの体にもその物質が出始めたのだ。
カエルは楽しくなって夜空の星を見て叫んだ。
「うぁ。俺ももう星になったのだ。俺の体から光るこの光をちょっと見ろ。お前たちよりも美しくはないか。」
カエルは星を見てそうやって見境なく叫んでいる時だった。ヒキガエルが一匹、カエルのからだから出る光を見て黙って近づいて来てそのままカエルを飲み込んでしまった。
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泣かないで、花を見なさい

2014-09-16 06:28:58 | 韓で遊ぶ

花でできた鞭
主人の鞭打ちに耐えることのできない下人がいた。彼は主人が死ねと命令すれば死ぬまねでもするほど主人に無条件に服従した。しかし、主人は彼に鞭打つことをためらわなかった。少しでも気に染まないことがあってもあれこれ鞭を替えながら振り回した。
下人の体にはあざが消える日はなかった。下人はそのまま黙っていたら命さえも無事でいることができないと言う思いがしてどうすれば主人の鞭から逃げられるのかをよくよく考えた。しかし、どんなに考えてもいい考えが浮かばなかった。主人が鞭打つことをやめない限りどんな方法のないことだった。
主人はどんなに真心を尽くしても依然として鞭打ちをやめなかった。もはや、彼の願いはどんなに鞭打たれても痛くない鞭で打たれたらと、言うことだけだった。
そんな春の日のことだった。下人は主人に伴って野原に行った。野原には花が咲いて美しかった。はまなでしこ、わだそう、あつもりそう、ひめじおん、あかばな、あけぼのすみれ、おだまきなど、たくさんの草花が競って咲いていた。
下人は久しぶりに美しい花を見て、憂鬱な心が明るくなった。そっと主人を見ると主人も花を見て明るく微笑んでいた。
「そうだ。あの花で鞭を作って主人にあげよう。花で作った鞭だからおそらく痛くないはずだ。」
下人は急いで草花で鞭を作って主人にさし上げた。
「ご主人様、私の願いは花で作った鞭で打たれることです。どうか私の願いを聞いてください。」
「そうか。それがお前の望みなら聞いてやろう。」
主人は花でできた鞭を受け取ると力いっぱい下人に振り下ろした。
下人は驚かずにはいられなかった。花でできた鞭だからどんなに力いっぱい振り下ろしても痛くないと思っていたのにそうではなかった。主人が鞭を振り下ろすたびに痛くて気絶するほどだった。下人の背中にはすぐに真っ赤に鞭の痕が残った。
下人は主人の鞭打ちが終わると庭の片隅で頭を抱えて泣いた。下人はいくら花でできた鞭だと言っても鞭は鞭だと言う事実を知らなかったのだ。
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泣かないで、花を見なさい

2014-09-15 07:08:59 | 韓で遊ぶ

父と靴
誰かが父親の話を始めると私は父が靴を買ってくれた靴を思い出す。最近の子供たちはいわゆるメーカー製の品質のよい運動靴を履くが、私が幼かった頃は黒いゴム靴とか質の悪い運動靴がせいぜいだった。どうしたものか、白いゴム靴とか柄の入った運動靴でももらって履くとそれがそんなにうれしくもなかった。
だが、父は靴を買ってもいつも私の足よりも1,2サイズ大きい靴を買ってくれた。はじめは私は、父が私の成長が早いからわざとそれにあわせて大きな靴を買ってくれるのだと思った。それに、貧しい家の事情では何とかして少しでも長くはいてほしいと言うためにだと思った。
しかし、私はどんな靴を履いても長くはくことができなかった。私の足が大きくなる前にいつも靴が先に磨り減ってしまった。それは靴の品質が悪かったからだ。どんなに大事にはいても靴が先に磨り減って私の足にちゃんと合う靴を履くことのできる機会はほとんどなかった。それでも父は私の足よりも1,2サイズ大きい靴を買ってくれた。
私はいつも不満だった。道を歩くたびに靴が脱げるのではないかと注意して歩かなければ、だめだった。一度学校の運動会で大きな靴を履いてかけっこをしてびりになったこともあった。私は自然に歩くにものろかったし、どんなに急ぎのことがあっても走ることはめったになかった。
その後、大人になって今度は父に私が靴を買ってあげるようになった。父の還暦を記念してデパートにある靴屋に立ち寄った私は父にこう言った。
「前に私にしてくれたように今度はお父さんに1サイズ大きな靴を買ってください。」
すると父がにっこり笑ってこう言いました。
「私がお前の足よりも大きな靴を買ってあげたのは私なりの考えがあったからだ。それはいつも余裕を持って暮らしなさいと言う意味だった。自分の足にぴったりとある靴を履いて忙しく走り回りながら世の中を生きることよりは、少し緩い靴を履いて少し余裕を持って歩きながら世の中を生きるのがいいのではないかと思ってだ。」
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泣かないで、花を見なさい

