船乗りの航跡

地球の姿と思い出
ことばとコンピュータ
もの造りの歴史と生産管理
日本の将来

想像の旅---世界の市場(2)

2018-02-25 | 地球の姿と思い出
想像の旅---世界の市場(1)から続く。

(2)ジャマ・エル・フナ広場
モロッコの主な都市は、首都のラバト(人口約60万人)、カサブランカ(約400万人)、フェズ(約100万人)、マラケシュ(約90万人)である。マラケシュは、西暦1000年頃のムラービト朝の時代から発展した交易都市、旧市街のフナ広場の青空市場は有名である。

ムラービト朝は、モロッコ南部の遊牧民ベルベル人(ムーア人)の勢力だった。彼らはガーナ王国とモロッコを征服、1070年にマラケシュを建設し、一時はイベリア半島も征服した。しかし、都市生活による厭戦感と戦闘意識の弱体化で、1147年には新たなベルベル人勢力のムワッヒドにマラケシュを占拠され、ムラービト朝は滅亡した。

ベルベル人すなわちムーア人の存在はカミュの「異邦人」で知ったが、筆者のモロッコに関する知識はなきに等しく、この国はサハラ砂漠の西端に位置すると理解する程度である。また、日本の年配者に有名な外人部隊のフランス映画「カサブランカ」も筆者はその名を知るだけ、肝心のストーリーは知らない。カサブランカ=家・白い=白い家 とだけ理解している。

ここで、事前にモロッコの外務省安全情報と医療をチェックしておく。また、在モロッコ日本国大使館のHPにはより具体的な情報が載っているので参考にする。

現在の外務省の情報によれば、モロッコの「危険度=レベル1:十分注意してください。」である。ちなみに、危険度の最高レベルは4=「退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」である。

【危険度】
●全土:「レベル1:十分注意してください。」(2018/2/25現在)
【ポイント】
●全土にテロ等の脅威があります。外国人観光客が多数集まる場所,西欧諸国権益,政府関連施設,宗教関連施設への立ち寄りは最小限にとどめるよう心掛けてください。
●北東部の都市アル・ホセイマではデモが断続的に発生し,治安部隊との衝突が起きています。デモ,集会や大規模な群衆には近づかないでください。
●都市部や観光地において,外国人観光客を標的としたスリや刃物を用いた恐喝などの金銭目的の犯罪が増加傾向にあり注意が必要です。
以上、外務省安全情報を転記した。

医療情報では、感染性胃腸炎(旅行者下痢症)、A型肝炎、寄生中症、マラリア、狂犬病などへの注意を呼びかけている。各種予防接種は必要、海外旅行保険は必須である。特に、途上国では歩行者優先でないこと、テロの危険性が高いことを前提にすべきである。

刃物を用いた恐喝やしつこい金銭の要求には、あらかじめ用意した別の財布を差し出す方法もある。とにかく、冷静に判断し、無駄に抵抗しない。昼間の人通りが多いところでも、死角の物陰は危険である。観光化が著しい場所、たとえば昼間のフナ広場などでは、写真撮影へのチップの要求には注意すべきと観光案内にある。

モロッコに限らないが砂漠地方の青空市場では、手絞りのオレンジ・ジュースと「ヘビ使い」が定番である。フナ広場の観光案内によれば、この広場のオレンジ・ジュースもおいしいらしい。しかし、炎天下の青空市場ではしぼりたてオレンジ・ジュースは、どこの国の屋台でも最高に思う。筆者はカイロの屋台で飲んだオレンジ・ジュースが最高だったと今でも思っている。オレンジ・ジュースがおいしいのは乾燥した気候のせいだと思う。

なお、現地で2週間ほど生活すれば、腸内菌が現地化して食あたりしないと云う俗説もある。しかし、高温で処理する串焼きなどの「焼物」は一般に安全だが、100℃程度で処理するスープなどの「汁物」には不安が残る。また、サラダなどの「生もの」には病原菌プラス寄生虫も加わるのでさらに注意したい。

下の写真は、「世界の美しい市場」から引用したフナ広場の黄昏である。夕刻から食べ物の屋台が開店するとのことである。

            ジャマ・エル・フナ広場
            
            出典:「世界の美しい市場」エクスナレッジ、2017年5月、pp.98-99

この写真を見たとき、シンガポールのオーチャード通りの屋台レストランを思い出した。それは、シンガポールの1960年代から70年代のオーチャード・ロード・カーパーク(駐車場)のホーカー・レストランである。ホーカー(hawker)は行商人、言い換えれば食べ物の屋台である。

1960~70年代のシンガポールでは、オーチャードの駐車場は夜になると食べ物の屋台街に変身するのは有名だった。オーチャードのカー・パーク・レストラン(駐車場屋台街)は観光客に有名だったが、他にも多くの屋台食堂街(ホーカー・レストラン)が存在した。現在は、ホーカー・レストランは100ヵ所以上のホーカー・センターに集約され、食べ残しの処理や衛生管理も改善されたと云う。

シンガポールやフナ広場に限らず、夜になるとバンコクの大路・小路(ソイ)にも食べ物の屋台が花開く。筆者がよく知るプラチンブリ304号線の夜店は、昼間は駐車場で1台分のスペースが1区画だった。

続く。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする