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イヌと言えば柴、だと私は思っている。断然、柴犬。耳の垂れた毛の長いのとか、モップみたいのとか、顔のつぶれたのとか興味なし(好きな方ごめんなさい)。耳が立っていて、尻尾はくるんと巻いて背中にくっついていて、毛は短くて、凛としたその立ち姿。それが、私にとっての、THE犬、である。
・・・というわけであるからして、こんなタイトルを見たら、見に行かない訳にはいかないのだ。もちろん、いわゆる「キツネ顔系のシバ」のドキュメンタリーであることは承知。よく見る柴犬よりはちょっと細面で、目も細め。でも、やっぱり凛々しい。ホント、惚れ惚れするほど凛々しく美しいシバたちである。
この「キツネ顔系」の柴犬は、日本にいる柴犬全体のわずか2%であるとか。この2%が、大昔、日本の野山を人の近くで駆け回っていた柴犬に近い姿なのだという。その原型に近い柴犬「縄文柴」の血統を絶やさないように、大事に育てている照井さんの日常を軸に、本作は描かれていく。照井さんから縄文柴を譲り受けた人々が、愛犬と一緒に紹介される。また、その縄文柴たちが子孫を残す様子も撮られている。
上映後、監督の伊勢真一氏と、絵本作家のいせひでこ氏の対談があり(知らんかった!)、私としては折角だから監督の撮影秘話をたくさん聞きたかったが、いせ氏が半分以上お話されていた。監督の話によれば、本作は、東日本大震災の直前(or直後)から撮影開始されたもののようで、被災地のドキュメンタリーの撮影と、本作の撮影は並行して行われていたそうだ。被災地へ行ったのと同じく、本作の撮影も、「行かずにいられなかった」とのこと。なるほど、それはそうだろう。本作を見れば、その意味は非常によく分かる。それほどまでに、本作は、照井さんの縄文柴を育てる熱意と、飼い主さんたちの縄文柴への愛情、そして何より、当の縄文柴たちの魅力が溢れる作品だからである。
秋田や長野の自然豊かなところに住む縄文柴たち。雪の野山や、紅葉の山道を、気持ちよさそうに、飼い主さんに寄り添いつつ、時に先を行き、後ろになって、自由に歩き、走る。ああ、なんでこんなに柴犬の姿って、日本の自然に溶け込むんだろう。見ていて、ジーンとなってしまった。90分、シバ、シバ、シバ、シバ、、、、シバ尽くし!! こんだけ見せられたら、キツネ顔だろうがタヌキ顔だろうが、柴犬を好きにならずにいられるわけがないでしょ。もともと好きだったけど、もっともっと好きになったゾ。シバ万歳!!!