「エレニの旅」を観る。-その1 の記事を投稿してからしばらくたってしまいました。
この連休で、全編を通して再度鑑賞してみました。
長い作品でした。エンドロールを除いた本篇の時間を測ってみました。
2時間47分40秒ありました。
なんでこんなに時間を正確に測ったのかを述べます。
テオ・アンゲロプロスは一つのカットをを長く撮る監督として有名ですが、はたしてこの映画ではいくつのカットに分かれているのかを知りたく、それを確認しながら鑑賞してみました。
私が数えた限りでは92のカット数がありました。
この数値は、90分から120分程度の一般的な劇映画では600~800カットが普通だと言われているのに比べると異常に少ないのです。しかも2時間50分近い長編なのです。
普通の映画の撮り方はワンカット、ワンシーンのものが多いのですが、アンゲロプロスの撮り方はワンカットの中で複数のシーンを入れるという手法をとる事もあるのです。しかもそのカットの一つ一つがすごく長いのです。そのため、全体のカットの数が極端に少なくなっているのです。
例えば次のような場面があります。
これは映画の終盤で村人の案内でエレニが自分の息子が戦闘で死んだ場所に行く場面の始まり頃です。そうしてエレニは砂の丘の向こうの廃屋(エレニ達家族が元、住んでいた家)で息子の遺体に対面するのですが、その直前の場面までのワンカットが6分15秒ぐらいも続きます。次の画像がその直前の場面です。
しかも、先のシーンと後のシーンの間にエレニの二人の息子が敵味方に分かれた陣営(政府軍と反政府軍)にいて、兄のヤニスが敵の陣営にいる弟のヨルゴスに会うシーンが挿入されているのです。(これは村人の老婆がエレニに話した内容なのでしょう)
次のその場面の一部を観ていただきましょう。
これ等のシーンはつながりとしては連続しているように見えますが、一台のカメラで連続して撮影したのでしょうか、という疑問を持ちます。
このカットには4人の人物が登場します。村人の老婆とエレニとが一組、そして二人の息子たちが一組、なのです。
この登場人物の二組の間では演技における連続性を見ることは出来ませんでした。
ですがこのシーン全体のまとまりが実に納得のゆく造りになっているのです。
たとえ挿入シーンを別撮りしたにしても、編集の上手さ以上にシーンの構成の確かさを感じました。
「エレニの旅」についてはまたべつの機会に記事にすることがあろうかと思います。
本日はこれにて、おしまい。
この連休で、全編を通して再度鑑賞してみました。
長い作品でした。エンドロールを除いた本篇の時間を測ってみました。
2時間47分40秒ありました。
なんでこんなに時間を正確に測ったのかを述べます。
テオ・アンゲロプロスは一つのカットをを長く撮る監督として有名ですが、はたしてこの映画ではいくつのカットに分かれているのかを知りたく、それを確認しながら鑑賞してみました。
私が数えた限りでは92のカット数がありました。
この数値は、90分から120分程度の一般的な劇映画では600~800カットが普通だと言われているのに比べると異常に少ないのです。しかも2時間50分近い長編なのです。
普通の映画の撮り方はワンカット、ワンシーンのものが多いのですが、アンゲロプロスの撮り方はワンカットの中で複数のシーンを入れるという手法をとる事もあるのです。しかもそのカットの一つ一つがすごく長いのです。そのため、全体のカットの数が極端に少なくなっているのです。
例えば次のような場面があります。
これは映画の終盤で村人の案内でエレニが自分の息子が戦闘で死んだ場所に行く場面の始まり頃です。そうしてエレニは砂の丘の向こうの廃屋(エレニ達家族が元、住んでいた家)で息子の遺体に対面するのですが、その直前の場面までのワンカットが6分15秒ぐらいも続きます。次の画像がその直前の場面です。
しかも、先のシーンと後のシーンの間にエレニの二人の息子が敵味方に分かれた陣営(政府軍と反政府軍)にいて、兄のヤニスが敵の陣営にいる弟のヨルゴスに会うシーンが挿入されているのです。(これは村人の老婆がエレニに話した内容なのでしょう)
次のその場面の一部を観ていただきましょう。
これ等のシーンはつながりとしては連続しているように見えますが、一台のカメラで連続して撮影したのでしょうか、という疑問を持ちます。
このカットには4人の人物が登場します。村人の老婆とエレニとが一組、そして二人の息子たちが一組、なのです。
この登場人物の二組の間では演技における連続性を見ることは出来ませんでした。
ですがこのシーン全体のまとまりが実に納得のゆく造りになっているのです。
たとえ挿入シーンを別撮りしたにしても、編集の上手さ以上にシーンの構成の確かさを感じました。
「エレニの旅」についてはまたべつの機会に記事にすることがあろうかと思います。
本日はこれにて、おしまい。
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