Cryptoblepharus sp.?
私達がキャンプ場に到着する頃にはもう夜も更けた頃だだった。
静まり返ったキャンプ場の中、唯一電灯のある机に向った私達がフィールドノートを書いていると、大男が話しかけてきた。
「車のバッテリーが上がっちゃったんだ。君達、車持ってない?」
そこで私は、車はあるけれどバッテリーとバッテリーを繋ぐコードがない。申し訳ないという旨をつたない英語で説明すると、その大男は残念そうな顔をした。ここで友人が私の説明のつたなさを日本語でけちょんけちょんにディスリスペクトしていると、大男がまた口を開いた。
話によるとこの大男は自称アボリジニで、せっかくだから会った記念に自分と記念撮影してもいいよ、と向こうから申すのだ。
そして何故か深夜のより一層静まり返ったキャンプ場で、謎の記念撮影大会が行われた。
写真を撮り終わると、大男は私達と握手をして満足げに去っていった。
お役に立てずに申し訳ないけれど、満足してくれたなら良かった。
そしてまた私達は、机に向ってフィールドノートを書き始めた。
しばらくすると友人が面倒くさがり出したので、私が人の記憶の儚さとこの旅行を記録することの重要さを順を追って暑苦しく説明していると突然、背中でモゾモゾと何かが動くのを感じた。
ナンダナンダ、と取り出してみると指の腹ほどの大きさしかない小さなトカゲだった。
【2010/03/07/オーストラリア Cairns,Australia;Mar. 2010】