こんな植物です
北アメリカ原産の常緑性低木で、長さ50~70cmで剣のような形をした葉っぱを茂らせます。葉は厚みがありピーンとまっすぐ伸び、その先端は針状に尖っています。洋風の庭や建物とよくマッチしますが、変化に乏しい上に葉の先端が刺さると痛くて少々扱いにくい面もあります。5~6月、もしくは10月頃に花茎を長く伸ばして黄白色で鐘のような形をした花をたくさん咲かせます。日本には受粉を媒介する蛾(俗に、ユッカ蛾と言われる)がいないので、自然環境下では結実しないと言われています。
名前の由来・用途
アツバキミガヨランのキミガヨランは学名の種小名「グロリオサ(栄光のある)」という意味を「君が代は栄える」という風に解釈して名付けられました。アツバは葉っぱ厚いという意味です。
日本には明治時代に渡来し、庭園樹として広く利用されています。丈夫で生命力が強く、手間のかからない樹木です。
近い仲間
〔〕内は学名とその読み方、Y.は属名Yuccaの略、f.はforma(品種)の略
キミガヨラン〔Y. recurvifoia -ユッカ・レクルヴィフォリア- 〕
アメリカのジョージア州原産でアツバキミガヨランに似ているが葉がやや細長く、花茎も短い。庭園に植えられます。日本では結実しない。
センジュラン〔Y. aloifolia -ユッカ・アロイフォリア- 〕
アメリカ、メキシコ、ジャマイカなどに分布する。日本でも比較的よく結実する。葉のフチに黄色い斑が入るものはキンポウラン〔Y. aloifolia f. marginata -マルギナータ-〕と呼ばれる。
和名の顛末
なぜ別種のユッカ・レクルヴィフォリにキミガヨランの名前が付いているのでしょうか?キミガヨランの名前がグロリオサ(栄光ある)という学名からの命名なら、アツバキミガヨランのほうをキミガヨランとしたほうが正しそうです。実はこれには顛末があります。
キミガヨランの和名を付けたのは植物学者の牧野富太郎です。小石川植物園に植栽されていたユッカの一種を、グロリオサ種と同定してキミガヨランと命名しました。後からこの株はレクルヴィフォリア種だと判明しましたが、 キミガヨランの和名はその株から付いた名前なので、変更されずに残り「レクルヴィフォリア=キミガヨラン」となりました。そうすると、グロリオサの和名をどうするかと言うことになり、牧野富太郎は「オトコラン(男子蘭)」と命名しました。しかし、現在アツバキミガヨランと呼ばれているところを見ると、その名前は定着しなかったようです。