小浜逸郎・ことばの闘い

評論家をやっています。ジャンルは、思想・哲学・文学などが主ですが、時に応じて政治・社会・教育・音楽などを論じます。

マスクを捨てよ、町へ出よう

2020年06月15日 20時48分52秒 | 思想

以下の文章は、月刊誌『正論』8月号に掲載予定の文章です。これまでこのブログで述べてきたことと重なるところが多いですが、コロナ問題に関する現時点での筆者の考えのまとめとして、ここに掲げることにしました。

:ようやく会えたな。4か月ぶりか。元気だったか。
:ああ。俺はどうせふだんから在宅が多いから、どうってことなかったけどな。
:しかしコロナにはまいったな。仕事に出ようにもうっかり出られやしない。夜は飲みにも行けない。「見渡せば 店も呑み屋も なかりけり 栄えし街の 春の夕暮れ」ってな。
:ハハ……だけどあれは過剰自粛もいいとこだよ。2月に小中、高等学校の休校を安倍首相が突然言い出して、3月に五輪の中止が決まったら、今度は都知事がそれまで五輪、五輪で走りまくってたくせに、突然態度をがらりと変えて、さあ、これからはコロナとばかり、オーバーシュートだ、パンデミックだ、ロックダウンだ、ステイホームだ、クラスターだと横文字を連発して騒ぎ出した。いつもの煙に巻く選挙対策さ。
:しかし、そうはいっても、あの感染力の凄さから言ったら、自粛はやむを得なかったんじゃないか。
:俺も最初はちょっとそう思った。だけど、この流行病の性格と、自粛による経済の大ダメージを調べていくうちに、これは政府や自治体はとんでもない大間違いをやらかしたなと確信するようになったよ。4月の緊急事態宣言、5月の宣言の延長、どれもこれも必要なかった。
:え! そこまで言うか。いったいどうしてかね。
:マスコミは全国の感染者数とPCR検査件数と死者数だけしか発表してなかったろ。それで、来る日も来る日もトップニュースがコロナ、コロナだ。だけど、感染者数や検査数の発表は流行の広がりを煽るだけで、疫学的にも社会的にもまったく意味がないんだ。感染者がどれくらいかなんて正確に把握できるわけがないし、PCR検査を受けたか受けないかも意味がない。地域の事情によって検査体制がばらばらだし、そもそもこの検査は確率7割。マスコミは、この病気がどんな病気かってことを正確に報じなかった。だからワクチンができてなくて治療法もわからないんで、パニックが一気に広がっちゃった。だけどよくよく調べてみると、この新型コロナは、感染力はすごいけど、大部分が無症状か軽症、しかも重症になるのは60代以上で基礎疾患がある人がほとんどなんだ。そうそう、ここに東洋経済新報社が出してるこういうグラフがある。



ちょうど緊急事態宣言が延長された5月7日のものだけど、40代はほとんど重症者がいないし、30代以下は限りなくゼロだ。子どもはもちろん一人も重症になってない。休校なんて必要なかったのさ。
:なるほど、それは俺もうすうす聞いてはいたけど、しかし知らぬ間に感染しててお年寄りにうつしちゃったらまずいだろう。
:それはそうだけどね。この病気はウイルスが起こしてるから、無症状者、軽症者は感染によって免疫抗体ができる、そういうメリットもあるわけさ。しかもおおむね症状は軽くて治ってしまう。それにグラフの80代以上の死者ってのも、多くは90代だそうだ。90代になったら何病だってたいてい死ぬだろ。俺は自分が90代んなったら死んでもいいと思うよ。君もそう思わんか。
:そりや、まあ……。100歳まで生きようとは思わんな。
:それにね、これも東洋経済のデータに日付を入れてみたものだけど、毎日の全国死者数。最高が34だ。
                                         

