電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

無名英雄

2019-04-10 00:07:31 | 七十年代作品【1971】

こんにちは。醒龍です。

たまたま朝いつも利用するパン屋で、隣のテーブル席が外人さんのファミリーでした。英語と中国語を話していたのでそっちの国あたりと思います。上品なお店ではありますが、珍しいお客さんですね。白人の男性はパンを食べるのにナイフとフォークを使っていました。日本人にはなかなかできないですね。カトラリーは外人さん用に用意してあるのかもしれませんね。ちょっぴりカルチャーショックです。
 

今回は、おなじみ張徹監督の戦争モノで、主演の皆さんが軍人の格好で出てくる映画『無名英雄』(71)です。日本版のセレクションには落選してしまいましたが、まぁいっぱいあるので仕方なかったですよね。

 

ギャラリーはこちらへどうぞ。(Shaw Brothers Universe)

若々しいデイビット・チャン、ティ・ロン、チン・リー3人の青春活劇(・・という言葉が似あうなと思う)の1本です。

先月までは、本当に忙しくてキツイ毎日を送っていましたが、この邵氏メンバーの若い頃の映画がとても癒されますね。栄養ドリンクとか飲んでる気分です(笑)。リラックスすることが、ストレス解消への早道ですね。

音楽が無くて寂しいので、ここに町田義人の『戦士の休息』なんて流してたら、もう最高な気分になれます!!(キッパリ) 

物語は、ニー・クワンが脚本書いてるみたいなんで小説はあるのかしらん。たまにはこんな戦時中のお話もいいかも。

いつもの邵氏のファンファーレの後、オープニングは仏の皇帝・ナポレオンの最後の戦いを描いた伊・露合作映画「ワーテルロー」(70)のテーマに乗ってスタートします。これは映画の内容に近い選択だったのでしょうか。 

 

民初、大小様々な軍閥が群雄割拠していた時代。主人公・孟剛(姜大衛)は、木にぶらさがってサルのような真似をする遊び人だが町では名を知らない者がいないほど、自分の名を轟かせる存在であった。その仲間、流れ者のギャンブラー・鉄虎(ティ・ロン)は兄貴分。もう一人、紅一点の山椒みたいにぴりりと辛い"ペッパー"こと洪銀鳳(チン・リー)は、彼らと共に行動する謎の女性。

革命派の萬泰(谷峰)は、偶然見つけた孟剛をターゲットに選ぶのだった。萬アニキは、孟剛たちに接近して仲間となり、大量のライフル奪取の大仕事を依頼する。それは軍閥の保管する武器庫から銃器を奪って南鎮街(現在の安徽省西渓南鎮か?)へ移送する計画であった。

人一倍気の強いペッパー、実は隊長の娘であった。父親を口車に乗せてライフル輸送用のトラック2台をまんまと騙し取るペッパー。そして、実行部隊は軍需處長(司令官)の弱みを握って、厳重に警備されている武器の保管部署へ侵入し、作戦主任に3000丁のライフルと28000発の銃弾を要求した。しかし、公文書での払い出しを理由に断られてしまう。このミッションは失敗なのか!?険悪な空気が流れる・・。

 

ここからがこの映画の面白い部分だと思います。ベテラン俳優・井淼(チン・ミャオ)がコワーイ総司令官役なのですが、部下を激怒したり、厳しい事を最後まで一人で言っています。このギャップが、この映画には必要なのでしょう。毎回、参謀長(リー・ワンチュン)と電話で会話するシーンがちょっと笑えます(笑)。

途中、谷峰に入れ替わって今度はカンフースター、チェン・シンの登場だ。ここはやや違和感がありますね。(なんで急に交代するの??みたいな・・・。)この時期、現に4人の監督がそれぞれ邵氏で別の映画を撮っており、主演のお二人よりも谷峰の方が多忙だったと思いますので、スケジュールの関係でシナリオを変更した可能性ももしかしたらあるのではないでしょうか。

武術指導はいつもの唐佳と功夫良のコンビです。監督、主演、武術指導がお決まりのメンツなのですが、この構成はホント最強ですよね。監督さんとデイビッド&ティロンのミニマム3名を鉄三角と呼んだりするのですが、3つの役割それぞれも鉄三角だと思います。

