長い間、そう、2ヵ月ぐらい連日訪問している患者さんがいます。
難病で口から食べることができなくなったら、管での栄養はしないで自然に過ごしたいと希望していました。
でも、全く何もしないわけではなく毎日皮下点滴をして過ごしています。
私の30年近くの看護人生で、こんなに関わった患者さんは数名ですが、そのひとりです。
10年以上前に訪問看護をしていた頃、ご主人への愛情にあふれていた奥様がいらっしゃいました。
喉のあたりのがんでしたので、おしゃべりは筆談でした。
広告用紙をはがきより小さめにカットして、その裏側に筆談していました。
日常の些細な会話も、筆談でした。
そして、最期の言葉が
「来世も君と」でした。ほとんど文字がぐにゃぐにゃでしたが読むことができました。
そのひとつひとつの言葉たちは、まるで落ち葉のようにたくさん残っています。
私の誕生日に亡くなったので、忘れることはできません。
そして、今も愛情あふれる奥様が介護してきた患者さんがいます。
その姿に心をうたれます。
先日
「ふと思います。今はこうして寝たきりでも夫がいると思うと安心ですけど
いなくなったら、ものすごく心細くなりますね。戸締りとか、いろんなことを」
こうなることを覚悟はしていましたが、徐々に血圧が下がってきました。
お別れを惜しみます。私たち、訪問看護スタッフにとっては、切ないです。