ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

『錯覚の科学』は面白い。

2019年01月18日 07時19分21秒 | 勉強
『人間は判断力の欠如によって結婚し、 忍耐力の欠如によって離婚し、 記憶力の欠如によって再婚する。』
この言葉はフランスの劇作家アルマン・サラクルーが言ったとされています。
この言葉を知ったのは放送大学の『錯覚の科学』という講座です。そこの印刷教材(放送大学では教科書のことをこのように言っている)の第14章で触れられています。

『錯覚の科学』は私たちの生活の中で見られる様々な「錯覚」を科学的に考察しようという講座なのです。
この講座では私たちの生活上の判断が知覚や認識の錯誤によることがあり、それがどのようにして起こり、どのような働きをもたらしているのかを考察します。
そして、「錯覚」のすべてが人の認識と判断における「誤り」ではないことが述べられています。
人が錯覚をするのは、人の判断能力の「資源節約をしている」と述べられています。
人の判断能力は同時に多くの事態に論理的で的確な判断が出来るほどには高くありません。にもかかわらず人は様々な出来事にその都度判断をしていかなければなりません。その為、判断を簡略化して「その場しのぎ」の判断をしているのです。これは人が自身のもつ判断能力に余力を持たせるためでしょう。
言葉を変えれば、頭をパンクさせないためです。頭がパンクした状態では人は次に彼に降りかかる事態に対処できなくなるからです。このことは次の事を考えれば分かりやすいと思います。
パニック的な状況に遭遇した人が次にどんな行動をとったらが判断できずにその場にへたり込んだり、放心状態になったりすることがあります。
この時、其の人の頭はパンク状態にあるのです。認知と判断の能力の限界を超えていると考えられます。その様な事態を避けるために人の脳は簡略化された認知と判断を選択することがあるとされているのです。これは認知と判断に余力を残しておくためと考えることが出来ます。
ですから、とっさの判断では錯覚が起きてしまう事は避けられない事もあるのです。
それは、何も判断しないよりは間違っても良いから何かしらの判断をした方が良い、との人の知覚と判断に関わる根源的な仕組みなのでしょう。

そこでしっかりと考えないで行った行動を「反省」した時には、そのために頭書に挙げた「結婚に関する反省」も生まれたのでしょう。

ですが、また次のような「反省」を述べた詩人もおりました。
『結婚するやつは馬鹿だ。 しないやつは――もっと馬鹿だ』
                       バイロン

放送大学の『錯覚の科学』はとても面白い講座でした。





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