ただコテコテのカンフー・アクションのようなものはこの映画には無いです。はい。

ファッションも今回は軍服ですので、ファッショナブルでかっっこいいお二人には軍服も超似合いますね。さすが、トップスターです。軍隊のドラマが進行しますが、時に楽しく、時にシリアスに、このバランスが絶妙で、デイビッド先生の笑顔も数分おきに見ることが出来ますよ(笑)。

途中、バイクを駆り出して乗り回すシーンとか、若さの象徴的な場面ですよね。私はオフロード・バイクでしたけども、あれには難しいコースを攻略する醍醐味があるんですよね。昔はそんな事もありましたね^^。

この映画は戦争モノなんで、コブシとコブシがぶつかり合う肉体的なものはほとんど無くてアクションと言ったら銃剣か銃撃戦ぐらいのもの。実際にライフルを使ったシーンも殆どないのですが、相手を倒すのは小型の銃で撃ってやっつけちゃうんですよね。

また、本物の機関車を使ったシーンがあるのは良いのですが、橋を通過するときの脱線シーンがアレですね(笑)。ちなみに、ここの鉄道を使ったシーンはタイで撮影され、『拳撃』と同時で2週間弱のロケが行われたんだそうです。

線路が続く道を戻ろうとしてトロッコのような台車を漕いで移動するのですが、ティ・ロン、なぜ一人で漕ぐのだ(笑)。ふたりでやればいいじゃないの。ふたりで。

あと、忘れてならないのがワン・チュン。ワン・チュンが非常に凛々しい程(チェン)という名前の高官役でカッコいいですね。このキャスティングは素晴らしかったと思います。そんなに出番は多くないのですが、邵氏作品にはこの顔が必須といえるでしょう。

↑でシナリオを改変した可能性ありと書きましたが、谷峰がいなくなってしまう直前、自分には仲間がいると告げるのですが、肝心のその仲間の名前を言わずに息を引き取るのです。これには実は意味があったんですよね。

そういえば、ティ・ロン主演の「野獣たちの掟」(原題『人民英雄』)という87年の映画がありましたけど、ティ・ロンの魅力が満喫できる作品で良かったですね。気取らない主人公、それでいて勇敢で面倒見のいい男。そんな彼を人々は人民英雄と呼んだという映画なのですが、これがすごくいいんですよね。社会派ドラマですが、これを当時見たときにはティ・ロンの持つ頼もしさ、その優しいキャラクターに引き込まれてしまいましたね。
 
『人民英雄』は、この『無名英雄』とまったく同じです。のちに英雄片が登場、大ヒットしたのもジョン・ウーはもちろん、發仔とティ・ロンの影響が大きかったと思います。そういう意味ではティ・ロンが『無名英雄』に出演した事は非常に重要な意味を持っていたと思います。
 
流れ者を演じた本作品で、のちの英雄片以前に周囲から英雄と呼ばれるようになる温かい、いえもっと熱い人間を演じていたティ・ロン。割と自然な様子で、この時はまだ初々しく役にもそれ程入り込んでいるようには見えなかったですが、『無名英雄』から数えて16年後、再び英雄が映画の中でよみがえった瞬間だったのです。
 
『無名英雄』の最後のところで、それまで目的のために突っ走ってきた3人が銃殺されるという衝撃的な場面を迎えます。これが3人の運命だったのですね。

そして、迎えたラストシーン。何とも微笑ましい場面が映し出されます。余韻にひたる、私。

これでこのドラマは、The End.

"無名英雄"、青春編。そんな感じのする1本でした。



The Anonymous Heroes(1971)


Chang Cheh


David Chiang

Ti Lung

Ching Li

Wong Chung

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The Anonymous Heroes Shaws Brothers VCD By IVL by Chang Cheh
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野獣たちの掟(87) イー・トンシン監督作品。超オススメです!

野獣たちの掟 [DVD]
ティ・ロン,トニー・レオン,エイレン・チン,レオン・カーフェイ,チョン・プイ
ラインコミュニケーションズ

 

【サントラCD】

映画音楽の巨匠ニーノ・ロータの楽曲。

 Titoli-Ritorno Dall'elba (※試聴はできません)

WATERLOO
LEGEND
LEGEND

【参考】CD(アルバム) 

もし宜しければこちらも。

日本の歌謡曲ですが、この映画にぴったりマッチすると思います。(個人的意見です)

「 笑って死ねる人生。それさえあればいい。」


町田義人 スーパーベスト
コロムビアミュージックエンタテインメント
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