ミナミクロヒメウ(Phalacrocorax sulcirostris) Little Black Cormorant
ここはバリーン湖(Lake Barrine)。
駐車場から湖に下る道沿いの森には鳥が多くて、今までとはまた少し違う鳥相が垣間見えた。
キバシリみたいに木の幹をつたうノドジロキノボリや、森の赤マーカーことフヨウチョウ、ハシブトセンニョムシクイと違って目先が少し白いチャイロセンニョムシクイ、それから優しい顔をしているキノドヤブムシクイが混群で採餌していたのだ。
さらに、赤い花にはシラフミツスイやコキミミミツスイが来ている。
この、森を少し変えれば鳥も少し変わる、というオーストラリアならではの感覚が良い。
湖面を見渡すと、遠くの水面に夏羽のカンムリカイツブリが20羽以上浮かんでいる。
小さなミナミクロヒメウは、羽を乾かすために水面に張り出した枝にとまって、すぐ下を通り過ぎるマミジロカルガモ達を眺めていた。
ハイガシラヤブヒタキ(Poecilodryas albispecularis cinereifons) Grey-headed Robin
このハイガシラヤブヒタキは、オーストラリアの中ではほんのごく一部の地域にしか生息していない鳥。
タネコマドリみたいに暗い地面をチョンチョンと跳ねて移動する姿が印象的である。
ミドリメガネトリバネアゲハ(Ornithoptera priamus euphorion) Cairns Birdwing
湖の畔には花が沢山咲いていて、そこにはなんと6羽以上のミドリメガネトリバネアゲハや、眩しいほどブルーメタリックなオオルリアゲハが吸蜜に来ていた。1羽の雌のユーフォリオンの周りには雄が3羽ほどその美しさを競い合っており、巧みにホバリングしては吸密する雌の気を引こうとしていた。
夕方になり、私達はユンガブッラ(Yungaburra)のクリークに向かった。
目的はカモノハシである。
薄暗くて静かな川沿いの道を歩いていると、突然足元から大型のトカゲが走り出した。
Physignathus sp. ?
Physignathus lesueurii lesueurii(ヒガシウォータードラゴン)あたりが近いと思うのだけれど、文献足らずでまだ同定できていない。
また、スッポンみたいにのっぺりとした甲羅をしたクレフトマゲクビガメ(Emydura macquarii krefftii)が水の緩やかな区画のクリークの中にポツリと浮かんでいるのを見た。
マミジロナキサンショウクイ(Lalage leucomela yorki) Varied Triller
鳥達は日暮れ近しとせわしなく動いていて、ハイムネメジロの亜種 Z.l.vegetus やカオグロカササギビタキ、ナマリイロヒラハシが混群で通り過ぎていった。
マミジロナキサンショウクイの雌は“ここを今日の塒に決めた”と言わんばかりで、私がじっとり見ていても飛びたく無さそうにしていた。
狭いクリークの上を、体格の良いソデグロバトが真っ直ぐに飛んでいった頃、太陽は西の空に沈んで行ってしまった。結局私は何故かカモノハシを波紋しか見ていない。同じ場所を巡った友人は2度も見ているし写真にも収めているというのにだ。
【2010/03/08/オーストラリア Cairns,Australia;Mar. 2010】