NEST OF BLUESMANIA

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#173 ジョー・ルイス・ウォーカー「Blue Guitar」

2011-05-15 10:32:50 | Weblog
#173 ジョー・ルイス・ウォーカー「Blue Guitar」(Live at Slim's, Vol. 2/Hightone)

ジョー・ルイス・ウォーカー、90年サンフランシスコ「Slim's」におけるライブより。アール・フッカーの作品。

ジョー・ルイス・ウォーカーは49年サンフランシスコ生まれの60才。西海岸ブルースマンの中堅格といえるギタリスト/シンガーだ。

デビューは86年。アルバム「Cold Is The Night」を皮切りに5枚のアルバムをハイトーンでリリース。以降、ヴァーヴ、JSP、ストーニー・プレインなどで精力的にレコーディングを続けており、今一番脂の乗ったブルースマンのひとりなのである。

歌もこなし、そのやや高めの歌声は、ロバート・クレイに通じるものがある。とはいえ、彼の本領がギター演奏にあることは、そのサウンドを聴けばすぐわかる。非常にテクニカルで、精度の高いプレイをするひとなのだ。

さて、今日のライブ音源は彼が40才、デビューして数年後のもの。曲は、ブルースファンならおなじみの、アール・フッカーのカバーだ。

ブルース界のスライド・ギターの達人といえば、まずエルモア・ジェイムズの名前が挙がるだろうが、忘れてはいけないのがアール・フッカーだ。マディ・ウォーターズの「You Shook Me」のバックでの名演は、レッド・ツェッぺリンにも強い影響を与え、かの有名なカバー・バージョンが生まれた。

その他、ジョン・リー・フッカー、チャールズ・ブラウン、サニー・テリー&ブラウニー・マギーといった有名ブルースマンのバックでも見事なソロを聴かせてくれた、職人肌のギタリストなのである。

ワイルドでアグレッシブなエルモア・ジェイムズに対して、アール・フッカーはデリケートでキメのこまかいスタイル。まさに対極的な芸風のふたりだ。

ジョー・ルイス・ウォーカーは、通常の指弾きギターも達者だが、スライド・ギターも大の得意。そのスライドはやはり、手本とするアール・フッカー流の繊細なスタイルを踏襲している。

とにかく音源を聴いてみよう。背筋がゾクッとするようなスリルに満ちたインストゥルメンタルが、5分以上にわたって展開されている。

トーキン・ギターという言い方がよく使われるが、まさに呟くように、語るように、あえぐように奏でられるスライド。

官能にダイレクトに訴えてくるプレイに、もう完全にノックアウトでっせ。

歌わずとも、ギターだけでこれだけ「うたう」ことが出来るとは、スゴいの一語であります。

他の曲での歌もそれなりに味わいはあるのですが、やっぱりJLWはスライド! そう断言しちゃいます。

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