大阪の平野区に「平野の地獄」と呼ばれるユニークなお寺があります。
この「全興寺」は高野山真言宗の寺院で 地下鉄谷町線の平野駅から10分程歩いて商店街や路地を通り抜けたところに忽然と現れます。
本堂には薬師如来像が安置されていますが 秘仏の為1月8日と中秋の十五夜のみ開帳されるそうです。
しかし ここでのお目当ては恐ろしい地獄を体験できる点なのです。
まずは 地獄グッズやお守り等も販売されている受付で「地獄堂」の通行手形を購入します。
こちらが地獄通行口ですが 入場前に「地獄度・極楽度チェック」のコーナーがあり 質問に答えて地獄行きか極楽行きが判別されます。
通行手形をセンサーにかざして「地獄堂」に入ると 中は薄暗く2m以上もある恐ろしい表情の「鬼」の像が目に入ります。
中央に設置されている「閻魔大王」の前にあるドラを叩くと 大王がしゃべり出すと同時にビデオで地獄の様子がが映し出されます。
音と映像で地獄を体験することが出来 途中で怖くて泣き出してしまう子供さんもおられるそうです。
地獄堂を出たところには 首を突っ込むと地獄の釜の音が聞こえるという穴の開いた石があります。(実際には何も聞こえません)
他にも 賽の河原での石積みや赤い糸で仏様との縁結びをする仕掛けも用意されています。
こちらは境内の地下に設けられた「ほとけのくに」で 曼荼羅がデザインされたステンドグラスに座し瞑想すると極楽浄土に生けるかも?
続いては「一願不動尊」で 法善寺の水掛不動さんのように柄杓で水を掛けて祈ります。
不動尊の足元にスモークのような白い霧が発生する仕掛けも面白い!
境内の様子をもう少し紹介すると 本堂の床下にはカッパのような造形物や鬼瓦が配置されています。
また平野は「町ぐるみ博物館」運動を進めており 境内にもその一環である「小さな駄菓子屋さんの博物館」が常設されています。
寺の門前には 「門前茶屋おもろ庵」と呼ばれる古民家風の建物があり 土・日曜日には昔の遊びを体験することが出来るそうです。
大阪には探せば面白スポットがまだまだありそうで 今回訪れた全興寺も他では中々みられないユニーク寺でした。
ここの地獄堂は1889年に創立したそうですが 当時は中高生のいじめや自殺が大きな社会問題になっていた時期で 住職さんが
近所の高齢の女性から 昔親から「噓をついたり悪いことをすると地獄へ落ちる」と言われ そのため悪いことをしなくなったとの話を聞き
それをヒントに 子供の教育もかねて作られたそうです。
従って 閻魔大王は地獄説明の最後に「こんな所に行かぬよう 悪いことをせず 自分の命を大切に」と諭されます。