2014-09-14 05:03:56 | 韓で遊ぶ

水平線の向こうには何があるか
海を愛する一人の少年が大きくなって大人になった。少年は大人になったら、生きることが苦しくつらかった。何よりも愛することが一番苦しかった。
つらく絶えることができない時になると彼は幼い頃に走って遊んだ海辺に来て水平線を眺めた。母が死んだ時も、愛する人を胸に埋めた時も海辺に来て遠い水平線を眺めた。
水平線にはカモメが飛んでいた。あるカモメは水平線を口にくわえて飛んだりもし、またあるカモメは瞬間的に水平線を越えて消えたりもした。
彼は水平線の向こうには何があるのか気になった。カモメがなぜ水平線を越えて消えるのかわからなかった。
水平線の向こうには何があるのか。また、水平線があるのか。でなければ続いて美しい花が咲いて、ちょろちょろ小川が流れるそんな平和な世界が広がっているのだろうか。
彼は毎日海辺に来て水平線を眺めた。そしたら、ある日水平線の下にさっと飛び降りた。
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泣かないで、花を見なさい

2014-09-13 05:24:37 | 韓で遊ぶ

偉大なカエル
深い井戸の中に変えるが1匹暮らしていました。そのカエルは雲と日差しと星が光るのを見ていつも井戸の外を恋しいと思っていた。
「俺はいつか井戸の外に出て行くんだ。その夢をいつかかなえるんだ。」
こうやって井戸の外の世界に出て行くことが願いのカエルは毎日井戸に映る雲と星を見ながら日々を送った。友が泳いで鏡のような水面を揺らすと波が静まるまで待って水面に映る空を覗き見た。
そんなある日のことだった。井戸の中に一風のさわやかな風が吹いてきた。カエルは風に聞いた。
「風君、風君。君は井戸の外の世界がどうなのか知っているか。」
「もちろん、知っているとも。」
風がカエルの顔をくすぐりながら言った。
「私はこの世界のどこでもいけないところはない。」
「ならば、ちょっと教えてくれ。井戸の外がどんなところか、俺は本当に気になって仕方がない。」
カエルは少しも待てないと言うようにまじまじと風の顔を見た。
「うーん。井戸の外はね。日差しがまぶしいひろい世界だ。ここのように暗くて狭いところではない。」
「本当に。」
「もちろん、海もある。」
「海。」
「この井戸よりも数千倍、数万倍広いところだ。遠く水平線があって、水平線の上に白い帆掛け舟が浮かんでいて、たくさんの魚が暮らし、家ぐらい大きい鯨もいる。」
風はにこりと笑いながらカエルの顔をくすぐり続けた。
「風君、俺を海に連れて行ってくれ。俺はこの井戸の中が狭くて苦しい。」
カエルは井戸の外に海があると言う話を聞くと胸がどきどきした。
「さあ、そうしてあげたいけど、、どうしよう。私には君を助ける方法が何もない。それは君自身がしなければならないことだ。」
風はその言葉を最後に体を翻して急に井戸を抜けて行った。
「風君、行かないで。俺ともっと話をしよう。」
カエルは急いで風を引きとめた。しかし、風はいつまた来るという言葉もなく急いで井戸を抜けて行ってしまった。
カエルは残念だった。井戸の外に海があって、海に鯨がいると言う事実を知ると、より井戸の外の世界にあこがれた。どうすれば井戸の外に出て、もっと広い世界で暮らすことができるかと考えることだけで1日が足りなかった。
しかし、どんなに考えてもいい方法はなかった。隣人の目を避けて真夜中に何回か井戸の外に出て行こうと試してみたがいつも「ドン。」と言う音を立てて落ちるだけだった。
それで仕方なく母カエルに助けを求めた。
「母さん、井戸の外の世界に出て行きたい。どうすればここを抜けて行くことができるか、母さんその方法を教えてください。」
