★★★★★★★★☆☆
これは随分前に見ていて、見た時は「さっすがアルトマン、おもしろい!」と思ったのに、なぜかレンタルリストに入れており、しかも、見たことさえ忘れており、DVDを再生して3分くらいして、ようやく「あ゛、、、これ、、、」と気付いたという・・・。がーん。
アルトマン作品は割と好きである。こういう、一見、散漫な感じの作品はどちらかというと苦手なのだけれど、アルトマンについてはどういうわけか、面白い、と思う。最初に見た『プレタポルテ』でハマった感じである。世間的にはあまり評判は良くないみたいだけど。
さて、本作は、伊丹十三監督の『お葬式』の、結婚式&アメリカ版って感じじゃないかなぁ。『お葬式』は、テレビのオンエアでしか見たことないけど・・・。本作より、よほどメリハリが効いていて、笑うポイントがハッキリしていた記憶があるけれども。
私が特に印象に残っているのは3つほど。まずは、新婦がニカッと笑った時に、シャキーンと歯列矯正のブラケットが光るその笑顔。これがハッキリ言って可愛いとか、そういう感じじゃないのである。ギョッとなるのだけれども、これがその後の仰天シーンにつながる。あの肖像画はどう見ても悪意があるとしか思えない・・・。
2つ目は、やはりミア・ファロー。彼女が本作で一番存在感があったかも。彼女演じる新婦の姉バフィが、トンデモなのだが、見事にはまっている。最後まで、画面の端にチラと映るだけでも存在感は変わらず。さすが・・・。
3つ目は、新婦の母上、チューリップ。大体、チューリップって名前がどーなんでしょ。新郎の縁者(どっから見てもオッサンである)に突如言い寄られ、「いけないわ」なんて言いながら、ウエディングパーティーを抜け出して温室で逢引するという、おいおいな展開。このチューリップを演じたキャロル・バーネットが素晴らしい。この人は、あのドラマ「デスパレートな妻たち3」で、ブリーの継母役で出演していて、その時も、存在感抜群であった。どちらも、割とキツそうな女性であるが、彼女の雰囲気に合っている。
ちなみに、「デスパレートな妻たち」に出演していた人がもう一人。新婦の父親役のポール・ドゥーリー。彼は、ドラマではスーザンの実父役だった。実にロクでもない父親役だったが、本作では、まあ、比較的マトモな父親なのではなかろうか。
しかし、本作は、これだけのエピソードを脈絡なく描いても、素晴らしく分かりやすい。『M★A★S★H』でも思ったけれども、どうして、こんなグダグダ一歩手前の所で鮮やかに収集をつけられるのだろう、と驚嘆してしまう。もちろん計算してやっているんだろうけれど、テキトーにやっている、と言われても納得しそうな、それでいて、実にスマートな作りなのである。こういう人の頭の中って、一体どうなっているのだろうか。ものすごーく不思議である。
彼の作品では比較的とっつきやすい方、という評価の様なので、初アルトマンにはおススメかも。