首相、このタイミングで“海江田氏潰し”? 「民主党分断宣言」の波紋
2013.06.19(zakzak)
民主党の海江田万里代表【拡大】
安倍晋三首相が外遊中に発した憲法改正をめぐる「民主党分断宣言」が波紋を広げている。日本時間17日の発言だが、翌18日には、民主党の海江田万里代表が経済評論家時代に投資を推奨していた「安愚楽牧場」(栃木県那須塩原市)の経営陣が逮捕されたのだ。民主党や海江田氏のダメージは避けられない。安倍首相はしたたかにタイミングを図っていたのか。
「そう、あえて」
政府首脳は淡々と語った。安倍首相がポーランドでの同行記者団との懇談で、7月の参院選後の結集を目指す「改憲勢力」に民主党議員の一部を含める考えを表明したのは「あえてか?」と問われ、答えたものだ。
「あえて」の中身については触れなかったが、永田町では「民主党分断」とみる向きがほとんどだ。民主党は、前原誠司元外相や長島昭久、渡辺周両元防衛副大臣らの「改憲派」と、旧社会党系を中心とした「護憲派」で意見が割れている。ここにくさびを打ち込んだというわけだ。
海江田氏は17日の記者会見で「政党の中のことをあれこれ言うのはフェアでない。放っておいてほしい」と強い不快感を表明した。
しかし翌18日、安愚楽牧場事件が炸裂した。
同牧場は和牛オーナー制度で約4200億円もの出資金を集め、一昨年8月に経営破綻。警視庁は事実と異なる説明で出資者を勧誘した特定商品預託法違反(不実の告知)容疑で、元社長ら3人を逮捕した。
海江田氏は経済評論家だった1987-92年ごろ、同牧場について「知る人ぞ知る高利回り」「リスクはゼロ」などと雑誌や書籍で紹介。今年2月、出資者から計約6億1000万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こされている。
元民主党のベテラン秘書は「この事件で海江田執行部の求心力はまた下がる。安倍首相の周囲には、警察庁出身の役人がいるだけに、海江田氏を潰すため『情報を入手して、タイミングを合わせたのでは』と疑ってしまう」と語った。
政治評論家の浅川博忠氏は「安倍首相が立件の日を知っていたかは分からないが、分断発言に効果があったのは確かだ。安倍首相が仕掛ける政界再編は、シナリオ通り進んでいるのではないか」と話している。