#189 パット・ベネター「I Get Evil」(True Love/Chrysalis Records)
白人女性シンガー、パット・ベネター、1991年のアルバムより。アルバート・キングの作品。
パット・ベネターは53年、ブルックリン生まれの御年58才。でも外見からは、とてもそんな年齢には見えない。
79年デビューだから、実に32年のキャリアがある、大ベテランなんだけどね。
デビュー当初は、ハートのウィルスン姉妹などと並ぶ、白人女性ロッカーの旗手、そんなポジションだった。
スレンダーな体つきでショートヘア、大きな瞳が印象的な小顔美人だったので、女性ロッカーというよりはむしろ、ファッションモデルのような雰囲気があった。
歌声のほうも、他の多くの女性ロッカーがハスキー・ボイス系、低音系だったのに対し、澄んだ高音で異彩を放っていた。ブルースっぽさも、ベネターの声には希薄だった。
そんな彼女が最初に放ったシングル・ヒット、「Heartbreaker」は都会的なハードロックナンバーで、リスナーの耳にはとても新鮮に感じられたものである。
その後も着実にヒットを飛ばし、80年代は確実にアメリカの音楽シーンの中心にいたといえる。
90年代、すなわち彼女自身が30代後半に入ったあたりから、ハードロック中心の音作りに変化が見られるようになる。
それがきょうの一曲を含むアルバム「True Love」だ。
単に「ロック」というジャンルにこだわらず、そのルーツたるブルース、R&Bにも目を向けた、意欲的な試み。バックのサウンドも、かなりジャズやブルースに接近している。
「I Get Evil」は、おなじみアルバート・キングの60年代前半の代表作だが、このルンバ・ビートの陽気でダンサブルなナンバーを、ちょっとドスを効かせた低めの声で歌い上げている。姐御っぽいカッコよさがあるよな。
このアルバムでは、他にBBやチャールズ・ブラウンあたりの曲もカバーしていて、これまでのロック、ポップ路線のベネターからは想像できなかった、大人のシンガーとしての魅力がかいまみられる。
本来の彼女の持ち味とはいささか違うのだが、これもまた佳き哉。すぐれたブルースは、何十年たっても古びないこと、そして新しい魅力的な歌い手を得て再び甦ることが、よくわかる。必聴です。
白人女性シンガー、パット・ベネター、1991年のアルバムより。アルバート・キングの作品。
パット・ベネターは53年、ブルックリン生まれの御年58才。でも外見からは、とてもそんな年齢には見えない。
79年デビューだから、実に32年のキャリアがある、大ベテランなんだけどね。
デビュー当初は、ハートのウィルスン姉妹などと並ぶ、白人女性ロッカーの旗手、そんなポジションだった。
スレンダーな体つきでショートヘア、大きな瞳が印象的な小顔美人だったので、女性ロッカーというよりはむしろ、ファッションモデルのような雰囲気があった。
歌声のほうも、他の多くの女性ロッカーがハスキー・ボイス系、低音系だったのに対し、澄んだ高音で異彩を放っていた。ブルースっぽさも、ベネターの声には希薄だった。
そんな彼女が最初に放ったシングル・ヒット、「Heartbreaker」は都会的なハードロックナンバーで、リスナーの耳にはとても新鮮に感じられたものである。
その後も着実にヒットを飛ばし、80年代は確実にアメリカの音楽シーンの中心にいたといえる。
90年代、すなわち彼女自身が30代後半に入ったあたりから、ハードロック中心の音作りに変化が見られるようになる。
それがきょうの一曲を含むアルバム「True Love」だ。
単に「ロック」というジャンルにこだわらず、そのルーツたるブルース、R&Bにも目を向けた、意欲的な試み。バックのサウンドも、かなりジャズやブルースに接近している。
「I Get Evil」は、おなじみアルバート・キングの60年代前半の代表作だが、このルンバ・ビートの陽気でダンサブルなナンバーを、ちょっとドスを効かせた低めの声で歌い上げている。姐御っぽいカッコよさがあるよな。
このアルバムでは、他にBBやチャールズ・ブラウンあたりの曲もカバーしていて、これまでのロック、ポップ路線のベネターからは想像できなかった、大人のシンガーとしての魅力がかいまみられる。
本来の彼女の持ち味とはいささか違うのだが、これもまた佳き哉。すぐれたブルースは、何十年たっても古びないこと、そして新しい魅力的な歌い手を得て再び甦ることが、よくわかる。必聴です。