#172 ビリー・ジョエル&レイ・チャールズ「Baby Grand」(The Bridge/Columbia)
ビリー・ジョエルとレイ・チャールズのデュエット曲。86年発表のアルバムより。ジョエルの作品。
ビリー・ジョエルは49年NYC生まれ。この9日で61才になる。
筆者と彼との出会いは77年、筆者が予備校生だった頃だ。同年のアルバム「ストレンジャー」で一躍日本のリスナーにも知られるようになった彼を筆者もいたく気に入り、翌年の初来日公演(中野サンプラザ)をさっそく観に行き、79年の再来日のときも日本武道館まで観に行ったクチなのだ。
以来、30年以上の付き合いとなるわけだが、いまだに70年代後半から80年代にかけての、ジョエルの黄金時代のアルバムは愛聴している。
86年の「The Bridge」は、彼が37才のときの作品。その人気も安定したものになってきて、若さにまかせて作ったというよりは、熟成した味わいが出て来た頃のアルバムだ。
ここでは、それまでほとんどやったことのなかった、他のアーティストとのコラボレーションをいろいろと試みている。
そのひとつが、R&B界の大御所、レイ・チャールズ(当時56才)との共演である。
50代というと現役バリバリ、まだまだ大御所よばわりする年齢でないような気もするが、当時すでに他の追随を許さぬマエストロ的存在であったのも事実。
同じようにピアノを弾き歌うビリー・ジョエルにとって、雲の上のヒーローのような存在であったに違いない。「プロシンガーとして、いつかレイ・チャールズと共演できたら」、そう願いながら71年のデビュー以来、長い道のりを歩んできたのだろう。
そんな彼の夢が、ついに叶った一曲。
スーパースター、レイ・チャールズは実際は意外と気さくで、彼の願いをふたつ返事で引き受けてしまうような気のいいオジさんだった(なにせ、日本のケイスケ・クワタやアキコ・ワダのオファーも気軽に受けた位ですからw)。
というわけで「世紀のスター共演」みたいな仰々しさはみじんもなく、遠い親戚のオジさんがふらりとやって来て、レコーディングに参加した、みたいな雰囲気に仕上がってます。
ひさしぶりに聴き直してみて感じたのは、ジョエルの声が「若い!」ってこと。それは、チャールズのシブい声とのコントラストでさらにはっきりと判る。
歌だけでなく、ピアノも連弾。ジャズィなフレーズもさらりと織り交ぜたりして、なかなかこころにくい。子供にゃわかんない「大人の音楽」ですな。
歌に関しては、やはり貫禄といいますか、生真面目に歌うビリー・ジョエルに対して、絶妙な「ヨレ具合」を見せるレイ・チャールズが圧倒的な存在感を見せつけてますが、オジさんは別に偉ぶるふうでもなく、若造の背中をトンと押して、親切にリードしてやってる、そんな感じです。
いやー、歌の世界はホント、奥が深いわ。
同じアルバムでは、ジョエルにとって憧れのカッコいい先輩的なスティーヴィ・ウィンウッド(1才年上)、少し年下だけどユニークな個性、実力をもったガールフレンド的なシンディ・ローパーとも共演してますが、やはりこの曲が目玉といって、間違いないはず。
20世紀アメリカン・ポップスを代表するふたりが、がっちりスクラムを組んだ、記念すべき一曲であります。必聴。
ビリー・ジョエルとレイ・チャールズのデュエット曲。86年発表のアルバムより。ジョエルの作品。
ビリー・ジョエルは49年NYC生まれ。この9日で61才になる。
筆者と彼との出会いは77年、筆者が予備校生だった頃だ。同年のアルバム「ストレンジャー」で一躍日本のリスナーにも知られるようになった彼を筆者もいたく気に入り、翌年の初来日公演(中野サンプラザ)をさっそく観に行き、79年の再来日のときも日本武道館まで観に行ったクチなのだ。
以来、30年以上の付き合いとなるわけだが、いまだに70年代後半から80年代にかけての、ジョエルの黄金時代のアルバムは愛聴している。
86年の「The Bridge」は、彼が37才のときの作品。その人気も安定したものになってきて、若さにまかせて作ったというよりは、熟成した味わいが出て来た頃のアルバムだ。
ここでは、それまでほとんどやったことのなかった、他のアーティストとのコラボレーションをいろいろと試みている。
そのひとつが、R&B界の大御所、レイ・チャールズ(当時56才)との共演である。
50代というと現役バリバリ、まだまだ大御所よばわりする年齢でないような気もするが、当時すでに他の追随を許さぬマエストロ的存在であったのも事実。
同じようにピアノを弾き歌うビリー・ジョエルにとって、雲の上のヒーローのような存在であったに違いない。「プロシンガーとして、いつかレイ・チャールズと共演できたら」、そう願いながら71年のデビュー以来、長い道のりを歩んできたのだろう。
そんな彼の夢が、ついに叶った一曲。
スーパースター、レイ・チャールズは実際は意外と気さくで、彼の願いをふたつ返事で引き受けてしまうような気のいいオジさんだった(なにせ、日本のケイスケ・クワタやアキコ・ワダのオファーも気軽に受けた位ですからw)。
というわけで「世紀のスター共演」みたいな仰々しさはみじんもなく、遠い親戚のオジさんがふらりとやって来て、レコーディングに参加した、みたいな雰囲気に仕上がってます。
ひさしぶりに聴き直してみて感じたのは、ジョエルの声が「若い!」ってこと。それは、チャールズのシブい声とのコントラストでさらにはっきりと判る。
歌だけでなく、ピアノも連弾。ジャズィなフレーズもさらりと織り交ぜたりして、なかなかこころにくい。子供にゃわかんない「大人の音楽」ですな。
歌に関しては、やはり貫禄といいますか、生真面目に歌うビリー・ジョエルに対して、絶妙な「ヨレ具合」を見せるレイ・チャールズが圧倒的な存在感を見せつけてますが、オジさんは別に偉ぶるふうでもなく、若造の背中をトンと押して、親切にリードしてやってる、そんな感じです。
いやー、歌の世界はホント、奥が深いわ。
同じアルバムでは、ジョエルにとって憧れのカッコいい先輩的なスティーヴィ・ウィンウッド(1才年上)、少し年下だけどユニークな個性、実力をもったガールフレンド的なシンディ・ローパーとも共演してますが、やはりこの曲が目玉といって、間違いないはず。
20世紀アメリカン・ポップスを代表するふたりが、がっちりスクラムを組んだ、記念すべき一曲であります。必聴。