仏壇大手「推しアイドル用の祭壇」が話題 宗教業界の生き筋は本質から外れた"異業種参入"にはない
2024.11.08(liverty web)
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《ニュース》
仏壇大手のはせがわが昨年10月から販売を開始した「推し壇」が、話題を集めています。
《詳細》
「推し」とは、アイドルやアニメ・漫画のキャラクターなどを熱心に応援する行為のことです。
はせがわは、若い世代をターゲットに、「推し」のフィギュアや写真などを飾ることができる祭壇として「推し壇」を販売。日本の伝統的な神棚とほとんど同じつくりですが、赤や紫など20色ものLEDライトが備わっており、推しのカラーに合わせて"演出"もできるといいます。
日本人の仏壇・神棚離れが加速し、2022年には自室に仏壇のない人が6割近くに上ったという調査結果もあります。仏壇屋の休廃業が相次ぎ、業界全体が縮小するなか、はせがわはインテリアになじむデザインの仏壇を家具メーカーと共同開発したり、終活・相続の行政手続きに関する相談サービスに参入するなど、さまざまな新基軸を模索。仏壇メーカーとしてほぼ唯一、業績を伸ばしています。年間10~20%のペースで売り上げを伸ばしており、仏壇の約8割を占めているとのことです(11月4日付日本経済新聞)。
その一環として、「推し壇」も発売され、メディアで取り上げられたり、アイドルやキャラクターのグッズを置いた写真がSNSでアップされたりするなど話題を呼び、人気商品になっています。
信仰や宗教行為の意味が人々に見出されなくなってきた昨今、仏壇メーカーに限らず、葬儀業界やお寺など、宗教にかかわるあらゆる仕事や伝統・文化が縮小の危機に立たされています。そうしたなか、生き残りの活路を見出すべく、他業種とコラボしたり、最新の技術やニーズを取り入れたりする動きが相次いでいます。
ただそこに、逆に宗教的な神聖さやありがたみを減じさせ、自分たちの存在意義を失わせかねない「大きな落とし穴」が潜んでいる点には、注意が必要です。