ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

映画「ある天文学者の恋文」を観る。

2017年01月11日 18時32分59秒 | 映画
昨日に続いて映画の話題です。

「ある天文学者の恋文」を観てきました。
この映画もまた、昨日紹介した「教授のおかしな妄想殺人」と登場人物の設定が似ています。
この映画は女子学生と歳の離れた天文学者との恋の物語なのです。
意図してこのような映画を見ている訳ではありません。たまたま観た映画の設定が似ていたという事なのです。

さて、この映画は、普通の恋愛映画と変わっています。
どこが変わっているかと言えば、恋人たちの関係が、死者と生者の情感の交感という形をとっているところにあります。
死んでしまった天文学者エドから恋人の女子学生エイミーに宛てたメールや手紙があたかも本人が生きているかのように次々に届くのです。それも、彼女の行動と気持ちの揺れに合わせるかのように、です。
はたしてこんなことがあり得るのでしょうか、と思うのですが観客のそんな疑問を払いのけるように物語は進行していきます。

この映画の見所は何といっても、死んでしまっている恋人からの恋文が届き続けることの謎解きなのです。
女子学生エイミーはその謎を訪ねて生前に恋人と一緒に行った場所などを訪ねていきます。
行く先々には不思議な事柄が待ち受けているのです。
そしてその道行きでエドからの愛がヒロインのエイミーに降り注がれていく過程が描かれていきます。

この映画には二つの謎があります。
一つはなぜ亡くなっている天文学者から、次々にメールや手紙が届くのか、です。
観客の興味は主にこのことに注目するのですが、もう一つの謎は歳の離れた天文学者に女子学生の若い女性がなぜ惹かれていったのか、です。
これは物語の進行につれ、天文学者が、自分が死んだ後もエイミーに対する細やかで優しい心使いを示すことで、観客を納得させるという映画の造りになっています。
エドからの愛を受け留めていくエイミーの素直さが良く描かれている映画でした。

物語の設定などの不自然さは残りますが、このあたりにこの映画の製作者のうまさを感じました。

映画の終盤でこんな場面がありました。


「魔法使いは君を 独りぼっちにはさせない」というセリフがありました。
死期の迫っている天文学者がエイミーに宛てたメッセージです。
数万年も前に起こった超新星爆発の光を、今の私たちが見ているのと同じように、いまは亡き人からのメッセージが届けられるのです。

観ていて切ない気持ちにもさせられますが、エイミーの謎解きを観客も一緒に行うという映画ならではの楽しさを堪能できる作品でした。
良い映画でした。


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