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日本の将来---5.展望(13):在来線ネットワーク

2015-02-10 | 日本の将来
5.展望(12)から続く。

(1)在来線ネットワークの価値
1872年の新橋-横浜は単線(29km)の鉄道、2年後の74年には大阪-神戸が開通、その後今日までわずか140年のうちに官営・民営の鉄道が日本全土に広がった。鉄道の線路は、輸送量に応じて単線、複線、複々線やそれらの組み合わせがあるが、運賃計算に用いる営業距離もある。

現在、日本の鉄道の営業距離は、駒鉄太郎の鉄道データベース(2014/11/29)によれば、次のとおりである。

◇鉄道・軌道全営業キロ=27,755.1km、うち旅客列車が走る距離=27,110.3km
 その内訳は、JR在来線=約17,500km、私鉄など=約7,600km、新幹線=約2,400km

また、日本の駅の数は、日本地図センター「全国の駅の数(H26/6)」によると次のとおりである。

◇全国の駅の数(沿線別駅数)=10,475駅

いうまでもなく、日本は火山列島で約70%が山岳と森林である。この国の大きさは、稚内空港-羽田空港-鹿児島空港間の距離は2,061km、北から南に延びる細長い山国に約2万7千キロの鉄道が敷かれている。かなり鉄道が普及しているといえる。

参考だが、北海道択捉島カモイワッカ岬から沖縄県与那国島までの距離を、筆者が大ざっぱに測ると約3,400kmである。また、日本のEEZ(Exclusive Economic Zone:経済的排他水域)+領海の面積は、4,479,358km2、米、豪、尼(インドネシア)、新(ニュージーランド)、加に次ぐ世界6位の海洋国である(社会実情デーダ録)。山国で、かつ、大きな海洋国家でもあることを忘れてはいけない。

広大な海洋に囲まれたこの山国に、791都市がひしめいている。その都市に住む人は1億1,692万人(H26)であり、この都市人口は全人口1億2,729万人の91.8%に当たる。田畑が主役の市も多い。

1960年代にはよく耳にした6大都市(東京、大阪、名古屋、横浜、京都、神戸)も今は死語になった。下の表は、人口100万人以上の都市と100万人以下の県の一覧表である。東京と横浜に全人口の約1割が集中している。しかし、一方では人口100万人に満たない県が9県、うち香川、徳島、高知は四国である。国土に占める可住地は27.3%、人口密度の地域差は大きい。もし、適切な政策がなければ打つ手を失って日本がボロボロの虫食い国家に成り下がる恐れもある。

  
  出典:総務省H26年都市別人口とH25年県別人口

幸い、日本には立派な鉄道網がある。在来線と新幹線と私鉄の連携、輸送需要への柔軟な対応、高品質の車両と軌道、ネットワーク全体の正確な列車運行、これらの点で筆者が経験したどこの国の鉄道と比べても遜色がない。

このブログで紹介したが、筆者は昨年(2014)8月に京都駅から浜松駅までの東海道在来線を快速電車で走った。あの時、列車の走行音や揺れからも東海道線は健全だと感じた。また、時刻表の運行精度はいうまでもなくノー・プロブレムだった。それはチャラチャラ、ピカピカの新技術ではなく、長い実績が信頼性を保証する有形・無形の資産だと自分自身で確かめた。ちなみに、東京駅から神戸駅に至る東海道線は1都2府6県65都市を走り抜ける。65都市の人口は3,343万人、日本の人口の約26%である。平安京を起点としたこの東海道、今ではJR・私鉄の在来線、新幹線、高速道路が並走し、日本の工業ベルトに発展した。

人口の増加とともに広がり続けた日本の交通ネットワークと人々の生活圏、しかし、人口減少期を迎えた今、この生活圏を計画的に縮小すべき時がきた。この縮小は撤収でなく、次の発展への備えである。在来線、新幹線、高速道路のうち、特に、最も基本的な在来線のリエンジニアリングを、次回に検討する。【リエンジニアリング:Re-engineering(改革、再開発、リストラなどの意味)例:Business Process Re-engineering=業務改革または業務再構築】

続く。

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