KDDIのpovo2.0「使うギガだけ買い足し」が合理的?
石野純也・ケータイジャーナリスト
KDDIは、オンライン専用のブランド「povo(ポヴォ)」の契約内容を、9月29日に刷新した。
新しい名称は「povo2.0」。データ通信を使わない時は無料にし、通信量を簡単に追加して使える「トッピング」を充実させた。
3月に始まったpovoは、データ容量が月20ギガバイト(GB)で2728円の料金プランだった。
povo2.0と同様、トッピングを売りにしていたが、24時間データ使い放題のトッピング以外に、めぼしいサービスはなかった。
仕組みを抜本的に変更
これに対しpovo2.0は、ベースの仕組みを抜本的に変えた。
月額制の料金プランをやめ、契約の維持費は0円にし、使いたいデータ容量を原則としてトッピングで買い足していく形にした。
選択できるトッピングは1GB(390円)▽3GB(990円)▽20GB(2700円)▽60GB(6490円)▽150GB(1万2980円)。
24時間だけ使い放題になるトッピングもあり、こちらは1回330円で利用できる。
月額制の料金プランではないため、データ容量別のトッピングには有効期限がある。
例えば、1GBのトッピングは7日間。
3GBと20GBは30日間だ。
自動更新もないため、利用者はその都度、必要なトッピングを買い足していく仕組みになる。
逆に、60GBや150GBの大容量トッピングは、有効期限がそれぞれ90日間、180日間と長い。
そのため、まとめてデータ容量を買っておき、月額制に近い形で利用できる。
いわゆるボリュームディスカウントで、大容量プランは1GB当たりの価格が安く設定されているためお得になる。
60GBの場合、月平均で20GB使えて、料金は約2163円。150GBの場合は月平均25GBでこちらも約2163円になる。
まとめて買えば、以前のpovoや他社のオンライン専用プランより安く使えるというわけだ。
トッピングの追加は簡単にできる
トッピングは、専用アプリから簡単に購入できる。
実際、筆者も契約してみたが、トップページにトッピング一覧が表示されているため、
付け足したいものをタップして、確定させるという、2回のタップですんだ。
KDDIによると、スムーズに購入できるようこだわってアプリを開発したという。
とはいえ、有効期限が切れるごとにデータ容量の買い足しが必要になり、
利用者自身でやらなければならないことは、以前のpovoより増えた。
オンライン専用プランという点は同じだが、より上級者向けになったと言えるだろう。
ただ、KDDIが運営するauやUQ mobileといった他ブランドとの差別化は明確になり、利用者が用途に合わせて選びやすくなった。
オンライン契約が苦にならず、少し手間がかかっても安い方がいいという人には、povo2.0は向いている。
料金は格安スマホと同水準だが、通信速度はauやUQ mobileと同じで速く、安定しているのもメリットだ。
各社のカラーが出てきた
povo2.0は、契約するだけなら、月額料金は0円のため、とりあえず契約しておいてもいいだろう。
普段使っている通信事業者がKDDI以外で、電波が入りにくい時などに、povo2.0に切り替えて使うことができる。
スマホよりは使う機会が少ないタブレットやパソコンに挿しておくSIMカードとしても重宝しそうだ。
オンライン専用プランは、大手3社とも20GBを国際水準以下に値下げするという目標でスタートしたが、徐々にその形を変えている。
povo2.0に先立ち、ソフトバンクのLINEMO(ラインモ)は7月、3GBで月990円のミニプランをつくった。
ドコモのahamo(アハモ)は開始当初のまま20GBの一択だが、3社それぞれのカラーが出てきたと言えそうだ。
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