冒頭写真は鷹の図になにか文章を添えたもので、何が書いてあるのかよく分からないから大津絵風としか言えないのだが、こういう奔放な描き方はそれであろうと思われる絵だ、でも練習用だったのかもしれないなぁ。
鷹の図であろうというのは図をよく見ると、鳥の足から止まり木に紐が結ばれている様子で、鷹狩りに仕込まれている鳥の図なのかなと思われるから、でも余白の文字が達筆で読めないからどういう場面かはっきりしない、恐らく辛辣な警句が書かれているのだろうと想像する。
これは骨董市でいろいろな絵を描いた同じ大きさのシワクチャ和紙を何枚も重ねて置いてあるのを見つけ、中から傷み汚れが少なくて絵も面白いなと思うのを一枚だけ選んだもの、大津絵かと聞いたら頷いていたから恐らくそうでしょう。
次は大津絵では有名な図柄の鬼の念仏、これは墨絵で色があまり入らない古いものの傑作が日本民藝館にあったような記憶がある。
そもそも大津絵は江戸時代の宗教画から発して世俗画も描かれるようになり、それが東海道を行きかう旅人のお土産用に大量に描かれたようになったもので、民藝館設立者柳宗悦がこれに民芸の美を見出し喧伝されて有名になったと聞く、民芸らしく手早く何枚も描くところが民陶の図柄の書き方に通じていて、躍動的な線が命だろう。
三つ目は藤娘という葉書大の小品で、これも大津絵には定番の絵である、細い線描きはこれも流れるようで、こちらは鬼の絵より優美さを強調している、藤娘の絵は娘の良縁の願いがこめられているのがそうだ。
僕も整ったものよりこういうおおらかにデザイン化されたとも言える絵が好きだなぁ。
2009年からの再掲です