欧州での右翼政党台頭の原因について調べている。
特に自由の国フランスでマニーヌ・ル・ペン党首率いる国民戦線の
の台頭は衝撃的だ。同氏は若年層に圧倒的に支持されている。
フランスの若年層(15〜24歳)の失業率は2012年の統計で23.8%
と非常に高い。同国の他の世代によりも突出している。
もっと衝撃的なのは、ギリシャは55.3%、スペインは51.5%、ポルトガルは37.6%、
イタリアは35.3%と半分から三分の一の若年層が職につけないという悲惨な状態にある。
ちなみにEU離脱の国民投票で離脱を選択したイギリスは21.0%であった。
若者の失業率ランキング<147カ国> | |||||
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順位 | 国または地域 | 若者の失業率 | 偏差値 | 評価 | |
【情報源と計算式】若者の失業率:2013年 ワールドファクトブック(CIA) | |||||
1 | ボスニア・ヘルツェゴビナ(2012年) | 62.8% | 83.6 | E | |
2 | ギリシャ(2012年) | 55.3% | 77.7 | E | |
2 | コソボ(2012年) | 55.3% | 77.7 | E | |
4 | マケドニア(2012年) | 53.9% | 76.6 | E | |
5 | スペイン(2012年) | 53.2% | 76.1 | E | |
6 | 南アフリカ(2012年) | 51.5% | 74.8 | E | |
7 | セルビア(2012年) | 51.1% | 74.4 | E | |
8 | ガイアナ(2011年) | 46.1% | 70.6 | E | |
9 | クロアチア(2012年) | 43.1% | 68.2 | D | |
10 | チュニジア(2011年) | 42.3% | 67.6 | D | |
11 | モンテネグロ(2012年) | 41.1% | 66.7 | D | |
12 | セントルシア(2004年) | 40.8% | 66.4 | D | |
13 | ナミビア(2012年) | 40.1% | 65.9 | D | |
14 | アルメニア(2011年) | 39.2% | 65.2 | D | |
15 | ガザ地区(2012年) | 38.8% | 64.9 | D | |
15 | ヨルダン川西岸地区(2012年) | 38.8% | 64.9 | D | |
17 | ポルトガル(2012年) | 37.6% | 63.9 | D | |
18 | イタリア(2012年) | 35.3% | 62.1 | D |
自分たちが外国人労働者や移民に職を奪われていると考えて移民排斥を
訴える右翼政党支持に走るのは当然だろう。そしてその親の世代は、
息子や娘たちが職に就けないことに心を痛め2世代に渡って既存政治に
不満を抱いている。
一方、欧州の優等生であるドイツは若年層の失業率が低い。2012年の
統計では日本が7.9%でドイツは8.1%と同レベル。
121 | ドイツ(2012年) | 8.1% | |||
122 | ホンジュラス(2011年) | 8.0% | |||
123 | 日本(2012年) | 7.9% |
ドイツはなぜ若年層の失業率が低いのかというと、職業訓練のシステムが
充実しているからとの指摘がある。ドイツのアウスビルドゥングという
職業訓練システムの特徴は、学費我無料の職業訓練校で専門的な理論を学び、
実際に職場で仕事を通して座学で学んだ事を生かしながら職業を体験できるという
画期的なシステム。学費無料に加え、働くことになるので、正社員よりは
少ないが給料も貰える。
雇用する企業にとっても専門知識を備えた若者は貴重な戦力になるため、
アウスビルドゥングで職業体験の場を提供する企業は少なくない。
職業訓練は、日本でもハローワークなどでやっているが、専門性を身につけるもので
はなく、やはり授業料を払って専門学校に行かねばならない。殆どは資格取得の
ための学校であり、即戦力の社員ではない。
ドイツの取り組みは、日本でもできる筈だ。
参考)世界の若年層の失業率ランキング http://top10.sakura.ne.jp/CIA-RANK2229R.html#map