作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv12392/
まあまあリッチな男女6人が、なかなか食事にありつけない、ようやく食事を始めたかと思うと邪魔が入る。そして、6人は田舎の一本道をひたすら歩き続ける、、、。
ブルジョワを虚仮にしまくる……ブニュエルさまならではの作品。
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あらすじを書こうにも、書きようがないのでヘンな紹介文になってしまい、すみません。
本作は『皆殺しの天使』(1962)のコメディ版とも言われているらしいのだが、言われてみればそうなのかな、、、という気もする。不条理度で言えば、確かにイイ勝負。
この映画は、あれこれ小難しいことを考えるよりも、はぁ? という感じの笑いを素直に受け止めて、ブニュエル節に流されるがままに見ていた方が楽しいと思う。それくらい、ストーリーを追うことに意味がない。
『皆殺しの天使』では、色々考えさせられたけれど、本作の場合、あまりにもバカバカしすぎて、むしろ、ブニュエルがよくこんなヘンテコなシナリオを書いたもんだと、呆れるような感心するような、、、。
で、この脚本をブニュエルと共同で書いているのがジャン=クロード・カリエールなんだが、この人は、いろんな監督の脚本を書いている(しかも共同で)。ハネケの『白いリボン』から、ミロス・フォアマンの『宮廷画家ゴヤは見た』まで、実に守備範囲が広い。『存在の耐えられない軽さ』も、監督と書いている。そして、その大半が傑作・名作なんだから、スゴいとしか言い様がない。戯曲も書いているようで、なるほど、、、という感じ。
主役カップルの夫・セネシャルを演じたジャン=ピエール・カッセルが若くて、ヴァンサン・カッセルとそっくり。いや、ヴァンサン・カッセルがそっくり、、、なんだが。そして、セネシャルの妻を演じたステファーヌ・オードランが非常に魅力的。このカップルが素敵だったなぁ。テブノ夫人の デルフィーヌ・セイリグも美人。
密かに別の相手と浮気していたり、客を待たせてセックスしていたり、、、と、食欲と性欲がメインだけど、終盤はなぜかテロリストとかも出て来て、不条理な暴力も描かれる。そういえば、『皆殺しの天使』でもそうだった、、、。
ブニュエル作品は、本作を始め、メキシコから戻ってからの作品に話題作が多いみたいだけど、私が衝撃を受けたのは何と言っても『忘れられた人々』。ショックで見た後1週間くらい、引きずったというか、立ち直れなかった、、、。かと思うと、変態映画『小間使の日記』もあるし、『愛なき女』なんていう安っぽいメロドラマも撮っているし、かなり振れ幅があるのが面白い。ジェラール・フィリップの『熱狂はエル・パオに達す』、昔BSで放映していたのをVHSに録画したんだけど、そのビデオが行方不明になってしまって今に至るまで見られずじまい、、、。どこ行ったんだ、、、。
……と、感想を書きようがない作品だったんで、余計なことを書いてしまいましたが、本作は面白いので見て損はないと思います。
ブニュエル版『嵐が丘』が見たい。