福岡市民劇場9月例会で劇団民芸の芝居『どろんどろん』を観劇しました。
この芝居は鶴屋南北の『東海道四谷怪談』が初めて舞台で演じられた時の裏側を、大道具師にスポットをあてて描いた作品です。なのでー裏版「四谷怪談」ーという副題も付いています。
<リーフレット>
南北の「四谷怪談」には、死体がくるりと入れ替わる「戸板返し」やお岩の亡霊が通り抜ける「提灯抜け」という仕掛けがあるそうですが、勘兵衛とその弟子達による仕掛け作りの過程はなかなか興味深かったです。
が、しかし何代も続いた大道具師、長谷川勘兵衛を中心に人気作家鶴屋南北、看板役者尾上菊五郎の3人の意地とプライドのぶつかり合い、本音の言い合いは小気味よく、この芝居の見せ場じゃないでしょうかね~。
菊五郎が「芝居の出来が悪かったら、たたかれるのは役者のほうなんだ、客は道具なんか気にしていない」と決め付けると、大道具師の勘兵衛は「役者の芸はその場で消えてしまうけど、道具は後まで残るんだ」と切り返し、それを南北がとりなす。私達観客の心に入ってくるセリフの応酬でなかなか面白い場面でした。
三角関係の職人が殺人を犯し、「四谷怪談」に重なる怪談話が起きたりする話も、この芝居には盛り込まれているのですが、やはり3人の意地のぶつかり合いの場面が一番印象に残りました。
又、私は芝居を見ても大道具、小道具にあまり目が向くことはありませんが、名作といわれる芝居には目に見えない裏方の方々の創意工夫があり、役者さん方と裏方の方々の日々の努力が一つのすばらしい舞台を作り上げているのだ、という事がこの芝居で実感出来ました。
ちなみに歌舞伎の世界で「長谷川」といえば大道具の事をさし、当代は十七代目に当たるそうです。
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