■市の登録統計調査員のブロック研修というのがあって遅れてしまったが参加すると県の政策統計課が行う「統計出前講座」というものをやっていた。「調査からわかる幸福度日本一福井」と称する小冊子で、出生率、持ち家率、離職率、平均寿命、、等40指標を基にして幸福度ランキングというものを紹介している。
1位福井、2位富山、3位石川、、、45位兵庫、46位高知、で最下位大阪という結果だ。研修会ではとりわけ意見を言う人もなく、僕も先日の「月曜から夜ふかし」の話にふれてあんなデータが簡単にネットで見れれば福井人の自覚も高まり、情報を発信するようになったらいい、、みたいな発言をしてお茶を濁して帰ったが、家で資料を見直してみると、、、なんじゃぁこれ!だんだん腹立たしくさえなってきた。ピントが全く外れている。まるで、いいかげんな答えしか書いてない解答用紙みたいなもんじゃないか!
幸福度の統計調査なら、「あなたは福井で生活をして幸福だと思いますか5段階評価で答えてください」みたいな意識調査を全国的に実施してその結果どうなるか、、というような話ではないだろうか?この調査では何の根拠も示さず各指標の順位が1~5位は10点、6~10位は9点、、などと評価して評点平均を出している。1~3位に続き4位鳥取、5位佐賀、6位熊本、、、そして下位10位のなかに東京、京都、大阪が入っている、、、、あれー、これって田舎VS都会っていう対比じゃあないの?
ー幸福度を判断するうえで重複する3大条件ーとして①健康②経済的ゆとり③家族関係となっているけど、もし、逆に見れば、①体力より思考活動②競争③会社など対外的人間関係が重視される都会生活を現していると言えないだろうか?ならば資料の「幸福度」を「田舎度」と置き換えて何の不自然さもない。まず「幸福度」って一体どこからでてくるの??
企画は法政大教授坂本光司他、社会人学生(?)10名などとなっているがネット情報によると、かって福井県立大に在籍したことがある企業経営の専門家らしい。経営学では顧客の「満足度」なんて言葉もあるけど、、なにか勘違いしてないか?少なくともこの調査に統計分析的考慮は見られない。
昔、春江町の固定資産評価額を決めるために不動産鑑定士と協力して不動産価格算定プログラムを開発したことがある。その時使用した重回帰分析の独立変数は全て定量的なもので定性的データの数量化手法まですることはなかったが、もちろん外的基準である実際の取引価格データの存在が前提であった。外的基準であるべき「幸福度」の意識調査データもなくて独立変数となる各指標だけでは統計分析が成り立たない。なにを根拠に「特定の指標が地域住民の幸福度を端的に示している」といえるのか?まったく理解できない。
指標が独立変数となるためには他の指標との相関をなくさなければならないし、統計解析できる事項は相関関係であって因果関係が解明されるわけではないから、簡単に答えがでるような話ではない。この研究機関による「未婚率が低く、出生率が高いので幸福な家庭像がうかがえる」なんて評価は全くうそっぱちで、企画者の単なる思い込みの域を出ないのだが、、、まあ、行政の調査報告なんてこんなものかもしれないが、、、。
福井県も「幸福度」を目玉に売り出していくからには、もちっと真剣に取り組む姿勢をみせて欲しいものだ。こんな報告では素人でも不自然さを感じるのではないかと思う。ちなみにこの小冊子のタイトルは。
「統計の大切さを伝えよう」ー調査からわかる幸福度、、うんぬん、、。