パトロールと称して農園内外を歩き回るのも趣味の一つだが、とりわけ畦道を彷徨うのがお好みなようだ。小さな花々が咲き誇り、個人的には立派な花園かと思っている。季節毎に品種は変わるが、今頃だと「タンポポ」や「オオイヌノフグリ」それに「ムラサキケマン」等が咲き誇り中だろうか。踏みつけないように気を付けて歩かないと。もう少しで「ヒメオドリコソウ」の群落が出現するだろう。春告花でもある。それとこの時期注目するのが「フキノトウ」の発生、フキの幼子だ。早春の花茎をフキノトウと呼ぶようで、春の山草として知られている。
農園内でフキノトウが発生するのは決まった場所だ。日だまりでやや湿った場所を好むようで、師匠宅の田圃の脇がメインの花園である。子狸の耕地からは近いので再々お邪魔して覗くようにしている。時期を得たようで、彼方此方にポツリポツリと出現しだした。色合いは薄いグリーン模様で、華やかさは無い。一寸地味な存在の花であろうか。最も、花々に艶やかさや華やかさを求める方々は山野草には注目しないかと思うので、地味な存在で結構なのかも。
フキノトウは元々が自然の多年草で、里山からの贈り物みたいな存在だったが、最近は減少気味な模様だ。身近に見られるフキノトウは地権者によって管理された存在なのかも。農園のフキノトウも師匠夫人が摘まれている模様で、野生児では無いように思われる。
フキノトウは春の珍味として調理されるようで、師匠夫人が摘まれるのもそうした狙いがあるのだろう。テンプラが代表的だが、おひたしや和え物にも利用されるようだ。但し、アクが強いようなのでアク抜きが必要な模様。師匠宅ではテンプラへの活用だろうか。以前に「長老」からフキノトウ味噌を頂戴したことがある。清々しい香りとほんのりした苦みとが特徴だろうか。ご飯と良く合う品で、フキノトウ味噌だけでおかずは不要な状況だった。作成には手間暇が掛かるかと思うのに、何ともマメな御仁で、おかげで春の珍味と出会うことが可能だったのだ。
もう一箇所の秘やかな場所は栗の木の根本付近、例の早朝散歩が危なげな婆様の農地だ。崖地となってるので少々危険性はあるが、フキの群落で賑やかな場所。当然ながらフキノトウも出現する。日当たりが悪いので、タイミング的には少々遅いかな。斯くして農園はフキノトウの時期となってきた。摘み取って調理するような興味は無いが、開花を楽しむ余裕は存在する。農作業の合間にチョコチョコと覗きに回りましょうかな。