福岡神一 糸井重里 池上 彰
姜 尚中 養老孟司 太田 光
渡邊美樹 著
小学館 P98より引用
ISBN978-4-09-387883-8 1000円+税
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4時限目 悩みぬくこころを持つ
ーー悩んで悩みぬいて突き抜けようーー
講師 姜 尚中 (政治学者)
▼30までは見習いの時代と考える
こういった「間違った職業観や人生観」
が日本に蔓延する最大の原因は二つあり、
そのうち一つはエイジングだと思います。
日本人はどうしてこんなに年齢にこだ
わるのでしょうか。子供を持つ親たちは、
最速で有名大学を卒業して就職すること
が、一番のエリートコースだと思ってい
る。いわゆる偏差値偏重的な考え方によ
り、10代で人生が決まってしまうかの
ように考えている人がとにかく多いんで
す。だから2年、3年と、何処か寄り道
しただけで、もう落後者として扱われて
しまう。こんなことは欧米では考えられ
ません。(中略)
あと、僕自身が教育界にいる身として
感じるのは、今後10年で促成栽培によ
るエリートコースという考え方が必ず変
わっていくだろうということ。大学に入
ってからでも、社会人になってからでも、
気づいたときにそこでやり直すことがで
きるような「複線化」が確実に社会に根
ずいてゆくでしょう。
▼悩むことで困難への免疫力が高まる。
書店で、「悩むよりまず行動」「合理
化・効率化への技術」などを謳(うた)
ったベストセラーを見るたび、最近の日
本社会の中で、「悩む」という行為がい
かにお荷物扱いにされているかに気づか
されます。しかし、悩むということ、ク
ヨクヨすることは人間にとって精神衛生
上、絶対に必要なことです。なぜなら、
人は悩むことによって、人生におけるい
ろいろな困難に対する免疫力を高めるか
ら。(中略)
でも冷静に考えれば、これほどまでに予
測不可能な時代において、自分の」生活
が大海原に浮かぶ小舟のように翻弄され
ている状態で、悩まない方が不思議です
よ。
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▽30までは見習い期間という発想、昔で
も30を越えないと世間では信用できない
とか言いました。それまでは色々な事を
経験した方が後々の肥やしになるという
ことですね。「若い時の苦労は金を払っ
てもせよ」ということわざがありますが
まさにその通りですね。ところがいつの
間にやら、寄り道やら苦労はせずにただ
ひたすら悩むこともなしにレールをひた
走る。これでは後で壁にぶち当たること
請け合いです。姜さんも実は30まで大
学院生でしたといってみえます。
人間は悩める動物ですね。悩まない方が
おかしいのではないでしょうか。
こめぞう