映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

団地(2016年)

2016-06-17 | 【た】



 漢方薬局を営んでいた山下ヒナ子(藤山直美)と、清治(岸部一徳)の夫婦は、息子ナオヤをバイク事故でなくしたことをきっかけに店をたたみ、とある団地の一室302号室に引っ越してきた。

 清治は一日中、近所の森(?)に薬草収集に出掛け、ヒナ子はスーパーのレジ打ちのパートに出て、一見、平穏な日々を送っていた。

 4か月ほど経った頃、団地の住人達がある噂をし始める。「最近、山下さんの旦那さん、ゼンゼン姿見せないわね……」「おかしくない?」「もしかして……!?」「奥さんが!?」「うっそ~! やだぁ~!」

 果たして、コトの真相は……。
 


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 某全国紙で、主演の藤山直美さんのインタビューが載っていて、「演じている自分もどんな映画になるか分からなかった」と話していたのと、岸部一徳氏が割と好きなので、ちょっと興味をそそられ、劇場まで見に行ってまいりました。

 ===本作は、飽くまで予備知識なく見た方が絶対に楽しめると思いますので、ご覧になる予定の方は、ここから先はお読みにならない方が良いです。思いっ切りネタバレバレしておりますので、悪しからず===


◆斉藤工がなぁ、、、

 それでは、感想を。

 実は、見に行く前から懸念はしていたのです。本作の監督が阪本順治氏なので。と言っても、私が見た彼の監督作品は、多分2本(『闇の子供たち』『北のカナリアたち』)で、『亡国のイージス』はテレビでぼ~っと見ただけ。でも、どれも“良い映画だなー”と思えた作品はなく、特に『闇の子供たち』は、ちょっと制作者としての姿勢に疑問を覚えたものでした。なので、懸念していたのです。

 ……で。やはり、阪本作品、合わないのかも知れないなぁ、と改めて感じてしまいました。

 まずは冒頭、斉藤くん演じる真城さんが、深々とお辞儀をして、ご無沙汰ですと言うところを「ごぶがり(五分刈り)です」と挨拶する。、、、え゛……。もう、これで思いっきりドン引きしてしまいまして。その後も、なんかダジャレみたいな言い間違い連発してましたけれども衝撃過ぎて覚えていません。もちろん、彼が言い間違えるにはちゃんとした理由があるからなんだけれど。とにかくもう、、、サム過ぎ、イタ過ぎで、始まったばかりだというのに逃げ出したい気分に  実際、劇場内も空調効き過ぎで寒かったんですけど、サーッと全身に鳥肌が立つのが分かりました。

 まあ、おそらく斉藤くんの演技力にも若干難があったとは思うのですが、、、。他にも、例えば、姿勢良く椅子に座っていたかと思うと、突然貧血(?)で椅子から落っこちて、山下さんの漢方薬を飲んだらあっという間に治って元通りの姿勢で椅子に戻る、、、というシーンがあるんですが、ここでも、効果てきめんのことを「効果きしめん」と言ったりする、、、。こんな調子で、もう、最後までずっと、ダメでした、彼の出るシーンが。思いっきり興を削がれた感じです。

 はっきり言って、彼には、コメディはかなり厳しいのでは。真城さんがこういう不自然な言動をするのは、地球人ではないから、という設定のためであって、それは面白いし良いと思うのです。でも、いかんせん、肝心の斉藤くんが、、、。役者としてそういう突飛な役どころは不向きなように感じました。演技力やセンスも足りないとは思うけど、そもそも論として合っていないというか。雰囲気とかルックスとか。多分、堺雅人ならもっと笑えるように演じたでしょう。もの凄く重要な役どころなのに、最大のミスキャストだと思います。


◆コメディの生命線である“間”が悪い

 ストーリー的には面白い筋立てだし、後半の荒唐無稽なSF展開も、ゼンゼンOK。脚本もよく考えられていて面白いと思う。だけど、やはり演出が、、、。

 ダメ押しだったのが終盤です。山下夫妻と、石橋蓮司&大楠道代演じる行徳夫妻が、宇宙と地球上の異空間で会話するシーン。長いし、間延びするしで、もう思いっ切りツマラナイ。折角の芸達者たちなのに、どうしてこうも間の抜けたシーンになるのか、、、。もっとエッセンスを絞った会話にした方が良かったと思う。

 本作は、コメディの顔をした人情劇だと思うのですが、コメディ部分はいささか空回り気味な感じを受けました。

 でも、、、。劇場では、一部でかなり笑いが起きていて、私がドン引きしていたところで大ウケしていた人々もいたのです。そっかぁ、面白いんだ、こういうのが、、、と思いながらも、私の心は冷え行く一方。……ぴゅ~

 カラオケの妄想シーンから一転、ナオヤくんのヘルメットに画が変わり、ヒナ子さんの号泣、、、。と、印象に残るシーンもあるにはあったのですが、私には笑えるシーンは皆無でした。一人息子を、交通事故で突然亡くした山下夫妻の悲しみの深さが、コメディとのコントラストを構成していたと思うのですが、私にはコントラストはまるで感じられなかったのが致命的でした。

 藤山&阪本コンビで有名な『顔』は未見なので、そちらを見てみようかな。面白いとのもっぱらの評判だし。

 




藤山直美&岸部一徳の最強コンビも斉藤工の前に撃沈




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コメント (2)
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