■朝から雨だし、今日は「日本語の輪の会」として初めて生徒さんに教える日なので、しっかり準備したい気持ちもあって交流センターに行こうかと思ってうろうろするうちに雨も止んできた。まぁいいか、なんとかなるだろう、、スキー行ってみよう。
くもり空で最初のリフトをあがったところで既に濃い霧が立ち込めている状態で、この先はどうなるかというような感じだったがリフトは動いているしボーダーもちらほらみかけるのでとにかくイリュージョンまで行って滑り始めて驚いた。すばらしいコンディションだ。ゲレンデにコブはなく深い雪もない。おまけに人もいない。真っ平らの雪面に薄くしっかりと新しい雪が張り付いている感じでスキーエッジがしっかりと食い込んでパーフェクトな硬さだ。前方視界がぼんやりとしか見えないのが難だがコースは知り尽くしているので不安なく一気にふもとまで、、。
リフトで乗り合わせた40前後の男のボーダーと話した。やたらうまくて早い。やっと追いついて一緒にリフトに乗っている間ボードの事をいろいろ教えてもらった。かれのはハードブーツで、スピードを追求するタイプ。一般的なソフトブーツは若者に人気のフリースタイル用だ。こちらは安くて2,3万でそろうが彼のハードブーツは板は10万、ブーツやビンディングで20万ぐらいとか。板は細身でちょっとモノスキー風。定休日の水曜に滑りに来るがボードのはしりの頃、ちょうどこのスキー場ができたころから20年ぐらい滑っているという。
3時間ちょっと滑って体の調子がちょうどいい感じのところで帰ることにした。その前に、課題の35°をトライしよう。残念、途中で止まってしまった。ここをすいすい行くのはそう簡単ではないぞ。
東京から博幸が相続問題の整理に帰ってきていた。東京永住の覚悟を決めたそうだ。明日からしばらくうちに泊まる予定。ホテルに送ってから交流センターへ行ってブラジルからの夫婦を待った。彼らは2人の小学生の男の子を連れてきた。僕ははじめてで勝手がわからず、通りかかった谷内先生に聞いて受付の手続きを終えた。
用意した新しい教科書を見せると、奥さんのマリシアが「先生、これ使えません。この人日本語読めないんです。」「、、、、」話がちがうなぁ。少しできると聞いていたので新しい教科書でやりましょうと言ってウエブで関連書籍と共に購入したのに、、、。
家で家族は日本語を使っているのにアントンさんただ一人話ができないのだ。聞く方はかなりできるのだが日本語を使う機会がない。会社では屋内での荷物の移動、整理の仕事を8年やっていて福井弁の必要なコミュニケーションはできるのだろうが一般的な会話ができないというのが悩みなのだ。読み方よりまず話すことを教えて欲しいというのである。
夕方5時まで仕事で帰宅して食事入浴後はもう疲れて寝てしまうという。誰も起きていない朝4時に会社にでかけ、ずっと仕事。日曜の休みもほとんど寝ている時が多く、最近は日曜出勤も多くなったそうだ。TVでニュースを見たり、ラジオを聞くこともなく、特に外出することもない。まるで奴隷のような人生だ。
彼に「まず、平仮名をおぼえて、テキストを読めるようになってから、、、」などと言うのはむなしい気がして、とにかくローマ字版を使い、会話練習の時間を多くとって、とりあえず話せるようになりたいという希望を最優先することにした。マルシアの漢字の練習もしたいという要望もある。テキストに沿いながら出てくる漢字を覚えてもらうことも一緒にしないといけない。もうテキストから離れたほうがいいかもしれない。最初の生徒さんからして、かなりハードルの高い授業になりそうだ。
「みんなの日本語」テキストでは1課4時間で2冊50課の100時間が必要だが週1、1時間半の中で2人に違うことを一編で教えないといけない。しかし考えてみれば十分聞く力のある彼が自由に話せる雰囲気が作れさえすればいいので、一家4人がちょっと緊張した充実感を週1回体験してもらって学習意欲を満たしてあげることはさほど困難ではないかもしれない。授業パターンにとらわれずにやってみようという気持ちになった。