「何ですって。お前それを本気で言っているの。」
母カエルはすごく驚いたようにぴょんと飛ぶまねをした。
「まったく、お前は、そんな考えははじめから持ってはいけない。井戸の外には悪いやつらがどんなに多いか。蛇と言うやつらは私たちを一口に飲み込んでしまう。」
「母さん、だからと一生ここで暮らせない。ここはあまりにも狭くて暗い。」
「いや、違う。蛇がどれだけ怖いかお前が知らないからそうだ。私たちはここで暮らさなければならない。先祖代々生きてきたここが私たちのふるさとで、最も安全なところだ。」
母カエルははじめから井戸の外に出る考えすらするなと言う言葉だけ繰り返した。しかし、子カエルは井戸の外に出て暮らしたいと言う夢を決して捨てなかった。
ある年の夏だった。何ヶ月か雨が降らず干ばつがひどかった。人々は飲み水を汲もうと帰るが暮らす井戸に来はじめた。
「他の井戸はみんな枯れてしまったけど、この井戸だけは枯れない。これは本当にありがたいことだ。」井戸は一日中水を汲みに来た人々で混雑した。人々は互いに争ってつるべを落とした。
カエルは人々がつるべを落とすのを見てひざをポンと叩いた。井戸の外に出て行くことのできる絶好のチャンスだった。
「そうだ。このつるべに載って井戸の外に出て行くんだ。」
カエルはこぶしをぎゅっと握って決心した。両親兄弟と別れると思うと涙で前が見えなくなるが、この程度の苦痛は我慢して勝たなければならないという思いがした。
「母さん、俺はつるべに乗って井戸野外に出て行く。母さんのそばを離れたくはないけどこの機会を決して逃すことはできない。」
カエルはもう一度固く決心して母カエルに言った。
母カエルは大きな目をしょぼしょぼしながら言葉もなく息子の顔だけを見つめた。そうしていたら、目に涙を浮かべて少しして口を開いた。
「そうか、わかった。息子よ。私はいつかこんな日が来ると思っていた。本当に切ないね、だけど、私は自分の息子をいつまでもこんな狭いところにおいておきたくはない。お前がそう思うなら行きなさい。たとえ井戸の外に多くの危険があったとしても行きなさい。お前が切実に行きたいと思うときに行きなさい。前にもつるべに乗って外に出て行った祖先たちは多かった。だけど、これひとつだけは覚えておきなさい。二度と帰ってくると思ってはいけない。私たちの国には井戸の外に出て行くことができないと法律で決まっている。帰ってきた日には死刑になる。わかったかい。」
「はい、おかあさん。」
カエルは母の言葉に涙を浮かべた。だが、決して母には涙を見せなかった。
カエルは両親、兄弟以外には誰にも別れの挨拶をしないで、夜が明けるのを待った。夜が明けて一番早く水を汲みに来る人のつるべに乗って外に出て行くつもりだった。
夜が明けると一人の女性が水瓶を頭に載せて井戸にやってきた。カエルははらはら胸を気をもみながらつるべが井戸の中に降りてくるのを待った。つるべが井戸の中にゆっくりと下りて来た。
カエルはつるべの水がいっぱいになるのを見てさっとつるべに飛び上がった。つるべは徐々に井戸の外に上がっていった。

あ、井戸の外は風が言っていたとおりだった。まぶしい日差の下限りなく広い野原が広がり、その野原の終わりに青い海が波打っていた。
それは本当に驚きの光景だった。カエルは驚いて口を塞ぐことができなかった。空は井戸の中で見ていた穴のようなものではなかった。夜空に星がこんなにたくさんだとは夢にも思わなかった。
カエルは海辺に近い川岸に家を建てて毎日海を眺めて暮らした。遠くにカモメが飛ぶ水平線を越えて鯨が水を噴出している姿を見るたびに限りなく幸福だった。海に虹がかかると躍る胸を押さえがたかった。

