3月開始「ドコモでんき」最大10%還元も厳しい条件
石野純也・ケータイジャーナリスト
2022年1月4日
NTTドコモは、一般利用者向けの電力サービス「ドコモでんき」を、3月1日にスタートする。
1月からはテレビCMを流すほか、先行予約で5000円分のdポイントがもらえるキャンペーンも行う。
KDDIはauでんき、ソフトバンクはソフトバンクでんきを導入済みで、それぞれ300万契約と200万契約を獲得している。
ドコモは大手通信事業者としては最後発だが、ポイント還元率の高さで追い上げを狙う。
「ドコモでんき Green」は再エネ使用
ドコモでんきは、“環境への配慮”を特徴にしたサービスで、二つのコースに分かれる。
一つは、再生可能エネルギーを使い、二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにした「ドコモでんき Green(グリーン)」。
もう一つは、通常の電力を使った「ドコモでんき Basic(ベーシック)」だ。
どちらも、NTTグループで電力小売り事業を行うNTTアノードエナジーが小売り電気事業者となり、ドコモは利用者への取り次ぎを行う。
電力は、地域電力会社や電力卸売市場から調達する。
料金体系は地域電力会社とほぼ同じだが、ドコモでんき Greenのみ、基本使用料として500円の追加料金がかかる。
ドコモでんき Basicを選んだ場合の料金は、地域電力会社とほぼ同じだ。
電気サービスの窓口をドコモに一本化できるのに加えて、利用料に応じたdポイントがもらえる。
ポイントまで加味すれば、地域電力会社をそのまま契約し続けるより得になる。
10%還元は「dカードGOLD」が条件
ドコモでんき Greenの場合、最大のポイント付与率が10%と還元額が大きい。
毎月8000円程度の電気代がかかっている人は、月800ポイント、年間で9600ポイントを受け取ることができる。
ただ、どの会社の通信サービスを使っていても契約できるものの、
還元率が高くなるのはドコモ回線で「ギガホ」や「ギガライト」「ahamo」といった料金プランを利用している場合で、
実質的にドコモ回線利用者向けのサービスと言える。
また、ドコモでんき Greenで還元率を10%まで上げるには、通信回線契約に加えて、
ドコモの発行するクレジットカードのdカードGOLDを持っていることが条件。
dカードGOLDは、ドコモのモバイル回線や光回線の還元率が10%に設定されており、ドコモでんきもこれに合わせた。
dカードGOLDがないと、還元率は5%に下がる。さらにドコモ回線がないと、還元率は3%になる。
ドコモでんき Basicは、ドコモ回線があると3%、ないと2%と、還元率はドコモでんき Greenより落ちる。
環境に優しい電力サービスを売りにしているため、ドコモでんき Greenのポイント還元を手厚くしている。
KDDIとソフトバンクは通信料金も割引
ドコモは、サービス開始から約1年後の2023年3月末までに、150万契約を目指す。
150万契約達成時の売上高は、1000億円前後になる見通しだ。
大手通信事業者は3社とも、伸び悩む通信料金の売り上げを非通信料金のサービスでカバーしていく方針。
ドコモは非通信料金分野のサービスを「スマートライフ事業」と分類しているが、
現状の売り上げは6000億円規模で、ドコモでんきが成功すれば、収益を押し上げることができる。
一方で、KDDIやソフトバンクは、ポイント還元だけでなく、電気サービスと通信料金のセット割引まで提供している。
中でも割引率が高いのがKDDIのUQ mobileで、「auでんき」や「UQでんき」をセットで契約すると、
1回線当たり858円と大幅な割引を受けられる。
こうしたサービスが好評で、auでんきは300万契約を超えた。
最後発のドコモが、ポイント還元だけで追いつけるのかは未知数だ。
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