科学の才能に恵まれた10歳のT・S・スピヴェット(テカムセ・スパロウ・スピヴェット)は、自分の発明がスミソニアンで表彰されることを知らされる。その少し前に双子の弟レイトンを銃の暴発事故で亡くし喪失感に覆われていたスピヴェット家から、T・Sはこっそり抜け出し、一人スミソニアンを目指す!
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天才児が主人公のハートウォーミング映画は結構あって、まあ、嫌いじゃないのだけれど、本作については、ただただヘレナ・ボナム=カーターが出演しているので見たかったのでした。その後、監督が『アメリ』の人だと知り、あれは私はダメだったので、正直どうかなー、と思いながら公開初日に劇場へ行きましたが、これは、一応アタリかな。
3D初体験でございました。この映画で3D? と思ったけれど、なるほどね、という感じでした。何というか、飛び出す絵本的な3D。心配したほど目も疲れませんでした。全編、とにかく映像が美しい。
さて、タイトルからもお分かりの通り、主人公は天才のスピヴェットなのですが、スピヴェットというのはラストネームでして、天才児のファースト&ミドルネームは、T・S(テカムセ・スパロウ)なのよね。ちなみにお父さんであるカウボーイ親父はテカムセ・エリヤ。天才児はスピヴェット家の長男なのです。
そもそも、天才児に一人旅を決意させたのは、二卵性双生児の弟レイトンを亡くして意気消沈する両親の姿。なんたって、レイトンは天才児とはキャラが全然違って活発な野生児で、カウボーイ親父のお気に入りだったのだから。
そんな両親の喪失感を、自分はどうしても埋められないと強く感じた天才児は、タイミングよくかかってきたスミソニアンからの電話での招待に応じることにしたのです。たった一人で、、、。う~、泣けるよ、このいじらしさ。
始まります、天才児の一人旅。まあ、この辺はありがちな、無賃乗車&ヒッチハイクで、無事スミソニアン着。、、、でもって、いよいよ授賞式でのスピーチです。
このスピーチが、、、。泣けます。いえ、見ている間は泣きませんでしたが、今、思い出すと泣けるのです。レイトンの亡くなった事故の責任が自分にあると、天才児は深く自分を責め続けてきたことが、ここで分かるからです。ちがうちがう、事故の最大の原因は、レイトンに銃を与えたカウボーイ親父なのよ、と、見ている大人たちは心の中で叫びます。私も叫んでいました、心の中で。
この天才児のスピーチを、どういう訳か、ヘレナ・ボナム=カーター演じる母親のクレアが会場で聴いています。この辺、描写がないので、どういういきさつで何時の間に彼女がワシントンに来ていたのか(カウボーイ親父も来ているんだけど)がナゾ。まあ、でもそんなことは気にならない。
最終的に、両親はT・Sが一人自分を責めながら心を痛めていたことを知り、家族再生でハッピーエンド、という、言ってみれば結構単純なストーリーです。
ただ、まあ、スピヴェット家の人々がみんなもの凄く愛すべき変人たちで、その変人ぶりを見事に飛び出す絵本的に描いてくれていますので、非常に楽しめます。T・Sが一人旅で出会う人々ももれなく愛すべき変人です。
天才児とはいえ、やっぱり子どもは子ども。恐ろしく知恵が回るかと思う半面、短絡的というか単純というか。親の愛情に飢えている、一人の男の子なのです。そして、天才児でもコンプレックスを抱くという当たり前の事実。自分よりゼンゼン勉強なんかできないけど、両親の愛情を自分より一杯受けているレイトンは、彼にとって、どうにもこうにも乗り越えがたい存在なのです。天才児はつらいよ、トホホ・・・。
天才という峰が高いだけに、恐らく彼のこれからの人生、谷も深いに違いない・・・。けれども、彼はきっと、あの愛すべき変人家族に囲まれて、それを乗り越えていってくれるだろうな、と期待させてくれる作品です。
ま~、何と言っても、特筆すべきは、T・Sを演じたカイル・キャトレットくんの可愛さ。撮影時11歳だというけど、7~8歳くらいにしか見えない・・・。なんつーか、個人的に秘かなお気に入りのマイケル・ヴァルタンの子ども時代はきっとこんなだったんじゃないか、と思わせるようなイケメンぶりで、おまけに演技もバッチリと、もう、彼に尽きるでしょう、本作は。
我が愛するヘレナも、ステキな変人お母さんを演じておられまして、久々のハマリ役ではないでしょうか。こういう知的なぶっ飛んだ役は、彼女にピッタリです。
見に行って良かった!
天才児も楽じゃない・・・。
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