MA by So Shi Te 

南青山のインテリアショップ MA by So Shi Te のブログです!
毎日の出来事を綴らせていただきます。

漆と蒔絵

2008-07-16 12:30:15 | Personal
昨晩は近くで蒔絵教室をされている松田先生をお食事に誘って、
 トルコ料理を食べてきました。

お店から徒歩5分くらいのところにある、
 トルコ料理 Gelik http://www.aoyamagelik.com/

和食は勿論大好きですが、
 様々な国の料理も好きですね。
  ギリシャ料理も美味しいし、トルコ料理、ブラジル料理、
  韓国料理、タイ料理、ベトナム料理・・・ どれも大好きです。

先生はトルコ料理を召し上がったことがないと仰るので、
 それでは 是非!って。
  レストランの詳細はまた別の機会にレビューさせていただきます。

蒔絵ってみなさんご存知ですかね?
 漆器に金や銀で絵を描く技法ですね。
  漆器は通常分業化されており、
   木地を作る人、漆を塗る人、蒔絵を施す人、販売する人、と別々の方々が一つの製品に携わっています。
    町全体が生産工場みたいな感じでしょか。

バブルの頃は蒔絵が施された高価な漆器が良く売れて、
 営業しなくても仕事があったようです。
  しかしバブルが崩壊し、蒔絵を施すような高価な漆器は売れなくなってしまったのですね。

売れなくなったというか、
 販売する人々が扱うのを懸念して、安い漆器製品をメインに扱うようになり、
  そして蒔絵師さんの仕事が全くなくなってしまったとのこと。

仕事がなければ、続けられないですね。
 そこで松田さんは自力で販売していくことに決めたのですね。

自力で売るっていっても、販路もなければ売り方も分からない。
 骨董市などに地べたで出店し、試行錯誤重ねてなんとか食べて来たそうです。
  一時は蒔絵を諦め、蕎麦打ちを勉強し、蕎麦屋をオープンしたこともあったそうです。
   いつも支えになったのはお母様だったようです。母強し。
    母親は本当に尊敬できます。

そんな松田さん。
 現在は南青山で蒔絵教室を開いていらっしゃいます。
  生徒さんも大分増え、
   3年目にして大分落ち着いてきたそうです。
    石の上にも3年。やはり3年って重要なのですね。

漆に関してもいろいろ教えてくださいました。
 漆は漆の木に傷をつけて採取をするのですね。
  木が傷つけられると、それを修復するために液体をだすのですね。
   それが漆です。

漆の木が漆を出すようになるには、
 ある程度木が生長する必要があります。
  そして 一度漆を採ってしまうと、
   翌年からその木は良質な漆を出さなくなってしまうとのこと。
    また木を伐採して新しい漆の木を植えていくそうです。

ご自身でも漆を採取されたことがあり、
 ひと夏で5人がけで13本だったか、漆の採取をしたそうです。 
 2・3ヶ月かけて。
  採取できた漆は 2Kg。 しかし生漆には水分などの不純物が含まれます。
   それをへら等で丁寧に掻きませながら熱し、水分を飛ばしていくと、
    乳白色だった生漆はあめ色になるそうです。
     その時点で残る漆は半分のたったの1Kg。

1Kg の漆は 市場では 12~13万くらいのようです。
 5人がかりで漆を2~3ヶ月かけて採取してたったの12~13万。
  到底食っていけませんね。

1つのお椀を塗るのに必要な漆は、約20g程度だそうです。
 約50個のお椀を塗る分にしかならないわけですね。

日本で採れる漆は外国製と比べて品質もとても良いそうで、
 やはり国産漆で塗るお椀などは違うそうです。
  しかし 現在日本で使用される漆は殆どがインドネシアや中国などの輸入物。
   安い漆器製品は必ずといっていいほど、漆の仕上げも海外で施しています。

消費者の目も麻痺してくるのですね。
 漆器製品は安く買えるんだと。
  

別に消費者が悪いわけではありません。
 正しい知識を得て、ものの正しい価格を理解すること。
  それも必要かと思います。

販売させていただいているお店としても
 正しい情報をお伝えし、高い物の真価をお客様にご理解いただくことが求められていると思います。

失われる伝統。
 一度失われたものを再生するのは本当に至難の業。
  漆を採取する職人さんも国内には5人くらいしかいないそうです。
   消えつつある文化。悲しいものですね。

漆器製品は今後も途絶えないと思います。
 なぜなら海外製品をあたかも国内製品のように偽って販売するお店は耐えないからですね。
  でも確実に消えつつある文化がそこにはあるのでね。。。。

長くなりましたので、この辺で。
コメント (2)
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