瞬きする間に何年かが過ぎた。カエルは井戸の外で暮らすカエルに出会って結婚もして子供も生んでこれ以上の幸せはなかった。カエルは本当に幸福だった。自分こそがこの世の中で一番幸福なカエルだという思いがした。しかし、本当におかしなことだった。いつの頃からか夜に眠ろうとするとふと井戸の中に暮らす母の顔が浮かんだ。一度母の顔が浮かぶとその夜には母の思いに一睡もできなかった。目をつぶっても母の顔が浮かんだ。目を開けても母の顔がちらついた。
カエルは世の中が広いことも知らずに井戸の中のカエルとして暮らす両親兄弟たちがかわいそうだった。井戸よりももっと広い世の中があると言う事実を両親兄弟に伝えてあげなければならないという思いに駆られた。
「両親兄弟のために私がしなければならないことがあるはずだ。井戸の中のカエルたちに井戸の外の世の中を知らせてやる義務があるのだ。このように広く、いい世の中に自分ひとりだけが幸福に暮らすということはいけないことだ。それは本当の幸福ではない。他のカエルにも私のように暮らす権利がある。私は私の義務を放っておいてはならない。」
カエルは何日か考えた挙句妻に言った。
「お前、俺は井戸にちょっと行って来る。最近母の顔が恋しい。母を今まで井戸の中に置いておいたのは、私の間違いだ。井戸に暮らす両親兄弟を皆井戸の外に連れてくる考えだ。」
「ええ、そうしなさい。もう、皆井戸の外に出て暮らす時になったのよ。あなたが行って皆連れて出てきなさい。」
カエルの妻は子供カエルの手を握って、遠く村の入り口の外まで夫ガエルを見送った。
カエルは決して帰って来てはならないと念を押した母の言葉が浮かんだが、また水を汲みに来た女性のつるべに乗って井戸に戻っていった。
「帰ってくるなとあんなに念を押したのに、帰ってくるなんて。これはどうしたらいいものかしら。」
母カエルは息子を見るなりため息をついた。
「息子よ。早く帰りなさい。私はこうやってお前に会えただけで十分だ。」
「いいえ、お母さん、今度はお母さんも井戸の外に出て暮らさなければなりません。井戸の外はどれだけ暖かくて広いところか。私一人で井戸の外で楽に暮らすことはできません。」
「いいや、私はお前だけよい暮らしをしていたらいい。早くここを抜け出しなさい。早く。つかまったら死ぬ。」
母カエルは早く逃げるようにと言う言葉だけ繰り返した。
「心配しないでください。お母さん。」
「これ、早く逃げなさい。今すぐに逃げなさい。」
「いいえ、私はお母さんを連れて行きます。」
カエルは逃げなかった。むしろ井戸の外に出て暮らそうと両親と兄弟に説得し続けた。

しかし、彼はその日の夜を越えることなくそのままつかまってしまった。
「お前は国法を犯した罪は大きい。井戸の中を抜け出してはならないという国法を犯したお前の罪は明らかだ。」
カエルはたくさんの兄弟たちが見ている真ん中で裁判を受けることになった。
「私たちはお前を許すことができない。平和に暮らす兄弟に浮いたうわさを流した罪。井戸の外に出て暮らそうと上手い言葉で誘惑した罪は死に値する。」
裁判長の声は厳しかった。
「裁判長、井戸の外にはここよりも広い世の中があります。」
「そんなものはない。」
「私は井戸の兄弟に井戸よりも広い世の中があると言う事実を知らせてあげたいと思いました。そして、兄弟にもそんな世の中で暮らす権利があると思いました。」
カエルは裁判長の前で少しも気後れしないで堂々と頭をあげて言った。
「お前は一体、どんな世の中を見てきたからとそのような馬鹿な話をするのだ。」
裁判長はそんなことを言うカエルが生意気だと言うように口元に冷たい笑みを浮かべた。
「言ってみろ。一体どんな世の中だ。」
「海がある世界です。」
「こいつ、海だと。一体海とは何だ。この世の中にそんなものはない。ここよりもいい世の中はない。」
「裁判長。井戸の外には明らかに海があります。井戸よりも広い世の中があります。もはや私たちも井戸に閉じこもって暮らすのではなく限りなく広くて大きい海がある世界に出て暮らさなければなりません。そうしないと私たちは皆井戸の仲のカエルになってしまいます。」
カエルは裁判長の威厳の前でも自分の主張を決して曲げなかった。
裁判長は言うことがないというようにしばらくの間言葉をなくしたが、何人かの他の裁判官と議論した後彼に死刑を宣告した。
「お前は死に値する。しかし、まだ機会がない訳ではない。一回機会をあげよう。今でも、井戸の外に海がないと言いなさい。お前が暮らした外の世界よりここがいい世界だと言いなさい。そうしたらお前を許してやろう。」
死刑執行台の上に立ったカエルはしばらくためらった。涙を抑えている母の姿が見えた。井戸の外に自分を待っている妻と子供たちの姿も浮かんだ。
「どうだ、今も井戸の外に海があるのか。」
厳しい裁判長の声がまた聞こえた。
カエルは少しも躊躇しないではっきりと力のある声で言った。
「はい。井戸の外には海があります。時々虹もかかります。」
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泣かないで、花を見なさい