                 4/13      5/7     5/25     6/13

:あれ、4月13日以前と以後とで、まるで違うな。
:それは単にデータソースが変わっただけ。だから前半でも本当はもう少し死んでたのかもしれない。でも大した数じゃないだろうな。それはそうと、このグラフで大事な点は二つある。一つは、緊急事態宣言の延期の時点で、すでにピークアウトしていて、あとは、ご覧のようにどんどん死者が減っているってことだ。もう一つは、その数の少なさだよ、いま(6月15日)の時点で流行し出してから4か月半。一応公式発表を信じるとして、死者900人ちょっと。毎日7人くらい死ぬなんて、どんな病気だろうが事故だろうが当たり前だろ。ましてほとんどが持病持ちの高齢者だよ。政府、自治体、マスコミ、そろって他の病気や自殺や事故死と比べようともしないんだ。
:ほかの場合だとどれくらい死んでるのかね。
:まずインフルエンザ。2018年には3300人亡くなったから毎日9人死んでる。なのに、何の騒ぎにもならなかったろ。自殺者は毎年2万人超えてるから、毎日55人から60人。交通事故はずいぶん少なくなったけど、それでも4000人死んでるから、11人だな。それよりもね、これも大部分高齢者だろうけど、ふつうの肺炎で死ぬ人は、毎年12万人くらいいる。そうすると、新型コロナ肺炎の流行期間に毎日300人死んでる計算になる。さてどう思いますか。こんなにコロナ、コロナと大騒ぎする必要があったんだろうか。
:うーむ、なるほど。しかし、アメリカやヨーロッパの状況は相当ひどいだろう?
:そりゃね、あとでもう一つグラフ見てもらうけど、あれだけ死者が出れば、欧米でパニックになるのはある程度うなずける。でもね、そこにもあんなに規制を厳格にする必要があったのかっていう疑問が残る。ヨーロッパは中世のペストの記憶があるからな。そのせいで、パニックを起こしやすいんだろう。だけど、死亡者が圧倒的に低い日本まで、それに煽られることはなかったんだ。冷静に構えてりゃそのうちにはワクチンもできるだろう。それとさ、新型コロナウイルスは、研究用に培養しようとすると、8日間までは出来るけど9日以上は無理だそうだ。てことは、だいたい1週間くらいで感染力を失うんだよ。だから症状の改善した患者をいつまでも隔離したり自宅に謹慎させておくのは非合理で意味がないんだ。
:しかし、第2波がこれからくるっていうじゃないか。それに対する備えは……
:第2波、第2波って騒いでるけど、あれはどういう科学的根拠があって言ってるんだ?
:それは、たぶん100年前のスペイン風邪の時の経験からだろうな。あの時はたしか予想外で第2波(日本では第一回)が襲ってきて、死者が25万人出てる。その後の第3波でも13万人死んでるんだ。
:ふん。新聞やTVがしきりに煽ってるな。でもスペイン風邪と今回の新型コロナじゃ、ウイルスの型も違うし、当時の医療環境や衛生環境がいまとはまったく違うよ。スペイン風邪は若年成人の免疫システムを破壊するから、老人より若年成人の死者が圧倒的に多かったんだ。ちなみに2009年にスペイン風邪と同じ型のウイルスが来てるけど、ワクチンもできてるから、この年の死者はわずか600人だよ。つまりスペイン風邪は参考にならない。来る前からインフルエンザや新型ウイルスを過剰に恐れる必要はないんだよ。だいたい、これからも今回のコロナ以外に、違った型のウイルスが何度も襲ってくる可能性だってある。第2波だろうと第3波だろうとな。そのたびに緊急事態宣言出して経済をどん底に陥れるのか。
:しかし、何が来るかわからないんだったら、医療崩壊が起きないように、感染症対策や医療体制面だけは確実に整備しておく必要はあるんじゃないか。
:一般論としてはその通りさ、だから今回不備が露呈した部分を補填・拡充して教訓を活かせばいい。医療崩壊って言えばさ、今回のコロナで普通の医院、病院でも院内感染恐れて患者が来なくなっちゃって、がら空き、そっちの「医療崩壊」も深刻だったぞ。
:それは経済の話だな。その話はあとで聞くとして、さっき言ってた欧米のパニックを日本もまねる必要はなかったって話は?
:札幌医大で出してるこういう資料があるんだよ。世界各国100万人当たりのコロナ死者数の累計を毎日更新してるんだけど、これを見て気づくことがいくつかある(最終6月14日)。



