日本福音ルーテル二日市教会 筑紫野市湯町2-12-5 電話092-922-2491 主日礼拝 毎日曜日10時半から

ルーテル教会は、16世紀の宗教改革者マルチン・ルターの流れを汲むプロテスタントのキリスト教会です。

12月15日

2024-12-20 09:29:34 | 日記
ゼファニヤ3:14~20、 フィリピ4:4~7  ルカ2: 8~21
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二日市教会主日礼拝説教 2024年12月15日(日)
「馬槽(まぶね)」」の中に クリスマス物語 その③
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私たちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安が皆さま一人ひとりの上にありますように。アーメン。
Ж
 先週に続いて、ルカ福音書2章のクリスマス物語を考えます。ところで、先週はこう考えました。幼子が生まれたのは冷たく孤独な馬小屋ではなかった。そうではなく、一軒の民家で生まれたのである。・・・けれども、そう言われてもピンとこない人が大多数かもしれません。なぜなら私たちは今までずっと、神の御子は絵にあるような(汚くて、臭い)馬小屋で生まれたと思ってきたからです。
 なお最近は馬小屋とは言わなくなりました。なぜなら、新約聖書には馬という動物が出てこないからで、出てくるのは、牛やろば、羊だけだからです。馬は、戦争用の動物なので、聖書の田舎町で見かけることはなかったからです。
けれども、マリアは動物だけの家畜小屋で出産したのでもなかった。人間が普通に生活する民家で生んだのだ。先週はそう考えたのですが、あまり聞かない話であるかも知れません。

ところが聖書をもう一度読み直せば、新しい風景が見えてくるかもしれません。なぜなら、妻と二人で訪れたベツレヘムはヨセフにとって特別な町だったからです。なぜなら聖書には、ベツレヘムはダビデの町と書かれていましたし、ヨセフのことをダビデの家に属する血筋だったと紹介していたからです。
どういうことかというと、ベツレヘムはあのダビデ王の出身地だったので、ダビデの一族という人たちが大勢住んでいたからです。そして、ダビデ一族に戸籍上属するヨセフがその町にお里帰りするのですから、大歓迎されるのは当然だからです。
ところで、ルカ2章のこの話で気になるのは、宿屋という言葉です。2章7節には「宿屋には彼らの泊まる場所がなかった」と書かれているからですが、実はこの「宿屋」は翻訳ミスなのです。なぜなら、ベツレヘムには宿屋はなかったからです。というのも古代社会における宿屋は、政治・軍事面と品物の流通、経済面での必要上で作られた幹線道路に沿った町だけに配置されていたからで、それ以下のクラスの道路に沿った町、たとえばベツレヘムには宿屋はありませんでした。だから、2章の7節は翻訳ミスなのですが、正しく訳すならこれは「客間」なのでした。
ところで、ダビデ家の血筋のヨセフが帰ってきたのですから、人々は彼ら二人を丁重に扱おうとしました。もちろんヨセフは最初から宿屋はあてにしませんでした。こういう町に宿屋があるわけがないと知っていたからです。つまり、自分たちが泊まれるとしたらそれは親族の家しかないと分かっていたのです。さて、彼の親族は誰もが二人を自分の家に泊めたいと思いました。しかしその時期だけは、泊めることが困難な事情があったのでした。

さてその事情が、2節にある住民登録でした。なぜなら、ローマ皇帝の命令で住民登録という国勢調査が実施され、そのため人々は各自が戸籍上の出生地に戻って登録することになり、ベツレヘムもその理由で戻ってきた人に住民は自宅の客間を提供したからです。ヨセフが町に着いたときは、もうどの客間も埋まっていたのでした。だから、「宿屋(客間)には泊まる場所がなかった」と書かれたのでした。
しかし、そのためヨセフたちはベツレヘムの町に泊まれなかったのではありませんでした。なぜなら「客間は無理なんだけど、俺たち家族が寝泊まりする部屋の片隅でかまわなかったら泊まってゆきなさい」と誘ってくれる人が何人もいたからで、その一軒の家にお世話になることになったからです。
そして、このあとに2章6節が続くのです。「(さて)彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた」。近所の主婦たちが手伝いに駆けつけてきました。男たちは家から追い出されました。こうして、無事に生まれた赤ちゃんは飼い葉桶に寝かされたのでした。

というのも、泊った家は、半分が家族のためのスペースで、残りの半分で家畜が飼われていたからです。つまり、人間と家畜が共有するスペースの、同じ屋根の下に飼い葉桶もありました。ところで、この家畜と人が同居する構造の家屋は、日本でも関東から東北にかけて見られました。「曲がり家」と呼ばれたその建物は、アルファベットのLの字の形をしていました。ベツレヘムとは若干の違いがあるとしても、曲がり家に暮らす人たちは、居ながら土間の家畜の様子を見ることができました。それだけでなく、真冬でも、家畜の体温が伝わってくるので、家族はあたたかい夜を過ごすことができました。
なお、ベツレヘムに住んでいたのは大半が農家でした。だから、家を建てるときは、家畜と同居できる構造に設計したのでした。だからヨセフたちも、暖房効果抜群の家屋に泊まることができ、従って、生まれた赤ちゃんも、全然寒い思いをしなくてすんだのでした。
なお、こういう家には、二つのスペースの境になる位置に飼い葉桶が置かれていました。つまり人間の場所と家畜が寝起きする土間とのあいだに飼い葉桶があったのでした。だからマリアは、ほんの少し動くだけで、藁を敷き詰めた飼い葉桶に赤ん坊を寝かせ、またそこから取り上げてお乳をあげたり出来たのでした。
以上のようにクリスマス物語を見るなら、今まで見るうえで邪魔だったバリアが取り除かれる経験が出来るのです。そして、動物たちと人間が共にする暖かい場所で、神の子が生まれたのであれば、天使や羊飼いの喜びの歌声も実感として伝わってくるのではないかと思うのであります。(日本福音ルーテル二日市教会牧師:白髭義)

次週 12月22日 主の降誕主日
説教題:クリスマス物語 その4
説教者:白髭義 牧師
 一緒に礼拝に集い、主の降誕を覚えましょう‼

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