2014-09-12 03:44:12 | 韓で遊ぶ

春を待った2匹のウサギ
冬山の中に2匹のウサギが暮らしていました。1匹は日向の側の山裾に住んでいて、もう1匹は日陰側の山裾に暮らしていました。
彼らは起きても寝ても春を待っていた。彼らの願いは一日でも早く冬を終えて春を迎えることだった。白く山を覆った雪が融けて渓谷の氷の下で流れる水の音を聞きながら、山と野原に新しく出始めた草を思いっきり食べることだった。
しかし、冬はすぐには過ぎていかなかった。少し暖かくなったと思って穴の外に頭を少し出したら冷たい風が吹いてきた。去年の初雪が降り始めたときから穴の中に閉じこもって冬眠をしているのは本当に息苦しいことだった。
「ああ、もう春が着たのか。」
「寒くておなかが空いてたまらない。」
「我慢して待っていればいつか春が来るだろう。」
彼らは一日一日が1年のようだった。冬の間食べる食料さえなくなりそうで、大切にして、大事にして食べた。燃やすものさえ足りなくて真夜中に気温が下がっても火をつけないで我慢した。
だが、春は来なかった。一日でも早く花と鳥とあれこれと話をしながら慰めてほしかったが春は帰ってくる気配さえ見えなかった。
だからと言ってむやみに穴の外に出て行くことはできなかった。まかり間違って穴の外に出て行くことはウサギ狩りに出てきた村の人々が生きていくために棒を持って責め立てて降りてくるとびくっともできないでつかまってしまってしまうのが目に見えていることだった。
「しかたないな。我慢して待っていれば春が来るだろう。」彼らはすべてのことをあきらめてまた深い冬の眠りの中に落ちていった。

その後どれぐらい時間が過ぎただろうか。日向の山裾に住むウサギはこの頃目覚めて向こう側の日陰の山裾を眺めた。春が来て雪が融けたかと思ってだった。しかし、そこには雪が白く積もっていた。
「まだ春が来ないようだ。目覚めるにはまだ早すぎる。」
彼はまた冬の眠りの中に落ちた。
だが、いくらも経たないうちにまた目を開けて向い側の日陰の山裾を眺めた。雪が依然と融けないでそのままだった。
「おやまあ、まだ、雪が融けないね。雪が全部融けたら出て行かないと。」
彼はまだ冬の眠りから覚めるときではないと判断してまた眠りについた。
彼はこんなことを何回繰り返したかわからない。目を開けて向い側の日陰の山裾を眺めるといつも雪が融けないでそのままだった。そうしていたら結局そのウサギは日向側の穴の中から出てくることができず餓えて死んでしまった。
日陰の山裾に住んでいたウサギも、ふと冬の眠りから覚めて向い側の日向の山裾を眺めた。日が当たったその場所にはいつの間にか雪が融けてしまってなくなっていた。
「あ、私が寝ている間にもう張るが来たわ。待ちに待った春が来たわ。」
彼はすぐに穴から飛び出して雪の融けた日向側に向って走って行った。しかし、風は身を切るように冷たかった。彼は結局穴の中に戻ることができず冷たい風が吹く山の中でそのまま凍え死んでしまった。
日向側と日陰側に暮らす2匹のウサギが春を待っていたがそのまま2匹ともに凍え死んでしまったのだ。
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