:ああ、下にたくさん国名が書いてあるけど、これは1,2,3……15か国しかないね。
:うん。自由に選べるんだよ。全部入れるとごちゃごちゃになっちゃうから俺が勝手に大事だと思える国を選んだんだ。
:ははあ、もうだいたいが終息してきてるんだな。でも三つだけ上昇してるぞ。
:そう。ちょっとわかりにくいから、全部言っておこう。右端の上から順にベルギー、イタリア、フランス、スウェーデン、アメリカ、ブラジル、メキシコ、ドイツ、ロシア、フィリピン、インドネシア、日本、シンガポール、マレーシア、タイ。上昇してる三つは、ブラジル、メキシコ、ロシアだ。欧米とアジア諸国はほとんど水平になってるだろう。世界全体のもあるけど、これもほぼ水平に近づきつつある。
:アジアで中国や韓国やインドが抜かしてあるのはなぜ?
:それは、国情やカーブの仕方から見て、統計に信用が置けないから。インドは急上昇中だけど、ずいぶん後になってから突然登場してるんで、これもおかしい。日本も含めて他の国も疑う余地はあるけど、まあ、だいたい信用するしかないな。
:そうか。それでこの上昇中の三国はまずいんじゃないか。ここからまた世界に広がる可能性がある。
:さあ、どうだろうか。ロシアはもうすでにカーブが鈍ってきてるだろ。ブラジルとメキシコは、衛生環境の極めて悪い貧困地区で拡大してるんだよ。だからこれはコロナ問題に限定して考えるべきじゃなくて、貧困問題、政治問題としてとらえるべきだと思う。つまりそういう地区では、もともと食糧事情や居住環境や治安、麻薬禍など、解決すべき問題が山積してるはずなんだ。インドもたぶん同じだよ。
:なるほどね。ところで欧米と日本とでは死者数がまったく違うというのはいろいろなところで言われてたけど、それはなんでなんだろうな。やっぱり生活習慣の違いかな。
:その前に、このグラフの縦軸を見てくれないか。これは対数目盛なんだ。つまり、見た目よりもずっと差が大きいんだよ。具体的に言うと、最高はベルギーで約830、日本は約7、最低のタイは0.8という具合だ。2桁も3桁も違うことになる。大事なのは、欧米と日本だけに開きがあるんじゃなくて、東南アジア諸国も日本と同じか、それより低くなってる。これは生活習慣の違いなんかじゃ説明がつかない。結局、まだ定説はないけど、人種によって免疫学的な違いがあると考える以外ないんじゃないかな。
:うーん、そうか。そうすると、日本は、欧米に見習ってあわててオーバーシュートだのロックダウンだのと騒ぐ必要はなかったことになるな。
:そう。俺が言いたかったのはまさにそこさ。それに関連してもう一つ言いたかったのは、ヨーロッパじゃどの国も早くから厳しい隔離と外出規制を取っていただろ。それなのに、その時期には死者数はどこもうなぎ上りだ。ところがスウェーデン(上から4番目)だけは、高齢者以外にはそういう規制を敷かなかった。で、結果はご覧の通り、他国と同じカーブなんだよ。つまり、隔離や外出規制は意味がない証拠だ。だから、むしろ、外出規制なんかしない方がよかったんだ。マスクをして適切な距離を取っていれば飛沫が飛ぶなんてことはまず考えられないからな。
:日本じゃ8割おじさんてのが出てきてパッと8割外出規制が決まっちゃったな。
:あれも大いに問題があった。第一に8割という数字には論理的な根拠が乏しい。第二に、政府が自分たちでちゃんと調べないで、いわゆる「専門家」丸投げでさっさと政治決断してしまったこと、それから第三に、地域特性も無視して、一律8割というのはどう考えてもおかしい。
:そう言えば岩手県は最後まで感染者ゼロ、鹿児島、鳥取、徳島、秋田なんかはほとんどいなかったな。
:そう。大都市と農村と全然事情が違うのに一律はないだろう。それと言っておきたいのは、「専門家」依存のいいかげんな決定で、日本全国に絶大な力を及ぼしたんだから、その「専門家」はそれが経済にどういう影響を与えるかに関しても、自分たちなりの責任意識を持つべきだと思うんだ。同時に、政府のほうも、専門家会議の中に経済的悪影響のことをきちんと考えてる識者を初めから入れておくべきだったんだ。
:それはそれとして、俺が思ったのは、日本人てなんてまじめで従順なんだろうってことだな。君の言う通りだとすれば、これもちょっとまずいんじゃないの。もっと議論が起きてしかるべきだったろう。
:そうだな。それと臆病で神経質すぎるな。政府や都知事が問題にする前から、相当自粛が進んでたからな。お上の言うことそのまま信じないで、自分たちの頭でまずきちんと調べたり考えたりしてほしいよ。とにかく、経済の計り知れない損失のことを考えると、官民含めて今回の日本のコロナ対策は壮大な失敗だったよ。
:現状、経済的損失は、どれくらいに及んでるの。
:2020年1-3月期のGDPは前期比年率で3.4%減。個人消費や生産が急速に悪化してるね。だけど忘れちゃいけないのは、昨年10月の消費増税で7.1%減になった、そのうえでさらにこれだけ落ち込んだってことだよ。4-6月期は、コロナ禍で休業、倒産、廃業、解雇が続出してた時期にあたるから、この結果が出る8月には恐ろしい数字を見ることになるだろう。あと、このグラフを見てくれ。



