





戦後復興期を過ぎ、右肩上がりの日本(?)でエアポケットのような大阪ドヤ街・釜ヶ崎。トメは、元締めのおばはんにフリーでやっていく宣言するところから始まる。フリーの、娼婦である。
母・よねも40代(?)になって娼婦を続けており、トメ自身も父無し子、知的障害のある弟の実夫(さねお)も同じく。しかし、トメは流しで客を引きながら生きていく。
、、、圧倒されるパワーに見終わってからヘロヘロ状態。どこが“ロマン”ポルノやねん!!
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映画友が絶賛、、、というほどではないけれど、なかなかイイから是非! と言っていた本作を、やっとこさ見ました。
多分、私にとって日活ロマンポルノはこれが初めてじゃないかな。ほかにも面白そうだな、というのはイロイロあるのですが、どうも敷居が高かったというか。
しかし、これ、ハダカやエロシーンを当て込んで見に行ったオッサン達は、一体どう思ったんでしょうか。何か、エロを堪能できる作品じゃないですよねぇ。私は、とにかく疲れました。見終わって、グッタリ、ヘロヘロ、、、。なんつーか、もう、こんな思いしてまでポルノ見たいと思いません、、、ってのが鑑賞後すぐの感想。
トメが客に提供するセックスは、なにかこう、、、スポーツに近い感じの、セックスというよりは、筋トレみたいな感じ。こういう感じでも、男性客って良いものなんスか? 分からないけど、私が男だったら、ちょっといたたまれないなぁ、、、。だって、お片付け感たっぷりで、、、。だったら、自家発電した方がまだしも、とか思っちゃうんですけど、これって私が浅はかなだけなんですよねぇ、きっと。
トメに対比して描かれているのであろう、宮下順子演じる文江も娼婦なんだけれど、こちらはいわゆる典型的な男好きするウブを装うプロの方、という感じ。真珠を入れていること“だけ”が自慢みたいなアホおやじに良いようにされて、結局は、好きな男もろとも爆死。アホおやじが好きな男から文江を強奪し、代わりにダッチワイフを与えたんだけど、なんとそのダッチワイフに好きな男はプロパンガスを入れてしまって、プロパンガス入りダッチワイフを釜ヶ崎中持ち歩くという、それはそれはシュールな光景が展開されます。爆死したのは、そのガスにアホおやじのタバコの火が引火したからですけれども、その場に、文江もいて3人とも、、、。爆発する瞬間は、近くを国鉄と思しき電車が走っており、このシーンもかなりのシュール度です。
トメさんは言っています。「女は喰いっぱぐれる心配がない」と。彼女の生き様を見ると、この言葉がもの凄い説得力を持ちます。しかし、これは、まさに精魂使い果たし、骨身を削って稼ぐ、壮絶な人生であり、喰いっぱぐれのなさに見合ったものなのかどうか、見ていて辛くなってきます。
終盤の、カラーになるシーンですが、、、。私は、あれはちょっと生理的にダメでした。実夫が持ち歩いている鶏が見ていられなかったし、実夫が常に口から涎を垂らしているのもダメだった。彼がどうしてああいう行動をとったのかが、イマイチ私には分かりませんでした。実の姉と関係してしまったことと何か関係があるのでしょうか?
トメの母親よねさんも壮絶。妊娠しながら商売している。稼がな生きていかれへん、と、娘と客先で鉢合わせる。もう、何でもアリの世界。
何とも言えない、蠢く暗いパワーは感じたし、それにKOされて、脳みそが揺れてしまいました。正直なところ、私がこの作品に対して何事かコメントするのは、あまりにもハードルが高い。もっとロマンポルノについてのベースがあれば感想の書き様もあるのだろうけど、初っ端としては、かなり上級者向けの作品を見てしまったのかも知れません。
しかし、トメさんというのは、凄まじい女性です。男に身を売りながら、実態は、男を喰らっている、という感じ。実は、本作を見ながら、ゴヤの描いたあの「我が子を喰らうサトゥルヌス」が頭に浮かんでいたのですよねぇ。もちろん、サトゥルヌスがトメさんですが、、、。
いやぁ、、、ちょっと顔洗って出直してまいります。失礼いたしました。
とにかく、凄まじい、、、。
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