国宝「伴大納言絵巻」「応天門炎上部分」12世紀
伴大納言絵巻は、清和天皇の貞観8年(866)に、大納言伴善男が政敵である左大臣源信をおとしいれるため、朝堂院の正門である応天門放火事件(応天門の変)を起こして後に真相が判明し、かえって伴善男が逮捕され、遠流に処せられた政治的な陰謀事件の顛末を描いたものです。
ここに掲げてある場面は、放火された応天門が紅蓮の炎に黒煙を上げて燃えさかるさま(左端)を見ようと、平安宮の正門である朱雀門をくぐって駆けつけた役人、庶民らの様々な動きや驚きの表情を詳細に表現しており、絵巻最大の見せ場でもあります。この絵巻物は、建物のほか、公家から庶民に至るまでの風俗や人々の表情まで詳細に描いた、わが国の絵画史上を代表する第1級の資料であります。
なお、この絵巻に描かれた朱雀門は、ここより北へ約300mほどの所にありました。
関連記事 ⇒ 平安宮と周辺史跡 37ケ所