4月の鉱工業生産指数は前月比で9.1%落ち込んで、これは東日本大震災の時よりも悪くなってる。また帝国データバンクによると、今年の倒産件数は一万件を超すそうだ。自主的な休廃業などは、二万五千件だって。6月からはこれまでより悪化するのは確実だからね。そうすると失業率も急上昇して、特に非正規労働者の生活はますます逼迫するだろう。ほとんど恐慌に突入だよ。第二次補正予算で何とか32兆円の真水にこぎつけたけど、こんなもんじゃとても足りないだろうね。TVなんかは飲食業や宿泊関連の落ち込みを強調してるけど、ふつうの企業や生産現場だって、みんな関連してるからね。政府や一部の新しがり屋はテレワークやオンラインの可能性とか、「新しい生活様式」とかV字回復とか白々しいことを言ってるけど、テレワークやオンラインで能率が上がるはずがない。子どもも友達に会えないし、勉強の遅れを取り戻さなくちゃならないし、かわいそうだよ。
:そういえば新幹線がガラガラだったってよく話題になったな。4月の時点でどの路線も9割近く利用客が減ってしまった。今日ここに来るときも、まだ電車はすいていて、ゆうゆう座れたぞ。
:そうそう。それも大問題だったな。首都圏の通勤路線も6割減だそうだ。鉄道会社も航空会社も、下手したら経営が危ない。「新しい生活様式」に変わることが大事なんじゃなくて、元の当たり前の日常生活にいかにして復帰するかが大切なことなんだ。もう一度言うけど、コロナ対策は壮大な失敗だった。マスクを捨てよ、街に出よう!


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安藤裕衆議院議員を次期自民党総裁に!

2020年06月10日 19時02分53秒 | 政治


先日、皆さんよくご存じの、池上彰という大ウソツキが、テレ朝の「ニュース、そうだったのか」で、コロナ給付金に関して、「国の借金が1000兆円を超えているんだから、当然増税になる。国民一人当たり10万円給付も、国民が前借しているんだから、いずれ返さなくてはいけない」と言っているのを聞いて、思わずのけぞりました。
「ふうん、そうなんだ」とか相槌を打ってる聞き手も、なんでこんなひどいウソに騙されるんでしょうね。

最近の池上は、どうも自分は間違ったことを言ってるんじゃないかという焦りが顔に出ていて、表情が引きつっています。
どこか体を悪くしているのでなければ、激やせもそのせいかも。

ところで、あいつは20年来同じこと言ってて、どうせバカだから相手にしなくていいよ、と突き放すのもけっこうですが、筆者が危惧するのは、次の点です。
ああいう地上波番組は視聴率も高いから、池上のような大ウソツキが啓蒙家ヅラしてのさばると、愚民がどんどん再生産されるんじゃないか。
もう少し詳しく言うと、あの番組が大衆に受ける秘密は、その形式にあると思います。
優しく(易しく)流暢な調子で、教師という立場から、生徒に質問をしながら「正解はこうです」と余裕たっぷりに説明していく。
生徒はほとんど痴呆状態に置かれて、先生の講釈を感心して聞くほかはない。
誰も突っ込みを入れないし(入れる能力もないし)、議論する余地もない。
この「実演による啓蒙」という演出形式においては、生徒は手品師に引っかかる観客のようなものです。
だから視聴者も素直に「ふーん、そうだったんだ」と受け入れてしまう。
学者が澄まして書いているバカ言説も問題ですが、こちらは読者も多くありません。
だから、池上方式のほうが、学者のバカ言説よりもよっぽど悪影響をまき散らしていると思います。
そもそもこういう番組を作っているプロデューサーは、何を考えてこんなインチキ番組を垂れ流しているのか。
大衆が視聴するTV媒体でこういうやり方を使って、ウソを流し続ける限り、「国の借金で財政破綻、だから増税して財政を健全化、給付金もみなさんの借金」というデタラメは、改まりそうもありません。
まずは池上を潰せ!

