ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

白井晟一の建物を見る

2020年09月03日 11時00分45秒 | 建築と精神
白井晟一氏の設計になる建築物は秋田県内にいくつかがあります。その多くは県南の横手市や湯沢市に集中していますが、県央の協和町(現在の地名は大仙市協和)にもあります。今までそこを訪れる機会はありませんでしたが、昨日、友人と行ってみました。訪れたのは奥田酒造店です。白井晟一設計の建築を見たことのある人ならば、その建物が白井作品だと一眼で判るのは外観です。緩い勾配の大屋根と極めて薄く作られた破風を白井の特徴というならば、奥田酒造の建物は典型的な「白井様式」と言ってよいでしょう。白井様式がよく判るのが次の画像です。



破風の薄さを際立たせているのが、軒天の仕上げ材がそのまま屋内の天井の仕上げ材となっていることです。ここは店の入り口です。建物の外部と屋内が連続しているのです。お店に入ると目に付くのは歴史ある看板でした。


千代緑(ちよみどり)は奥田酒造店が造る清酒の銘柄です。
お店の奥さん(社長夫人)のご案内で建物内部を少し見せていただくことができました。二階へ上がる階段を見せていただきました。



この階段手すりは木製なのですが、複雑な曲面で構成されています。3つの部材に分かれていますが、これは板材を煮て柔らかくして曲げて作られているとのことです。現在では薄い単板を何枚も重ねて接着する積層板で曲面を作り出す木工加工が可能になっていますが、この建物が建てられた昭和35年頃にこの様な曲木の手摺りが作られたとは驚きです。
帰りに千代緑のお酒を買ったのはいうまでもありません。私自身は清酒はほとんど飲みませんので、家人への土産として四合瓶を一本、一緒に行った友人は一升瓶を2本も買ってしまったのです。
今回の奥田酒造店の探訪で秋田県内の白井作品はほぼ全て見たのですが、機会があれば県内の白井晟一作品を再訪したいと思っているのです。

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