「東都一石ばし」
一石橋は日本橋の西隣に架かる橋で、両側に後藤家の屋敷があったことから「五斗五斗」で一石橋と名付けられたとの俗説がある。橋上から七つの橋を見ることができたため、一石橋も含めた「八つ見の橋」の別称でも知られていた。画面手前の橋が一石橋で、水路の十字路を越えて奥に架かるのは銭瓶橋、さらにその奥には小さく道三橋も描かれている。銭瓶橋のたもとより奥は、長く伸びる大名屋敷の外壁や霞で視界が遮られているが、その中に江戸城が忽然と姿を現し、遠方には富士山が江戸の中枢を見守るようにそびえている。五街道の起点であり、日に千両もの取引があったといわれる魚河岸を抱えた日本橋は、まさに江戸の中心地であった。