ところで、今を去ることわずか2か月半前、『オペレーションZ』という財務省よいしょ小説を書いた作家の真山仁と、財務省事務次官の岡本薫明とが、「日本の財政がわかってない方に教えたい真の姿」と題して、例の「国の借金1000兆円超が国家財政の破綻を招く」というトンデモ対談を平然と行っています。

ご覧になった方も多いことでしょう。
https://toyokeizai.net/articles/-/340525
日本の財政がわかっていないのは、お前たちだろ! と思わず怒鳴りつけたくなります。
真山は本当のバカなのでしょう。
しかし、岡本事務次官がわかっていないはずはないので、西田昌司参議院議員が国会で追及した時に、彼自身が「財政破綻はしません」と答えているのです。
https://www.youtube.com/watch?v=JlvJGc7ohzI&feature=youtu.be
このブログの読者ならとっくにご存知と思いますが、財務省のHPにもそう書いてありますしね。
だから、一般国民相手の場面では、岡本は平然とウソをついているわけです。
国民に平然とウソをつく高級官僚がうようよいるこの国、誰が考えても亡国と言わざるを得ないでしょう。

さて大衆啓蒙家気取りの池上彰、財務官僚トップの岡本薫明、財務省御用学者の小林慶一郎、土居丈朗、森信茂樹、佐藤主光、吉川洋、伊藤隆俊、伊藤元重の面々、朝日の原真人、日経の久保田啓介……。
この緊縮脳に侵された重症患者連中を徹底的に潰さない限り、日本経済に未来はありません。
どうすれば潰せるか。
こちらも執拗に言論と政治実践で対抗していく以外ないでしょう。

ところで、このたび、コロナ禍がもたらした大恐慌危機に際して、「日本の未来を考える勉強会」代表の安藤裕衆議院議員消費税ゼロ、百兆円の国債発行を提案しました。

彼を中心とする若手自民党議員の獅子奮迅の働きによって、この日本経済回復策に賛同する国会議員が80名を超えました。
その結果、まだまだ不十分とはいえ、岸田政調会長、西村経済再生担当大臣らを動かし、真水32兆円の財政出動にこぎつけました。
ことに予備費10兆円の確保は、予備費という名目では、金額的に言って空前の規模です。
もしこれを全額、コロナ禍(というより不必要だった過剰自粛)による民間企業の巨大な損失補填に充てられるなら、その効果はかなり大きいと言えるでしょう。
今回のこの動きは、いままで財務省の言うなりになって眠りこけていた大方の自民党議員の空気を一新するたいへんなことだったといっても過言ではありません。
コロナ禍を奇貨としたというべきでしょうか。

しかし、疫病としてのコロナが沈静しても、一度落ち込んだ経済を回復させるのは、並大抵のことではありません。
けっして忘れてはならないのは、コロナが来なくても、昨年10月の消費増税によってGDPが▲7.1%の落ち込みを見せたという事実、その前から20年以上もデフレから脱却できず、事態はますます悪化していたという事実です。
コロナ禍が去れば、それ以前は経済がまともに機能していたかのような錯覚に陥る可能性が十分にあります。
財務省はここぞとばかり、この錯覚を利用するでしょう。
7月に予定されている「骨太の方針」決定に、はたしてPB黒字化目標がまだ残るのか。
これが残ってしまうようなら、緊縮路線は何ら変わることなく、財務省はコロナ財出で使った分を税金で取り返そうとするでしょう。
今回のコロナ財出でも、消費税には指一本触れませんでした。
そうすると、気違いじみた池上の希望通りになってしまいます。
8月には4月―6月期のGDPが発表されます。
悲惨な数字が出ることは確定的です。
闘いはこれからなのです。
当然、第三次、第四次補正予算を組む方向へと邁進していかなくてはなりません。
この邁進の動力源に誰がなりうるか。
安藤氏とその賛同者以外にはいないでしょう。

山本太郎氏も、この間、日本の貧困化をもたらした勢力を告発するのによく貢献したと思います。

彼はMMTを中心とする積極財政論をきちんと理解していますし、どんな質問にも明快に答えられる優れた政治家です。
しかし野党的立場からの告発と勢力伸長にはどうしても限界があります。
やはり、圧倒的多数を誇る自民党議員に親しく接触することができる安藤氏のような人が、政権与党の内部で粘り強く説得を繰り返し、内部から変革していくのが、一番有利な方法と考えられます。

安倍政権の支持率もだいぶ落ちてきました。
いつとは言えませんが、そろそろ安倍首相の降板も近いでしょう。
しかし国民の意識としては、ほかにもっといい人がいないというのが本音でしょう。
筆者としては、このタイミングで、安藤議員に次期自民党総裁選に出馬していただくことを提案します。
ロートルひしめく党上層部に切り込みをかけても、すぐにはひっくり返らないかもしれません。
しかしこれによって、安藤グループ及びその潜在的な賛同者が、一気に表面化し、安藤氏はその存在感の大きさを示すことができます。
消費税ゼロ、国債100兆円を掲げる安藤氏に、自民党次期総裁の地位を! そして安藤総理大臣の実現を!


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