◆今年も無事に舞が奉納できるように◆
「広報こうふ3月号」で市に伝わる無形民俗文化財を特集しました。
その中でも国の重要無形民俗文化財「第1号」に指定された【天津司の舞】の保存会代表にお話を伺いました。
中沢さん(氏子総代):今年1月に国立劇場で開催された「祭りの四季」【初代国立劇場さよなら公演 ―未来へつなぐ国立劇場プロジェクト―】では、日本の四季を代表する4つの無形民俗芸能のうち、春を代表する舞として上演しました。昨年は山梨県立博物館でも、1か月ほど「天津司舞900年の想いとともに」と題して、企画展示が行われたんです。
これで少しは、認知度が上がったのではないでしょうか。
松木さん(保存会会長):昔、放送された大河ドラマ「武田信玄」は第1話で天津司舞を眺めている様子から始まったんですよ。実際に見に来られるのは、今まで民俗芸能に関心の深い、写真に収めようという方が多かったですが、今年はどうでしょうか。
地元の新聞でも大きくとりあげて紹介してくださっていましたし、これまでより観客は増えるのかな、と。
▲国立劇場「祭りの四季」チラシ
▲山梨県立博物館「天津司舞」チラシ
▲写真は県立博物館で昨年5月28日~6月27日に開催されたシンボル展「天津司舞」。
撮影の許可をいただいています
中沢さん(氏子総代):令和2~3年度の2年間にわたって、国の予算でレプリカも作成できました。私たちの袴まで全部きれいに新調できました。
松木さん(保存会会長): 今までは、どうしても木製で繊細なつくりなので、練習しているうちに紐が切れてしまったり、苦心したんです。レプリカなら気を遣わずに練習できます。
中沢さん(氏子総代):今回、国立劇場や博物館で上演したことをきっかけに、メンバーも振り付けを勉強し直しました。いい機会になりました。
松木さん(保存会会長):歴史がかなり古く、中世から始まったと聞きます。明治時代にいったん途絶え、その後、戦争や水害で途絶え、そのたびに復活してきたんです。
中沢さん(氏子総代):そのたびに復活できてきた、というところに価値があり、国指定につながったんだと思います。
松木さん(保存会会長):ひとりだけ、数人だけの力では成り立たないものですからね。私も代々、受け継いできた側ではないんですが、人手が足りないからと皆さんに要請されて、笛を吹いてみたら吹けたので、今に至っているという具合でして。
松木さん(保存会会長):昭和51年に指定された時点で、もう保存会の人数が半分だったと聞いています。今は上の世代で70代が3人、最年少で42歳。全部で34人います。
中沢さん(氏子総代):もともと17軒で、決められた役を家ごとに行っていたようですが、今はもう氏子のなかで有志が集って続けているという状況です。
松木さん(保存会会長):永く続いてきたものを自分たちの代で終わらせてしまってはならないと思っています。 先代の山本会長時代は、山城小学校の授業で紹介したり、精力的に活動していたようですが。
中沢さん(氏子総代):2年生の社会科の授業で天津司神社を訪ねてきたとき、少しだけ人形をこんな風に操るんだよ、と実演してみせたこともありますよ。子どもたちに少しでも、地元の民俗芸能にすごいものがあるんだなと、わかってもらえるとうれしいです。
奥が深いし極めると面白いもの。お狂いという激しい舞で、それまでの表情がガラッと変わったように見えると、プロの域といえます。
松木さん(保存会会長):継ぎ手を確保するためには、女性も受け入れる時代。まずは今度の開催で、ご覧になっていただいて、興味を持ってもらえたら。とにかくそれが第一歩と思います。皆さん、ぜひ、足をお運びください。
▲今年1月、国立劇場に出演した保存会の皆さん
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山梨県立博物館のHP シンボル展「天津司舞」紹介ページ
➡ http://www.museum.pref.yamanashi.jp/5th_tenjiannai_symbol_043.html
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「広報こうふ3月号」特集ページ
https://www.city.kofu.yamanashi.jp/shise/koho/kohoshi/r5/documents/202303p002-005.pdf