#230 ジョー・コッカー「You Are So Beautiful」(I Can Stand a Little Rain/A&M)
英国のシンガー、ジョー・コッカー、75年のヒット曲。ビリー・プレストンの作品。
ジョー・コッカーは44年サウス・ヨークシャー州シェフィールドの生まれ。学校を中退して働きながらプロの歌手を目指すが、下積みが長く、注目されたのは68年にA&Mより2度目のデビューをして、ビートルズの「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」のカバーがヒットしてからだ。
さらには、レオン・ラッセルのサポートのもと、69年ウッドストックに出演し、その圧倒的な歌唱力、激しいパフォーマンスを披露したことが、彼の人気を決定づけ、アメリカでも何曲かのヒットを飛ばすこととなる。
その後、「マッド・ドッグス&イングリッシュメン」という大所帯のツアー・バンド(リタ・クーリッジもその中にいた)を率いて活躍していたが、ラッセルや曲作りのパートナー、クリス・ステイトンがバンドを離れ、豪州で大麻所持により逮捕されたことも重なり、しばらくはヒットも途切れてしまう。
しかし、そこでへこたれずに、74年にアルバム「I Can Stand a Little Rain」の制作を再開、翌75年には同アルバムからカットされたこの「You Are So Beautiful」で大ヒットを飛ばしたのだ。まさに七転び八起きの人生。
この曲はもともと、黒人シンガー、ビリー・プレストンの74年のアルバム「The Kids And Me」に収められていたもの。同アルバムは「Nothing From Nothing」という大ヒットを生んでいるが、もう一曲、この「You Are So Beautiful」という名曲を擁していたのだ。
それまでも数々のカバー・ヒットを放ってきたコッカーはこれに注目、さっそく自らのレパートリーとして取り入れ、ご本家プレストン以上に売れてしまった。いまでは、「You Are So Beautiful」といえばコッカーの曲、というイメージすらある。
まずは、聴いてみよう。ピアノによる美しいイントロは、名ピアニスト、ニッキー・ホプキンスの演奏だ。
このシンプルな演奏をバックに、いつもの塩辛声で歌い始めるコッカー。途中からはストリングスが加わり、このラブ・バラードを盛り立てていく。わずか3分足らずだが、このうえなく高揚感のある愛のうただ。
この曲のヒットにより彼は、従来のブルーアイド・ソウルというカテゴリーから一皮剥けて、より普遍的な「ジョー・コッカー・ミュージック」を打ち立てたのだと思う。
お世辞にもイケメンとはいいがたい風貌、風体なれど、その真摯な歌声は、世界中のリスナーの心を捉えたのである。
以後も彼は、酒やドラッグ漬けからの脱却までさんざん苦労を重ねることになるものの、前向きに音楽に取り組んで、多くのヒットを出していく。一番ポピュラーなのは、なんといっても82年の米映画「愛と青春の旅立ち」の主題歌「Up Where We Belong」(ジェニファー・ウォーンズとのデュエット)だろう。なんと全米1位の大ヒットに輝いたのである。
それもやはり、この74年のカムバックが不発に終わっていたら、まずありえなかったことに違いない。ジョー・コッカーこそは、不屈の魂のひとだな。
音楽のもつ大いなる力(パワー)が、ショービズのゴタゴタ、酒・ドラッグで心身ともにズダボロになった彼を甦らせたのだ。そういう意味でいうと、この類い稀なるラブ・バラードはまた、音楽への永遠不滅の情熱、愛をうたったものとも言えそうだね。
英国のシンガー、ジョー・コッカー、75年のヒット曲。ビリー・プレストンの作品。
ジョー・コッカーは44年サウス・ヨークシャー州シェフィールドの生まれ。学校を中退して働きながらプロの歌手を目指すが、下積みが長く、注目されたのは68年にA&Mより2度目のデビューをして、ビートルズの「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」のカバーがヒットしてからだ。
さらには、レオン・ラッセルのサポートのもと、69年ウッドストックに出演し、その圧倒的な歌唱力、激しいパフォーマンスを披露したことが、彼の人気を決定づけ、アメリカでも何曲かのヒットを飛ばすこととなる。
その後、「マッド・ドッグス&イングリッシュメン」という大所帯のツアー・バンド(リタ・クーリッジもその中にいた)を率いて活躍していたが、ラッセルや曲作りのパートナー、クリス・ステイトンがバンドを離れ、豪州で大麻所持により逮捕されたことも重なり、しばらくはヒットも途切れてしまう。
しかし、そこでへこたれずに、74年にアルバム「I Can Stand a Little Rain」の制作を再開、翌75年には同アルバムからカットされたこの「You Are So Beautiful」で大ヒットを飛ばしたのだ。まさに七転び八起きの人生。
この曲はもともと、黒人シンガー、ビリー・プレストンの74年のアルバム「The Kids And Me」に収められていたもの。同アルバムは「Nothing From Nothing」という大ヒットを生んでいるが、もう一曲、この「You Are So Beautiful」という名曲を擁していたのだ。
それまでも数々のカバー・ヒットを放ってきたコッカーはこれに注目、さっそく自らのレパートリーとして取り入れ、ご本家プレストン以上に売れてしまった。いまでは、「You Are So Beautiful」といえばコッカーの曲、というイメージすらある。
まずは、聴いてみよう。ピアノによる美しいイントロは、名ピアニスト、ニッキー・ホプキンスの演奏だ。
このシンプルな演奏をバックに、いつもの塩辛声で歌い始めるコッカー。途中からはストリングスが加わり、このラブ・バラードを盛り立てていく。わずか3分足らずだが、このうえなく高揚感のある愛のうただ。
この曲のヒットにより彼は、従来のブルーアイド・ソウルというカテゴリーから一皮剥けて、より普遍的な「ジョー・コッカー・ミュージック」を打ち立てたのだと思う。
お世辞にもイケメンとはいいがたい風貌、風体なれど、その真摯な歌声は、世界中のリスナーの心を捉えたのである。
以後も彼は、酒やドラッグ漬けからの脱却までさんざん苦労を重ねることになるものの、前向きに音楽に取り組んで、多くのヒットを出していく。一番ポピュラーなのは、なんといっても82年の米映画「愛と青春の旅立ち」の主題歌「Up Where We Belong」(ジェニファー・ウォーンズとのデュエット)だろう。なんと全米1位の大ヒットに輝いたのである。
それもやはり、この74年のカムバックが不発に終わっていたら、まずありえなかったことに違いない。ジョー・コッカーこそは、不屈の魂のひとだな。
音楽のもつ大いなる力(パワー)が、ショービズのゴタゴタ、酒・ドラッグで心身ともにズダボロになった彼を甦らせたのだ。そういう意味でいうと、この類い稀なるラブ・バラードはまた、音楽への永遠不滅の情熱、愛をうたったものとも言えそうだね。
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